【空中:B-2 コックピット】
「センサー確認、衝撃反応一致。遅延起爆成功。」
ホイットモア中佐の声は低く、無感情に近かったが、コンソールの数値は確実に意味を持っていた。爆弾は地中深く、指定された爆心点で起爆。機体後方に設置された高感度センサーパッケージが、爆圧波の地層反射、熱波の持続時間、微細な電磁ノイズの推移をすべて解析中だった。
「ターゲット内の分離機群、4基とも熱反応停止。中性子線スキャナによる燃料コンテインメントの異常反応なし。放射性漏出インジケータ、ゼロ。」
マクレランド少佐が手動で再確認した。赤外線スペクトラムの解析結果、起爆点の即時温度は推定2900ケルビン。地中鉄筋は溶解し、遠心分離機群の架台が爆圧で“下から”突き上げられるように破壊されていた。
「帰投ルートへ移行。第3プロファイル。アフガニスタン南部経由、データリンク封鎖モードに切替。AES256ビット暗号通信、自己破壊トリガー設定済み。」
機内の照明は戦術赤光に切り替えられ、HUDには帰還航路が自動描画された。フライトパスはパキスタン空域との接触を避け、東側制空境界を1.5ノット単位で調整しながら脱出するルート。
「起爆成功を確認。高度変動ゼロ、振動解析異常なし。推力設定をマッハ0.82に固定。燃料残量、標準値内。」