犯した罪の大きさ
【第一話】犯した罪の大きさ
「ハァ…ハァ…!クッ…視界が…」
銀の髪か血に染まり、左目を魔物に奪われ
ボロボロの身体を引きずりながら神父が教会に逃げ込んだ。
「ハァ…ハァ…ここまで逃げ切れば…」
神父が古びた本を開き呪文を唱える。
辺りが結界で覆われる。
「ッ…失敗したのか…?俺は…クソ…何が足りない?お前は俺の本なんだろ?」
古びた本を見つめながら倒れ込む。
脇腹から血が溢れる。
ドンドンッ!
教会のドアが今にも破られそうに揺れる。
「あぁ…もう…俺は…ここで…終わりなのか…?」
ゆっくり目を閉じる
神父の脳裏に浮かんだのは幼き頃の記憶
ある少女の笑顔だった。
「…ああ…会いたい…会って…ゲホッ…グッ…ハァ…ハァ
…」
神父の口には鉄の味が広がる。
床に血を吐き捨てる。
バンッ!!
ドアが壊れ魔物達がゾロゾロと入ってくる。
「ハァ…このままどうせ…死んでしまうなら…グッッ…!」
神父が上半身を起こし古びた本を再び開く。
「どうせ死ぬなら…もう一度…!!」
血のついたまま指で文字をなぞりながら、赤いページの呪文を唱える。
古びた本が光だし、魔法陣が宙を舞う
いばらのツルと鎖が広がり
魔法陣から漆黒の髪の女性が現れる。
『私を起こしたのは、貴方…?』