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第五話: “現場からの声を基にした提案”

翔太は、物流センター内で収集した現場作業者の声をもとに、新しい資料を作成していた。


異なるパレットサイズが引き起こす混乱や危険性について、具体的な事例と数値を交えてわかりやすくまとめることで、説得力を持たせる工夫を重ねた。


プレゼン当日、会社の会議室には経営陣や現場責任者が集まり、重厚な雰囲気が漂っていた。

長机の上にはそれぞれのメモ帳とコーヒーカップが並び、参加者たちは真剣な表情で資料を手にしている。


翔太は緊張した面持ちで前に立ち、準備した資料を手に、ゆっくりと深呼吸をしてからプレゼンを始めた。

「皆さん、日々の現場作業でどれほど多くの問題が発生しているかをご存知でしょうか。」


翔太はスライドを切り替え、現場作業者の意見を引用した。「例えば、『パレットサイズが違うと、置き方がジグザグになり、つまずく可能性がある』という声があります。この状況は作業効率の低下だけでなく、安全性にも影響を及ぼしています。」


翔太はこの意見を聞いた際、現場の危険性が作業者にとってどれほどの負担になっているのかを痛感しました。


彼はすぐに現場を巡回し、作業員がどのようにパレットを扱っているかを観察しました。

その結果、ジグザグになったパレットの間を通る際に、何度もつまずきそうになる場面を目の当たりにしました。


この体験が彼の提案をさらに強化する動機となったのです。

スライドには、現場の写真とともに、つまずきによるヒヤリハット件数のデータが表示されていた。


「さらに、積み替え作業が増えることで、作業者の疲労が蓄積し、商品破損のリスクも高まっています。」

翔太は次のスライドを指し示し、作業ミスによる損失コストの試算を説明した。

「これらの問題を解消するためには、パレットサイズの標準化が必要不可欠です。」


経営陣の一人が手を挙げて質問した。

「標準化にはコストがかかる。具体的にどれだけの効果が見込めるのか?」


翔太は頷きながら答えた。

「初期導入には確かにコストがかかります。しかし、標準化により年間で約15%の作業時間削減が見込まれます。さらに、安全性の向上により、ヒヤリハット件数を30%削減することができます。」


村上が口を挟んだ。

「それに加えて、作業効率が上がれば繁忙期の対応力も向上するな。」

会議室内は少しずつ前向きな空気に変わり始めた。


最後に翔太は、現場作業者の声を代弁する形で締めくくった。


「現場からの声を無視することはできません。異なるパレットサイズが原因で作業効率が低下し、安全性が損なわれている現状を改善することは、私たちの責務です。この提案は、現場の効率化と安全性の向上を図り、さらに長期的には会社全体のコスト削減にもつながるものです。具体的な試算データを基に、ぜひ導入をご検討いただければ幸いです。」


経営陣の一人が微笑みながら言った。

「確かに説得力があるな。だが、それだけでは多額な費用と時間をかけて行う必要性を感じないな。確かに、現場での作業効率や危険性も分かるが、費用対効果が低いと感じる。こう少し様子見だな。」


プレゼンを終えた翔太は、村上に労いの言葉を受けながら深く息をついた。

彼の中には、新たな挑戦に向けた確かな自信が芽生えていた。

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