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強制的に転生させられたおじさんは公爵令嬢(極)として生きていく  作者: 鳶丸
本編

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058 おじさん未踏破区域でお宝を発見する




 見せ場がまったくなく撃破されてしまったエリアボスだが、しっかりとドロップ品を落としていった。

 成人男性の握り(こぶし)くらいはある宝珠に、羽織っていた黒地に金の縁取りがあるローブだ。

 いわくつきの雰囲気がたっぷりとあるが、トリスメギストスによると幾重にも魔法が付与されたものとのことだった。


「メーガン先生、お使いになります?」


「いや、りーちゃんが持っていくといいよ。私はなにもしていないからね」


「そういうものですの?」


 おじさんが首をかしげる。

 その姿に女性講師は見惚れたが、すぐに首を縦にふった。


 おじさんはドロップ品を回収したあと、辺りを見回してみる。

 まだ柱の上部ではドクロの炎が灯っていた。

 “ん?”と違和感を覚えたおじさんは、トリちゃんに声をかける。


「あの炎って魔法ではありませんの?」


 ふよふよと空を魔導書が飛んでいく。

 

『……ふむ、面白いな。主よ、あの骸骨が座っていた玉座を調べるといい』


 その言葉に従って玉座を調べるおじさんである。

 すると肘掛けの部分に仕掛けが施してあった。

 演出用の魔道具が組みこんであったのは、おじさんが知りたくなかった事実である。


「ねぇリーちゃん! ちょっといい?」


 女性講師が近づいてきて、玉座を調べはじめる。

 “ふん”と気合いを入れて、玉座を押すとずずずと音を立てて後ろへ下がっていき、隠し階段が見えた。


「やっぱり! なんか怪しいと思ったのよね」


 得意そうな表情で女性講師は鼻を鳴らした。


「お宝の匂いがするわ!」


 女性講師が飛びこむようにして、隠し階段へと身を躍らせる。


「メーガン先生!」


 おじさんも慌てて後に続いていく。


 隠し階段を降りきると、そこは古い金貨や宝飾品が積まれた石造りの部屋があった。


「やったわ、リーちゃん! お宝よ、お宝!」


 女性講師が小躍りしている。


「めずらしいのですか?」


「もちろんよ! 現役のときだってこんな発見はなかったわ!」


 とは言えである。

 この量の財宝をどうやって持ち帰るのか。

 おじさんとしては宝珠次元庫を使えばいいと思っている。

 今さら出し惜しみするようなものでもないからだ。


 ただ女性講師がどう考えているのか知りたかった。

 この場所はダンジョンが攻略されて長い間、未踏破区域だったのだ。

 またここに訪れる方法があるのか、と。


「どうするのですか?」


「とりあえず高級そうなものを選んで持ち帰るわよ。あとエリアボスを倒しても脱出用の転移陣がでないってことは……」


 女性講師の言葉の途中で地面が揺れた。

 立っていられないというほどではない。

 しかし体感できるほど揺れは大きかった。


「大丈夫。これは他の区域と接続されているだけだから。エリアボスを倒すと入口に戻れる転移陣がでるんだけど、ここはでていないから。こういう場合は隣接する区域と接続されるのよ」


 その言葉のとおりにしばらく待っていると、ガラガラと石壁が崩れていく音が聞こえた。


「さっきのエリアボスの部屋の壁ね。ちょっと戻って確認してくるわね」


 ちょうどいいタイミングだと、おじさんは判断した。

 宝珠次元庫をとりだし、お宝を丸ごと収納してしまう。


『我が主よ、その魔法は素晴らしいな』


「でしょう? 開発するまで苦労したんですのよ」


『うむ。恐らくだが古代に使われていたものより魔力の効率がいい』


「気をつかいましたもの」


 おじさんが胸を張っていると奇声が聞こえてきた。


「あいえぇええ!」


 財宝がなくなった部屋に戻ってきた女性講師である。


「リーちゃん! お宝がなくなっちゃってりゅ! なんれ! 夢だったの!?」


『ええい、落ちつけ、見苦しい。我が主が収納しただけだ』


「収納?」


『そういう魔道具である。詳しいことはいずれ知らされるはずだ』


「え……と。リーちゃん?」


 女性講師がおじさんの方に顔を向けた。


「トリちゃんの言うことは本当ですわ」


 本日、何度目になるかもわからない驚きで女性講師の思考はとまってしまった。


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