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ヒモなダンナは宇宙人

作者: 無限飛行

亜梨沙(ありさ)、今日はお昼付き合うでしょ?ちょっと美味しいって評判のお店、見つけたって三課の子が言ってるの。行くよね?」

「うーん、今日は勘弁かな。この資料、今日中に仕上げないといけなくて。でないと定時で上がれなくなっちゃうから」

「え~また?最近は夕飯も付き合った事ないじゃない。チビちゃん達のお迎えなら、たまには旦那にやらせりゃいいじゃん。ウチなんか旦那が積極的でさ、いつも頼んじゃってるよ?共働きだけど家事も分担できてし。亜梨沙、もっと旦那に言った方がいいんじゃない?」

「お迎えは大丈夫なの。母さんに頼めるから。ただ、家事をしないといけないから」

「ちょっと亜梨沙、大丈夫?随分やつれているじゃない?!」

「だ、大丈夫だよ。ごめんね、今日は」



親友からの昼食の誘い。

これで10回連続の断わりになる。

たまには付き合った方がいいって判ってる。

息抜きも必要だってね。


だけど断わってる理由は他にある。

そう思いながらバックの財布を開けた。


「今月もギリギリだもの………」


そうなのだ。

今月もウチの家計は火の車なのである。

気分は滅入るばかりだ。


ふうっ

つい溜め息が出てしまう。

私はそんな気分の中、オフィスの窓越しに空を見上た。

外は晴れ渡る秋の空。

雲一つない青空には、扇型の巨大な影が若干の違和感を覚える。

すでに景色に溶け込むくらいに見慣れたその銀色の物体は、私にとっては溜め息の原因になりつつあった。






そう。


うちのダンナは宇宙人。


もう一度言うね。


うちのダンナは《《宇宙人》》なんです。



▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩


西暦2028年。

宇宙から巨大な扇型宇宙船が地球に降り立った。

それから20年後の2048年7月現在。

世界は当たり前のように彼ら(宇宙人)を受け入れてる。



2028年7月7日。

地球の各国にコンタクトを送ったタコレット星人は、その日の内にG7主要先進国にほぼ同時に使者を送った。


タコレット星人達は地球の事をよく知っていて、先進の科学技術を公開するかわりに、地球への移住を求めてきた。


彼らは元々破滅的大災害を逃れ、安住の地を求めて母星を旅立った流浪の民で、長きに渡り受け入れてくれる惑星と文明を捜していたらしい。


太陽系に到着したのは地球とコンタクト(接触)をとる一年前。

その一年間で地球の詳しいデータを取得して、綿密にファーストコンタクトを準備していた様だ。

そして真っ先に地球の主要先進国に使者を同時着陸させ、同一の提案をしたらしい。


当時、そのファーストコンタクトで、宇宙人から御歳暮をのし付きで渡された日本国総理大臣は、流石に目を白黒させて受け取ったという。

まあ、中身が総理の好物(何かは未公開)だったとの逸話が残っているが、詳細は定かではない。


▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩



私の名前は、星屑 亜里沙。

32歳。

中堅商社に務める、しがないOLよ。

私は既婚者でダンナと子供二人、母の5人家族。

子供は双子で、男の子と女の子の二人。

いずれも5歳。



ダンナの名は、星屑イケメーラ。

旧姓、イケメーラ▪タコレット。

タコレット星人、いわゆる宇宙人です。

しかもマスオさんです。



いまや日本には10万人のタコレット星人が暮らしている。

全世界では100万人。


タコレット星人は、外見的に地球人とほとんど変わらない。

外見的な相違点をいえば、髪の毛は淡いグリーンで綺麗な金の瞳だというところか。

あと、イケメンが多く何故か女性が居ない。


そう、何故か、女性が居なかったのだ。


この件については、タコレット星人のリーダー、イケイケ▪タコレットさん曰く。



◇星を出発する時、訳あって男女で別々の宇宙船に別れたとの事。

◇その時、女性の船に重大事故が発生し、宇宙の深淵に取り残されたとの話。



なので、合流する事は困難なんだそうだ。


宇宙船を別々に分けた理由は《《生理的問題》》だったとし、それ以上は語らない。


まあ、地球のお偉いさん達は、そんな些細な事はどうでもよくて、取り敢えず受け入れて、その科学技術を手にしたかったようで、さっさと地球に着陸させ、移住をすんなり認めてしまった。


それから20年、彼らは世界じゅうに散らばり、日本においては、政令指定都市なら必ず居るようになったらしい。

まあ、そんな当たり前の情報なんて、今の私には必要ないんだけどね。



本当に必要ない。



だって私は、あの《《くそ》》ダンナに三行半を突きつけてるところなんだからーっ!



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



正直、なんであんな奴と一緒になったのか、よくわからない。

まあ、あえて言うなら《《夜の生活》》がめちゃくちゃ良かった事。


……そう。

あいつらのもう一つの身体的特徴ーー!

あっちの《《ナニ》》が凄いのよ。


とにかくハンパなく凄い。

欲求不満かって?

違うわよ!


あいつらの《男性自身》って自由に意識して動かせるし長さも大きさも自由自在。

そう、タコレット星人の最大特徴は、彼らの《《男性自身》》なのよ。


正直、タコレット星人と夜のお相手をして、朝まで気絶せずにいられる地球の女は居ないでしょうよ。


これがタコレット星人の特徴。

しかもかなりの絶倫ね。

イケメンで夜が凄くて、なんでそれで三行半って思うでしょ?



はっきり言うわね。



クズです。


は?

わかんない?

ええっと、なら最低男。

ヒモ、浮気者、くそ野郎、役立たず、粗大ごみ、只の種馬、3又野郎。

女をバカにし過ぎ。



先日も、家族の 団欒(だんらん)の席で、一人遅く帰ってきた時の事。



◆◇◇◇



「アリサ、タクシー代足ンナイ。クレ」


「は?あなた、見てわかんない?私達、夕飯の食事中なのよ。あなたの帰りが遅いから今、食べだしたところよ。そもそも働いてないあなたが一体、何処からタクシーを使うっていうの!?」


イケメーラは靴下も履かず、玄関から廊下をペタペタと歩いてくる。


私は食卓で子供達と母とケーキを囲んで、子供の5歳の誕生日を祝っていた。


この男は放浪の癖があるので何日も前から言っておいたのだが、にも関わらず家を開けて何処かに行っていたのだ。


「ミヨ子、友達。タクシーデ家マデ送ル。ソノオ金、必要」


片言の日本語で話すダンナ。

みよ子って、誰よ!?

私がダンナを睨みつけると、何かを感じたのか、子供達が私に抱きついてくる。


「「まま~っ」」

「はい、はい。大丈夫ですよ。パパはあてにならないけど、ママがいますからね!」


私が子供達を抱きしめていると、母が代わりにイケメーラに言った。


「イケメーラさん、誰かを待たせているのよね?取り敢えず、タクシー代はいくら?」

「母さん、払わないで!」

「どっちにしろ、家の前で近所迷惑だよ。話ならタクシーの後にしておくれ」


母子家庭で私を大学まで行かせてくれた母。

さすがにサバサバして、確実にポイントは外さない。


「タクシー代、3万。オ願イ」

「はい、3万。さっさと払ってきな」


相変わらず、マイペースのダンナ。

母から3万円を貰うと、ニッコリしてペコペコお辞儀をし、また玄関に向かう。

無駄にイケメンが癪に障る。


「3万!?あなた、一体何処まで送るつもりなの?」


私の驚きの声は聞こえているはずなのに、そのままペタペタと出ていくダンナ。

何時もの事ながら呆れて溜め息も出ない。


私は子供達を抱えながら、ガックシと肩を落とした。


「ママ、ママ、パパは何処にいくの?」


娘のアサリコが聞いてきたが、なんて言えばいい?

愛人のところ?

それとも、恋人のところ?

言ってもいいが、保育園の年長で来年には小学生のこの子達は口止めしても友達には話すだろう。


そうなれば、ママ友達の格好の餌食だ。

ご近所だって満足に歩けなくなる。


それに子供が小学生になれば、登下校の見回りはローテーションで回ってくる。


今だって職場ではダンナとの夜の話しを聞きたがる後輩達が、いつも昼には押し寄せるのだ。

プライベートに近いところでも《それでは》心休まる気がしない。


しかも、どういう訳かタコレット星人達は、うちのダンナを含め、外面だけはやたらいい。


いやいや《《見かけ》》の話じゃないよ。

勿論、見かけもイケメンだから、其もあるかも知れないが其だけじゃない。


何故か彼らは誰に対しても低姿勢だし、女性に対しては徹底的にジェントルマンだよ。


それも《《見境なく》》徹底的にね。





【紳士で礼儀正しく理知的で性格が良く情熱的で恋多き人たち】


これが世間一般の彼らへの評価。

つまり理想のイケメンで女にモテモテって事なのよ。


でもさぁ、所帯持ちのタコレット星人の評価は全く別人なんだけど!


だいたい、その【情熱的で恋多き人たち】のところがさ、何時までヤってんだよって言いたい!

ふざけるのも大概にして貰いたい。



「ママ?」


おっと、アサリコに聞かれてるんだった。

どうしよう。

仕事に行ったって答える?

20時から?


「アサリコ、パパは、職場に忘れ物をとりに行ったんだ。ね?ママ」


な、NICEマサリコ、うちの息子。

5歳にして空気の読める賢い子。

しかも将来、確実にイケメン。


肌は色白、淡いグリーンの髪に私譲りの茶色の瞳。

超有望株。

当然双子だからアサリコも美少女になる。


「そ、そうよ。マサリコのいう通り。だから、直ぐに戻ってくるから」

「はーい」


ふう、マサリコの機転で、アサリコを納得させられた。

あ、息子が私にウインクしてる。

なに、このイケメン。

(よわい)5歳にして《タラシ》か!

惚れてまうではないか。

ママは将来が心配だよ、息子よ。


流石に血は争えないか。

タコレット星人はハッキリ言ってタラシ。

呼吸をするようにタラシ。

歯の浮くような言葉を吐き、何時でも女を見境なく口説くプレイボーイ集団。


けれど性格が良くて低姿勢。

イケメンで夜が良くて絶倫でって世の独身女性のあこがれの的よね。

だからマスコミも世間も彼らに好意的。

芸能人のタコレット星人はとにかくも多い。


まあ今のダンナも、そんなところに私も引かれたんだけど。


けれど、いざ家族になったら私生活は変えるものでしょ!

あのダンナは其が全く判って無い!!

だいたい妻の見てる場所で、堂々と他の女を口説くって、何よ!?

隠さず堂々とやれば妻公認になるからいい?

隠せよ!

いや、その前に口説くなよ!

いい加減にして!



それに子供の誕生日に遅刻した挙げ句、気にも止めずに、その遅刻理由の愛人との付き合いを優先する《《くそ》》!

何者だよ、宇宙人かよ!

あ、宇宙人だった。


とにかく、最低なダンナ。

その《習性》は結婚後も変わらず、仕事もしないヒモなダンナ。

もう、限界!!



▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩



それから半年後、私はついにあのダンナに離婚を宣言した。


ハッキリ言おう。

堪忍袋の紐が切れたのだ。



するとダンナは目をパチクリして、こんな事を言いやがった。


「アリサ、構ッテヤレズ悪カッタ。今日ハ抱イテアゲル。ダカラ機嫌直ス」


ニッコリ笑い、私を抱きしめてくるダンナ。

いままでは、こうして誤魔化されたのよ。

でも、もう誤魔化されなぁーい!!

あ、アンタなんか、アンタなんか、私の事を何とも思ってないんだからーっ!


チュッ


「……………!」


私がダンナを睨みながら、次の言葉を言おうとした途端、ダンナはキスで口を塞いだ。

ま、まだだ。

絶対、今度こそ言ってやる!


「愛シテル。コノ宇宙ノナカデ、誰ヨリモ愛シテル。ボクハ、君ガイナケレバ生キテイケナイ。ボクガ間違ッテイタ」


だ、騙されないで、星屑 亜里沙。

私は今日、このダンナとの腐れ縁を立ち切るのよ!

このまま押し切るの!


「女達トハ、今日限リ別レル。許シテ、奥サン」


ま、前と同じよ。

前もそう言ってたけど、そうじゃなかった。

確かに、いままで付き合っていた子達と別れたけど直ぐに別の女達を連れてたわよ!


貴方の《別れる》は確かに本当。

だけどそれは、今付き合ってる子達と別れるだけで、また直ぐ新しい女を作るのよ!

騙されないで、亜理砂!

ここで言わないと、繰り返しになるわよ!


「子供達、可愛イ。大事。ズット一緒二イタイ。アリサ、君ト子供、オ母サン、大事二スル、ダカラ、シヨ?」

「………」


だ、駄目、亜理砂!

ダンナのペースだ。

また、優しく見つめる金の瞳が哀愁を漂わせて憎らしい。

ホントにイケメン顔で吐かれる甘い言葉と、仕草と、耳にかかるダンナの息が、私の決心を鈍らせる。

うう、しかもダンナは、その匂いまで甘い。


これもタコレット星人の得意体質。

女をその気にさせ抵抗出来なくさせる。

い、いけない!

このまま、なし崩しに抱かれたいと思っている自分がいる。


駄目ーっ!



◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



翌朝。

寝室で起きるとダンナは居なかった。


時計は、Am9:30

完全に遅刻だ。

慌てて着替えて、下のリビングに降りる。



「子供達は朝御飯食べて、保育園のバスに乗せたよ。あと、会社には風邪で休みって連絡済み」


流石、お母さん。

何時も頼りになる。


「あ、有難う。お母さん。助かります。その、アイツは」


「ダンナ?朝御飯食べて、すぐに出て行ったよ。バスの保母さん達に愛想笑いして、キャーキャー言われてたけど」


「……!あんの、馬鹿」


また、ヤってしまった。

アイツのペース。

私が何か言おうとするたびに気絶させられ、なし崩し。


それから一週間、ダンナは何時ものように、家に帰って来なかった。



▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩



それから更に一週間後の日曜日の午後、ダンナは帰って来た。

また、新しい女を連れて。




「イケちゃん、ここがイケちゃんのお家?思ったより質素じゃん。お金なさそーっ」


金髪で顔黒コギャル女が、ダンナの後ろから許可もなく家に上がる。

また見た事のない新顔だ。

しかも何時も、わざわざ紹介にくる。

ふざけんな!


私がじっと睨んでいると、コギャルはダンナに隠れて言った。


「ねぇ、ねぇ、イケちゃん。へんなおばちゃんがあたしを睨んでるよ。怖いんだけど」

「大丈夫。コノ人ガ、私ノ奥サン」

「え、そうなの?お小遣いをくれる人?」


誰が、おばちゃんだ!

誰が《《お小遣いをくれる人》》だ?!


お前は奥さんがいると承知でダンナと付き合い、しかもその奥さんからお小遣いをねだろうとするのか?


貴様、何人(なにじん)だ!?



「アリサ、オ金、5万、ホシイ」

「なんの為?何でアンタ達にお金を渡さなきゃなんないの?ふざけてんの?」



私が、ダンナの言葉に後ろを向いて腕組みをしてると、あのコギャルが吐きやがった。



「奥さん、拗ねてんの?チョー受けるんだけど」

「何ですって?!」



この世間知らずのションベン臭い小娘が!

私が震えながら耐えていると、私と二人の間に小さな人影が割って入った。



「ママを苛めるな。お前達は出ていけ!」



息子のマサリコが、両手を広げて私を庇う。

ああ、なんてウチの子はイケメンなの。



「あっれ~っ、かっわいい!《これ》、イケちゃんの子供?撫でていい?」



コギャルがマサリコに手を伸ばす。

ウチの子に、その汚い手で触れるな!


バシッ

マサリコがコギャルの手をはね除ける!?



「よるな、ババァ!」

「な、バ、ババァ!?」



マサリコ、よくやった!

ババァって言われてコギャルが目を白黒させている。

ざまぁ!



「マサリコ、ミサコ、パパノ友達。ソンナ言イ方、駄目」



くそダンナが何かほざいてるが、マサリコは無視だ。



「お前なんかパパじゃない。この家から出ていけ!ババァもだ!」

「なんだよ、このガキ!あたしをババァだと?!」



手を上げるババァ、もとい、コギャル。

マサリコ、危ない?!


バシッ


私はコギャルがマサリコを殴ろうと手を上げた時、マサリコを抱きしめて防いだ。

コギャルの手は私の頭に降りそそいだ。


叩かれて頭が揺れたが、ぐっと堪えた。

こんなもの痛くない。

私は、ダンナとコギャルに背を向けた状態で、マサリコを抱いたまま動かない。



「マ、ママ?!ママ、ママ!」

「大丈夫、大丈夫よ、痛くないから」



マサリコが心配して私を呼ぶ。

大丈夫。

あなたが無事なら私はなにも怖くない。


「ア、アリサ?!」


チラッと後ろを見ると、ダンナがオロオロしており、コギャルが真っ赤な顔をしている。


「まま~っ」


更にアサリコが駆けてきて私に抱きつく。

私はここよ!

私はアサリコも一緒に抱き込む。

ダンナとコギャルを睨むマサリコ。



「な、何よ?あたしが悪者みたいじゃない」


私達のやりようを見たコギャル、呆れたように言って後ろに下がる。



「なーんか、飽きちゃった。イケちゃん。あたし、帰るね」

「ミ、ミサコ。マ、待ッテ!」



ダンナは、私とコギャルを交互に見ながら、結局コギャルに付いて行った。

マサリコは、二人の姿が見えなくなるまで睨んでいた。


マサリコ、アサリコ。

ごめんね、今まで優柔不断で。

ママ、もう迷わないわ。








▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩


◆20年目のタコレット星人の件で、国連で一定の論文と報告がなされた。



◇タコレット星人達は、そのほとんどがオペレーター止まりの者しか居なかった。

機器の使い方は判るが、その詳しい技術系の者が居なかったのだ。

だから地球の技術を超える機器について、地球人が新たに作り出す事が出来なかった。


◇それとタコレット星人達は、どこでも怠惰で働かない者が多く、女性を見境なく口説くので各国でも問題になっているらしい。


◇新報告で、もう一隻の扇型の宇宙船がすでに国連に接触しており、新たな移住希望のあるタコレット星人である事が分かった。

その数、ざっと300万人。

此方は宇宙の深淵で消息を絶っていた、女性だけのチームであり、先に到着した男性チームと対を成すグループであると分かった。


◇また、タコレット星人の女性達は全て技術職で、彼らの科学技術、機器の構造からその製造方法まで判るらしい。

しかも一様に働き者。


◇だが技術提供に当たって、彼女らから要求があったらしい。

その要求とは《先に移住しているタコレットの男共と会わないようにして欲しい》との要求だったとの事だ。


何でそんな要求をするのか。


理由は、タコレット星人の男らが女タラシで女から搾取する事しか考えないヒモ集団だったからだそうだ。

つまり《女タラシでヒモ》は、タコレット星人男性の習性だったらしい。


よって、タコレット星人の男達はタコレット星人の女達から三行半を叩きつけられた状態だったようだ。

同族の女達から総スカンって、なんとも情けない話よね。


ホント、真性のヒモだったのだ。


▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩







あれから、ダンナとは会ってない。


時々、玄関口に姿が見える事があったが、徹底的に無視した。

その後、姿を見た事はないが、風の便りで愛人達の家を転転としているらしい。


離婚書類は未だに印を押して貰ってないが、子供の親権やその他の手続きはきっちり進めている。


もう、貴方には振り回されないわ。




◆◇◇◇




「マサリコはわたしのものよ!」

「舞ちゃんズルい。マサリコはあたしの!」



一つ、不安材料があるとすれば息子のマサリコの事だ。


小学校に上がってそうそう、毎日の登下校に数人の女の子が取り囲んでいる。


皆、マサリコのガールフレンドだ。



はぁ、血は争えないのかしら。


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