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現代ダンジョン サモナーが行く  作者: 金林檎


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第二十四話

 あっという間にギルド見学も佳境に差し掛かり訓練は激しさを増していく。命は自分を覆いつくさんと迫って来る土の波を同じく土の波を発生させて押しとどめて次々と放たれる魔法に対応していく。


「ブラック・スピア」


 漆黒の槍が朝比奈に向けて放たれ展開された岩の城壁に阻まれるが命が指を鳴らすと突き刺さった槍が爆発するも僅かに亀裂を作り出す程度だった。ブラック・スピアに込められた魔力を暴走させて爆発させかなりの量が込められていたため結構な威力だが流石は要塞の朝比奈。その鉄壁の防御を崩すことは出来ず命は挫けることなく魔法を展開する。


「アース・ブラスト」


 空中に岩の砲弾が無数に展開されて朝比奈はそれを脅威に思い防御を固める。作り出された頑丈なトーチカに絨毯爆撃の如き砲弾の雨が降り注ぎ地面が激しく揺れる。大きな土煙を作り出しそれが晴れると多重に展開されたトーチカを破りきることは出来ず要塞の真骨頂を見せられた気分だ。


《スキルレベルがアップしました》

 

 柏崎命

 スキル

 大地魔法13→15。暗黒魔法1→5、火魔法→炎魔法、付与術17→20


「私のトーチカをここまで傷つけるなんて随分と成長したわね」


「師匠が良かったもので」


「あら、褒めたって何も出ないわよ?」

 

 そう言いながら機嫌良さそうに命の頭を撫でる。朝比奈はその高い実力に似合うプライドの高い人物であるが意外にも可愛いもの好きであったりとギャップのある人物で認めた相手にはとことん甘いという性格で教え子である命に対する溺愛振りは凄まじくギルド見学が終わっても連絡を取り合おうと既に連絡先も交換しており命に使えそうだからと昔使っていた武器を渡そうともしており流石に申し訳からと断っている。


「もう、ギルド見学が終わるなんてあっという間ねー」


「朝比奈さんと会ってから一週間しか経ってないなんて信じられませんよね」


 彼女と過ごした時間は濃厚でギルド見学が始まってから朝比奈と付きっきりで彼女に教えられたことは大きく師匠と呼ぶに相応しい人物で性格はちょっと難があるが尊敬するに値する人だと思う。訓練が終わり命達は会議室に集められる。


「ギルド見学お疲れ様だった。君たちが成長してくれて喜ばしく思う」


 代表して愛染が話す。この機会を設けてくれたのは愛染だという話であり彼には感謝してもしたりない。それから命達に一角獣ギルドの印章が刻まれたカードが渡される。


「これがあれば一角獣ギルドの施設を利用することが出来る。勿論、一角獣ギルドが保有しているダンジョンにも出入りすることが出来る」


「有難いですけどどうしてここまで?」


「最初に言っただろう?先達として後に続くものを助けるのは当然の責務だ」


 例え、一角獣ギルドに入ることがなくても才能ある彼らを育てたという実績は業界でもプラスに働き、彼らと交流を持つことが目的であり預言者の預言がなかったとしても彼らには声を掛けていたことだろう。


「本当にお世話になりました!」


「「お世話になりました!」」


 心からお礼を言う。このギルド見学で何段もステップアップしておりギルド見学前とは偉い違いであり成果は凄まじく長かったギルド見学が終わりを告げた。


「いやぁー、終わったなー。随分と長い間、居た気がするよ」


「そうだね!でも、実りある体験が出来たよ!」


「もうちょっと、居たかったけどね」


「それはないって!」


 やっと解放されて新道寺と樋口は肩の荷が下りたような感じで命はまだまだ、朝比奈の指導を受けていたかったと言うと変なものでも見るような目で見られる。確かに訓練は厳しいもので二度と受けたくないと思わせられるものだがその分、強くなれるのはお墨付きであり今回のギルド見学で大きく成長できたのも事実だ。


 命達は一緒に学校に帰る。ギルド見学が終わったことを学校に報告しなければならないからであり事務所で簡単な手続きを終えると三人は別れてそれぞれ寮へと戻る。


「帰って来たって感じるな」


 豪勢すぎるほど豪勢な部屋を見て帰って来たのだと感じる。今から食堂に行こうと言う気にはならないのでバトラーを召喚して適当な料理を作ってもらって命はフカフカのベットに寝転がる。


 実りある体験だったが思ったよりも疲れているようで眠りそうになる目を必死に見開いてベットに転がっていたら眠ってしまうと気づいて起き上がってソファーに座りコーヒーが好きだと安城に話したら良さげな豆とコーヒーメーカーを貰ったことを思い出してバトラーにアイスコーヒーを淹れてもらう。


「ギルド見学が終わったし何しようかな」


 勿論、優先されるのはダンジョン探索であり攻略途中の世田谷ダンジョンに挑むのもいいが如何せん世田谷ダンジョンは階層毎に環境が大きく変わるから準備が大変であり一角獣ギルドのダンジョンは歯ごたえがあり過ぎて簡単には決められない。どうしたものかと考えているとバトラーがコーヒーを用意してくれて一口飲み気分を落ち着かせる。


「千代田ダンジョンも気になってはいるんだけどなぁ」


 アンデットが生息する珍しい墳墓型のダンジョンで神聖魔法を有するフラウがいるため十分やれるだろうが世田谷ダンジョンが探索途中というのがどうにも気になってしまいネットで世田谷ダンジョンについて調べてしまう。


 三階層は火山地帯の様で相変わらず過酷な環境で金倉にまた、装備を頼まなければならない。幸いなことに適したアイテムが手に入ったことだしそんなに時間は掛からないだろう。出現するモンスターはサラマンダーと言った火属性のモンスターばかりで氷属性を持つフォボスが活躍しそうだ。


「やっぱり世田谷ダンジョンだな」


 そうと決まれば準備をしておかなければならず金倉に連絡を取る。金倉は快く依頼を受けてくれて後日、魔石を持っていくことになりAランクの魔石を持っていると伝えたら大興奮しており今すぐ持ってきてというが流石に夜も深いので後日にと伝えると不満そうであったが頷いてくれた。


 バトラーが用意してくれた軽食を食べて適当に歯磨きとシャワーを済ませてベットに戻る。最高級の寝具のお陰であっという間に眠ってしまう。


「魔石は!」


「ここにあるけど……」


「おぉ!これがAランクの魔石の輝きなんだ!」


 翌日、金倉の工房を訪れると出迎えたのは妙にテンションの高い金倉で命から魔石を強奪するとそれを見てうっとりしている。こんな変な奴だったかと思いテーブルの方を見ると那須が調合をしているようで集中しているのか命が入ったことも気づいていないようだ。


 何時ものオドオドした頼りない姿とは真逆の頼もしい職人の顔で邪魔するわけにはいかないなと金倉に必要な魔石を預けると退散することにする。


「柏崎さん。ここに居ましたか」


「安城先輩」


 振り返ると相変わらずの胡散臭い笑みを浮かべながら安城が立っていた。探したと言っているが命の動向を監視しているだろうから今日、命が金倉の工房に行くことも把握していたのだろう。相変わらず抜け目のない男だと思うもそれを悟らせないしたたかさを持っており油断の出来ない人だ。


「お手が空いてる様子ですので取材をしても?」


「えぇ、今は暇なので」


「それは良かった。喫茶店でお茶でも飲みながらお話ししましょう」


 そう言って喫茶店に移動する。安城から取材を受ける時は決まって喫茶店で学校でもかなり人気な施設で何時も多くの人で賑わっているが満席だと断られたことはなく安城が手配しているのだろう抜け目がない。


「ギルド見学がどうでしたか?」


「得難い経験をさせていただきました。安城先輩のお陰ですね」


「私は橋渡しをしただけにすぎませんから。楽しめたようで良かったです」


 安城が一角獣ギルドからの書状を持ってきてくれなければこんな機会はなかったと考えると安城には感謝しかなく取材を受けるのに抵抗はない。他の人の見世物になるのももう、慣れており今は何を書かれても気にならなくなっている。探索者は注目を集める職業であるから慣れておいた方がいいと思ったからだ。


「新道寺さんと樋口さんも一角獣ギルドの見学に行ったとか」


「耳が早いですね。一緒にギルド見学をしましたよ」


 流石、新聞部の情報収集能力で学校外の事である筈なのに耳が早い。それだけ新道寺や樋口の事を注目しているようで彼らほどの探索者ならば新聞部が注目するのも無理はない。


 取材は和やかに進み、ギルド見学で朝比奈の様な高名な探索者に指導をしてもらったと伝えると流石に安城も驚いており一角獣ギルドが本気で命達を支援しているという事を示しているという事であり手に持つ手帳に何やら書き込んでいる。デジタル全盛のこの時代に手帳とは古風でありその小さな手帳にどれだけの情報が記されているのか。


 ふと、安城の持っている万年筆に目が行く。


「先輩。もしかしてそれって?」


「気付きましたか?ご想像の通り魔石を使った万年筆です。疲労軽減の効果があるので重宝しているのですよ」


 昨今、魔石を使った日用品が増えているのだが疲労軽減の効果となると一級の探索者が使うようなスキルでありそれを万年筆に施すなど狂っているとしか考えられない所業であるが安城ほど幅広い交流を持つものならこの程度のアイテムを用意するのは容易なのかもしれない。


「柏崎さんに金倉さんの様な専属の職人がいる様に私も変わり者の職人がいるんですよ」


「へぇー、にしてもいい仕事ですね」


「でしょう?こういった一見、無駄に思えるものを作るのが好きな方なのですよ」


 魔石を用いた日用品の作成は現代の技術力でも難しいもので作れるものは限られていると言う話で安城の専属の職人は相当、腕がいいのだと分かる。金倉も作れるだろうが彼女はこういったものよりも装備と言った探索者の役に立つものを作る方が性に合っていると思う。


 取材も終わり何時もの様に馳走になってしまったが安城は一度たりとも命に財布を出させようとはせずいつの間にか会計を終わらせてしまって命が支払う機会を作らせない。


「取材をさせていただいているのですからこの位はさせてください」


 人気の喫茶店であるため、値段もそこそこするのだが安城は顔色変えずに支払っている。三年生ともなればかなりの収入なのだろう。それに加えて学校の情報ならば外部の者は喉から手が出るほど欲していると言ってもよくその情報を交渉材料とすればかなりの金を手に入れることが出来るだろう。安城ならばグレーなことでもやっていても不思議ではない。

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