【テルノフ空軍基地 作戦司令室(イスラエル)】
「確認されたか?」
レヴィ准将の問いに、戦術モニタ班主任のカーメル中佐が頷いた。
「爆圧波形、遅延起爆波長、地中熱反応のスペクトル一致。ターゲット内の熱源4箇所すべて消失を確認。全指標が“作戦成功”を示しています。」
部屋は静まり返っていた。誰も言葉を発さなかった。時計の針が秒を刻む音が、異様に大きく聞こえる。
中央スクリーンには、フリア解析によって描き出された施設地下構造の残骸が表示されていた。熱放出量の急減、および電磁パルス痕跡がMOPの深部起爆を証明していた。
「IAI監視衛星“オフィーク16”からの画像が到達。熱映像、目標地点にて爆心温度推定3,000Kを一時的に記録。地下インフラ、全損の公算大。」
作戦幕僚の一人が、低い声で呟いた。
「一撃で、心臓を撃ち抜いたな……」
レヴィ准将は、腕組みを解かないまま、重々しく口を開いた。
「始まったぞ。これで終わりではない。むしろ、火蓋を切ったのは我々だ。」
ヒズボラは即応態勢に入るだろう。南レバノンからのFajr-5、Zelzal-2、精密誘導短距離弾道弾が、次の48時間以内にガリラヤ、ティベリアス、ハイファを襲う可能性がある。
サイバー防衛部門は、イラン国家警察庁の報復的DDoSおよびSCADAへの侵入に備え、全ネットワークを物理遮断するプロトコルへと移行中。
だが——それでも、この夜、イスラエルは**“イランの核の心臓”に刃を突き刺した。**