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強制的に転生させられたおじさんは公爵令嬢(極)として生きていく  作者: 鳶丸
本編

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862 おじさんダンジョン作成で悪巧みをする


 ――ウルディア。

 レグラップにある塔型ダンジョンのコアである。

 おじさんがうっかり転移したことで、あっさり攻略されてしまった。

 

 その後、おじさんと契約し、公爵家でお世話になっている。

 半分くらいはダンジョンに帰っているが、だいたい食事時には戻ってくるのが通例だ。

 

 そもダンジョンコアは食事をしなくてもいい。

 あくまでも嗜好品という位置づけなのだ。

 

 だが、おじさんちの食事は美味しい。

 ウルディアが帰ってくるには十分な理由だろう。

 

 うどん祭りの翌日のことである。

 おじさんはウルディアと一緒にいた。

 今日も学園はお休みだ。

 

 レグラップの塔型ダンジョンのコアルームである。

 ウルディアの本体となる大きな宝石が鎮座している部屋だ。

 それ以外は特になにもない。

 

 おじさんとウルディアの他には侍女だけである。

 

「約束どおりウルディアのダンジョンを拡張しましょうか」


 アミラのダンジョンは初級者向けとして特化している。

 コーネリアスのダンジョンは果樹などの栽培エリアだ。

 そして、ウルディアのダンジョンは攻略専門にしたいおじさんだ。

 

 三つのダンジョンコアと契約しているので、こういった運用の仕方ができる。

 

 まずウルディアに魔力を供給するおじさんだ。

 ぶるりと身体を震わせるウルディアだ。

 

「ねー様の魔力があったらなんでもできそう」


 手をにぎにぎとしながら感触を確かめている。

 そして、にんまりとウルディアが笑うのだった。

 

「魔力が足りなくなれば、いつでも言ってくださいな」


 事もなげにしているおじさんだ。

 

「では、ダンジョン拡張とまいりましょう。ここは経験者としてサイラカーヤの意見が聞きたいですわ。冒険者にとってどんなダンジョンが望ましいのでしょう?」


 おじさんの質問に首をひねる侍女である。

 いきなり聞かれても困る。

 しかし、自分の経験を思いだしながら言葉を紡いでいく。


「そうですわね。まず敵となる魔物が強ければ歯ごたえがありますわ。弱い魔物のダンジョンだと、あっさり攻略できますから」


「なるほど。魔物は強い方がいい、と。その点で言えば、ウルディアのダンジョンはよくできていましたわね」


 おじさんの言葉に、ふんすと鼻を鳴らすウルディアだ。


「恐らく攻略の難易度自体は高くないのでしょうが、時間制限を設けることによって、ちょうどいい難易度になっていると思います。これなら攻略できなくても問題ありませんしね」


「私も同意しますわ。時間制限をつけるというのは、良き考えかと」


 侍女にも褒められてウルディアは有頂天だ。

 ふんす、ふんすと連続で鼻を鳴らしている。

 

「ウイルディアはダンジョンを拡張するのに、なにか希望はありますか?」


「新しく作りたい!」


 はい、と手をあげるウルディアだ。

 

「新しく作りたい、というのはどういうことですの?」


 もうちょっと詳しく聞きたいおじさんだ。

 例えば塔型ダンジョンの階層を増やすというのも、新しく作るに該当すると思う。

 あるいはまったく新規でダンジョンを増やしたいのだろうか。


「もうひとつ塔を増やしたい」


 後者のようである。


「それはかまいませんが、できますか?」


 おじさんにとって心配なのはそこだ。

 今までは階層を増やすということをしてきた。

 

 しかし、階層を増やすのではなく、新規にダンジョンを作るのだと言う。

 それは経験したことがない。


「ねー様の魔力があったら大丈夫」


 ダンジョンコアであるウルディアが言うのだ。

 だったらできるのだろう。

 

 幸いにして、塔型ダンジョンの周囲の土地は開けている。

 草原の中に塔が建っているという状況だからだ。

 

「いいでしょう。では、新しくダンジョンを作りますか。では、どのような考えで作りますか?」


 そこで、はい、と手を挙げる侍女だ。

 

「私は難易度を高くしてもいいと思います。例えば時間制限を短くして、でてくる魔物も強いものにする。その代わりに階層は十階層とかどうでしょう?」


 現在のウルディアの塔型ダンジョンは実質三十階層だ。

 ギミック有り、魔物有りで、時間制限は八時間。

 一日に一度しか挑戦できないという縛りがある。

 

 これを十階層だとしたら、三分の一だ。

 時間制限は単純計算だと二時間四十分。

 

 ただし魔物の強さとギミックを考えると、単純計算は厳しいだろう。

 時間制限は現在の半分となる四時間としてもいいかもしれない。

 

 そんなことを考えるおじさんだ。

 追々その辺りは調整していくといいかもしれないが。

 

「それはいいかもしれませんわね。基本的な運営方針は変えずに、ダンジョンの難易度を変える……うん、いいですわね」


「でしょう?」


 侍女が喜んでいる。

 

「ただ、それだけでは面白くありませんわね」


 おじさんがニヤリと笑った。

 

 現在の塔の隣に新しく塔ができたとしよう。

 そして、ただの高難易度ダンジョンであるとするのなら。

 わざわざ入ってこようとするだろうか。

 

 それなりの旨みがなければ、冒険者たちは入ってこない。

 そう思うのだ。

 

 ぶっちゃけて言えば、そんなダンジョンに入るのは酔狂な者だけだ。

 例えばおじさんちの侍女であるサイラカーヤとか。

 

 なので、敢えてここは差別化する必要がある。

 現在の塔型ダンジョンがミドルリスク・ミドルリターンならば、だ。

 新しいダンジョンはハイリスク・ハイリターンであるべきだろう。

 

 とは言えである。

 ハイリスクといっても命をやたらと奪ってしまうのは本意じゃない。

 そういうのは、おじさんが管理するダンジョン以外でやってほしい。

 

 ウルディアのダンジョンくらいのリスクなら飲もう。

 それはそれで冒険者という仕事にも含まれるからだ。

 

 ということを説明するおじさんであった。

 

「ウルディアはなにか考えがありますか?」


「ねー様の魔力とコアの権能があったら死ななくできるかも……」


「死なないですか?」


「でも道具がいる。その道具とコアの権能を使って……」


 ブツブツと呟くウルディアだ。

 色々と考えているのだろう。

 

「仮に命の危険がないとなったと言うのなら、あ! そうですわ!」


 おじさん思いついてしまった。

 

「復活するときに呪いをかければいいかもしれませんわ」


「呪い!」


 侍女が派手に驚いてみせる。

 

「呪いといっても一生続くものではありませんの。次に挑戦するときには解除されるくらいのものでいいですわ」


「冒険者としては武器や防具が使えなくなると嫌ですわね」


 侍女の言葉に頷くおじさんだ。

 いわゆるアイテムロストである。


「そうですわね、幾つかの呪いが無作為に付与される形が面白いかもしれません」


 色々と腹案があるのだろう。

 悪い表情で微笑むおじさんである。

 超絶美少女がそんな表情をすると、ちょっと怖い。

 

「ねー様。コーちゃんとアミラと相談したい」


 ウルディアがおじさんの袖を引いた。


「承知しました。少し待ってくださいな」


 と、おじさんはコアたちと念話をする。

 二人とも時間は空いているようだ。

 

 なので、おじさんは召喚してしまう。

 もはやこの程度の離れ業は、当たり前にできる。

 

「コーちゃん! アミラ!」


 ウルディアたちコアが頭を突き合わせて相談し始めた。

 色々と確認したいこともあるのだろう。

 

「お嬢様。思うのですが、死なない道具ができたとしたら、それはもう恐ろしく儲かってしまうのでは?」


 侍女の素朴な疑問であった。


「わかっています。まず道具を作るとしても利用できるのはダンジョンの中だけですわ。そして利用できるのは一回の攻略につき、一回のみ。要は使い捨てですわね」


「……なるほど。外部には流通させない、と」


 コクンと頷くおじさんだ。

 

「その上、アイテムが利用できるのは新しいダンジョンだけとします」


「なるほど! それが売りになるのですね」


「そのとおりですわ。ただし時間制限で攻略が終了した場合の呪いはなし、道具で復活した場合は呪いがあるとしましょう」


「そして、魔物が強く、お宝もある、というダンジョンですか」


「どうですか? 魅力的でしょうか?」


 侍女に確認をとるおじさんであった。

 頭の中で描いているのだろう、目を閉じている侍女だ。

 

「いいですわね。ワクワクしますわ!」


 侍女がそういうのなら間違いないだろう。

 

「では、どの程度まで魔物を強くするかですわね」


「ウルディアのダンジョンの上層はゴーレム系でした」


 そうなのだ。

 おじさんなら一瞬で支配権を奪ってしまえる。

 なので、あっという間に攻略できた。

 

 だが、一般的にゴーレム系は強い魔物に分類される。

 なんたって頑丈で、タフなのだから。

 

「最低でも上層のゴーレムクラスは作らないといけませんわね」


 あ! とまたもや思いつくおじさんだ。

 

「ひょっとしてイシルディンゴーレムとか、アダマスゴーレムとか作れちゃいませんか?」


 ミスリルの上位になるのがイシルディンだ。

 おじさんが作った透明になる金属である。

 そして――アダマンタイトのゴーレム。

 

「いいですわね! とっても楽しそうですわ!」


 侍女とおじさんがハイタッチをする。

 だいたいにして、この時点でおかしいのだが二人は気づかない。

 

 そもそもの話。

 ウルディアのダンジョンは誕生してから一度も攻略されていない。

 それは時間制限という縛りがあったのも大きいだろう。

 

 だが、純粋に難易度が高かったのだ。

 

 そのダンジョンを難易度が低いと言い切ったおじさんが、高難易度ダンジョンを作るという。

 

 言わずもがなの結果になるだろう。

 

 この場にはツッコみ役が必要だった。

 だが、悲しいかな不在なのである。

 

 故に――恐ろしく迷惑なダンジョンが爆誕することになるのであった。


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― 新着の感想 ―
>そもそもの話。 >ウルディアのダンジョンは誕生してから一度も攻略されていない。 >そのダンジョンを難易度が低いと言い切ったおじさんが、高難易度ダンジョンを作るという。  ねえ?  そうなりゃもう、…
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