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現代ダンジョン サモナーが行く  作者: 金林檎


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第十四話

 ウルフの速さはフォボスを見てきて理解しており少しでも油断したら那須に襲い掛かるのは明白でウルフとは賢い狩人で弱いものを見抜く力を持っており標的とされているのは命ではなく那須の方だ。


「アース・シェルター」


 那須を覆うようにして土の防壁が築かれる。これで一先ずは大丈夫だがそんなに頑丈なものではないので早く終わらせなければならない。


「ガルァ!」


 フォボスの強化された咆哮を聞き取り巻きのウルフ達はスタンするがウルフロードには通用していないようで彼が一声上げるとスタン状態は解除されて一斉に襲い掛かって来る。獣特有の予想できない動きが高速化されておりそれを見切るのはかなりの難易度でありここが森でなれば纏めて燃やすのだが木々で覆われているこの場所では余計な被害が出る。


 ならば遅くしてやればいい。


「ダーク・フィールド」


 周囲に黒い霧のようなものが発生して目に見えてウルフ達の速度が鈍る。周囲の敏捷のステータスを減少させる闇魔法で以外の全てに反映される為、パーティー全体が敏捷が低下するが召喚モンスター達にとってそれで十分だった。


「カタカタ」


 「ギャ!」


 あっという間に迫ってきたウルフを蹴散らしていく。配下を全員やられたというのにウルフロードは冷静でこちらの動きをじっくりと観察しているようで遂に動き始めてウルフとは比べ物にならない速さで命に迫ってきてアインが間に入り防ぐ。


「危な!」


 もう少しで喉を嚙みちぎられる所でダーク・フィールドで敏捷が減少しているというのにこの速さで使っていなかったら今の攻撃でやられてしまっていただろう。


 拘束しようにもあの速さで動かれたら魔法も当たらず手詰まりの状況だが逆転の一手を取る。


「マッド・フィールド」


 地面が沼へと姿を変えてウルフロードも足を取られてまともに動けない。これだけの地面を沼に変えるのにはかなりの魔力を必要としたが標的を動けなくさせたことに意味があり思う存分に攻撃を与えられる。


《レベルアップ!スキルレベルがアップしました。召喚モンスターのレベルがアップしました》


 柏崎命

 レベル13→14

 連携18→19、指揮17→18、魔力操作8→9


 アイン

 スケルトン・ナイト

 レベル13→14


「お、終わったの?」


「あぁ、もう心配ない」


 那須を囲っていた土壁を取り除き預けておいた籠を受け取る。採取したばかりで良かった。もしも、採取していなかったら戦闘に巻き込まれて採取どころではなかっただろうから。


 ボスを倒したことで森は平和となり警戒を解いてもいいだろう。十分採取できたので那須を守りながら世田谷ダンジョンから学校へと戻る。


 材料を手に入れた那須は早速、自分の工房に戻っていき命は久しぶりに溜まっていた魔石を換金するために換金所に向かった。


「全部で100万円になります」


 あまりの金額に目を疑うがそれだけ四階層の魔石は値が付くという事で試しに指輪の下取り価格を聞くと目玉が飛び出るほどの高さで流石に売りはしなかったがきちんと扱おうと考えが改めさせられた。


 翌日は完全オフで安城から渡された五階層の資料に目を通していた。五階層に現れるモンスターはトロールでオークを超える筋力に高い再生能力を有しておりオークのように魔法攻撃が苦手といった弱点を持たない厄介な相手で生半可な攻撃では元通りになってしまう再生力から探索者殺しの異名で知られているモンスターで五階層を突破するのはかなりの難行だ。


 幸いなことに再生能力も無限という訳ではなく魔力によって再生するので再生力には限りがあるという事であり活路は見出せそうだ。


「こういった手合いは毒が苦手だからな」


 再生力があるモンスターは体内に取り込んだ毒をそのまま細胞に運んでしまいその細胞を活性化させてしまい他のモンスターよりも毒を強く受けてしまうものでクイーンから手に入れた猛毒がまた、役に立ちそうだ。しかし、毒ばかりに頼ってはいられず自力も鍛えなければならず暫くは五階層に挑まず四階層でレベル上げかなと予定を書き込んでいく。


「クラスチェンジできれば言うことないんだが」


 クラスチェンジはあれだけで終わってはおらず何段階も存在しているがその条件となるレベルは知られてはおらずいつクラスチェンジだと知る者はいない。大まかな予測として10レベル毎ににクラスチェンジするのではないのかと言われているが真実は定かではない。それもレベルを上げれば分かることでクラスチェンジを目標にレベリングをすることにしよう。


「にしてもそろそろ体育祭だな。その前にダンジョンを制覇したいけど。無理そうかな」


 体育祭はまじかでダンジョン探索でいい成績を残すためにダンジョンを全て把握しておきたかったのだがダンジョンを制覇する前に体育祭が来る方が早い気がしており改めて獅子王の制覇速度が可笑しいのだと実感する。


 これまでダンジョン漬けの生活を送ってきたので何もせずにいるというのが落ち着かず暇さえあればステータス画面を眺めており今すぐにでもダンジョンに潜りたいという気持ちが強くなっている。


「あぁー、ダンジョンに行きたい」


 自分でもどうかしているとは思っているがダンジョンに行きたいという欲望と今日は休むべきだという理性がせめぎ合っており入学式前の自分が知ったら驚くだろうなと思いながら最終的にはダンジョン探索の動画を見ることで欲求を抑えることにする。


 見る動画は獅子王誠のピラミッドのダンジョン探索であり少し、仄暗いダンジョンの中を魔法職が作った照明を頼りに進んでおり複雑に設置された罠を盗賊が解除しており迫り来るミイラの群れを獅子王誠が切り伏せていく。


 無駄のない洗練されたパーティーであり世界最高のパーティーの呼び名も納得であり困難極まるピラミッドダンジョンをスイスイと進んでいきボスと思われるスフィンクスと相対している。


 それからはまさに圧巻で初見のモンスターである筈なのに全てを知り尽くしているような圧倒的な戦い振りで戦闘をひた走る獅子王誠は相手の全ての攻撃を紙一重で避け攻撃を与え続けており正に戦士の理想形で画面を食い入るように見てしまう。


「凄かった」


 溜息が零れるほど凄まじい戦いでこれが天上の世界かと探索者の頂点の強さに溜息しか出ない。


 動画を見終わって命はベッドの上で胡坐を組み目を閉じて魔力を練り上げる。魔法職の基本的な鍛錬方法で体内の魔力を練り上げてそれを全身に行き渡らせていくというものでこれをすることで魔法の発動がスムーズになるのでやっておいて損はない。

 

 しかし、命の様な高い魔力を持つものは魔力を練り上げるのに苦労する為、額に汗を流しながら魔力を全身に行き渡らせていく。


《スキルレベルがアップしました。》

 柏崎命

 スキル

 魔力操作9→10


「ふぅ。こんなものか」


 体はポカポカと火照っている感覚があり魔力が十分い体に行き渡ったという証拠で今の状態ならば幾ら魔法を撃ったところで問題ないと言った感じであるがこの万能感に任せて戦うのはあまり推奨されてはおらずこの効果が切れた状態で戦った方がいいとされている。


 動画も見終わり日課も終わったとなると暇になってしまいどうしたものかと考え校内の新聞に目を通す。


「へぇ、樋口は三階層を突破したのか」


 一度は敗走した三階層を見事に突破したらしく勝因は樋口がクラスチェンジして毒無効のスキルを手に入れたからと書かれており大きな武器であり毒を封じられたとなればクイーンも敗北するしかなく強力な回復魔法に加えて毒無効のスキルとは樋口のかなり成長しているようで思えば敗走したというのに悲壮感を感じなかったなと思いだす。


 小林のパーティーはまだ、四階層で苦戦しているらしく噂ではまた、特攻武器を集めているという話だが定かではない。幾ら経済力があろうとも特攻武器を集めるというのは簡単なものではなく金額もそうだが特攻武器というのはとても希少なのもで手に入れられるものは限られている。


「オークは厄介だからなー。この調子だと突破は暫く無理そうかな」


 既に四階層を突破したものとして高みの見物で小林を応援する。本人が知れば激怒する事、間違いないので心の中で留めておく。


 新聞には色々と気になることが書かれており有志の協力でポーション品薄状態が解消されたとか武器屋で今注目の目玉商品などこの学校の全ての情報が書かれていると言っても過言ではない情報量でその全ての情報を抱える安城は正にこの学校を知り尽くしていると言ってもいいだろう。


「また、取材させてほしいって言ってたよな」


 四階層を突破した時の話を聞かせて欲しいとダンジョンに帰った直後に連絡が来ておりやはり見張られているようで動向を監視されている。新聞部はこの学校で最も部員の多い部活で情報収集の為に色々と借り出されているようで命を監視しているのも一人や二人ではないだろう。


 暇すぎて死にそうになってきたので部屋から飛び出しウインドウショッピングをすることにし武器屋にやってきた。武器屋には多くの生徒が装備を求めてやってきており今日は何時もよりも騒がしい。


 入口にオークション会場はこちらと張り紙がされており武器屋は定期的に目玉商品をオークション形式で売ることにしているらしく新聞にも今日がオークション日だと書かれており武器屋は何時もにはない活気で満ちている。


「さぁ!この『毒蠍の刃』5万円から!」


「10万!」


「15万!」


 とてつもない熱狂ぶりで皆、良い装備を手に入れようと躍起になっている。壇上の上に置かれている商品は確かに良いものかもしれないが金倉が作るものの方が断然素晴らしいもので手は伸びずこれは観戦するだけになりそうかなと考える。


「30万」


 どんどんと値段が吊り上がる中、静かな声が響きその方を見てみると腕を組み仁王立ちしている小林の姿があり金銭での戦いにおいて彼に勝るものは少ないだろうと思う。当然、周りはまたあいつかよという雰囲気となっておりこれまで出てきた商品を小林が買い漁っているらしい。


「30万で落札です!おめでとうございます!」


 進行役の生徒はもう慣れたのか落札された商品が小林の手に渡る。調べてみたら小林の両親は高名な探索者であるのに加えて大企業として有名な小林カンパニーの社長らしく資産ランキングにも名を連ねているらしく小林の無尽蔵な経済力の理由が明らかになった。


 そうしてオークションは続いていくが全て小林が落札しており場の雰囲気は凍り付いており小林が質のいい装備を取り巻きに配っていたがその装備の出どころは此処だったらしい。


「それでは本日最後の大目玉!『毒蜘蛛女王の剣』です!」


「おぉー!」


 あまりに見事な剣の登場に会場のボルテージが上がる。あれは金倉が作り命が持っていたクイーンの魔石から作った剣であり売りに出すという話は聞いていたがオークションの商品にされるとは思っておらず何だか気恥ずかしい。


 猛毒という強力なスキルが摘出されたとはいえ装備としての基礎能力は破格なものでありオークションの目玉とされているのも理解できる。


「先ずは50万から!」


「55万!」


「60万!」


 今までとは比べ物にならない金の吊り上がり方であり最後の目玉商品を手に入れる為に金を温存していたものまで参戦しこれならば小林も手が出せないかと思われたが。


「1000万」


 無情にも破格の金額を提示されて全員が黙り込む。今までの商品を全て手に入れておきながらまだ、それだけの金が残っているとは流石の命も想像していなかったが何となく小林が手に入れるんだろうなと思っていたため驚きは少なかった。


 お通夜の状態でオークションは閉幕しふざけんなと怒る者も居たがオークションというものは金を出したものが正義でありそれを上回る金を出せなかったものが悪である無情の世界なのだ。

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