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バイオビジネス

若頭は恐怖で気を失いそうになっていた。

「そうだ、今頃親分達が同じ目に遭っているはずです」

三雲がそう言うと警察が入ってきた。


錦糸町では組の子分の一人が落ちたブレイカーを上げて電気がついた。

そこに亮は組事務所のドアをノックした。

「こんばんは、矢頭さん」

「なんじゃ、ワレ」

暗闇になって慌てて興奮していた、子分の一人が亮に迫って来た。


「組長さんに用がありまして」

「なぜここにいるんだ、

團!」

亮の顔を見て矢頭は声を上げた。

「こんばんは、あなたの子分が大勢で私の会社に

入ってきたので、苦情を言いに来ました」


「な、なんの事だ」

「うちの会社を襲撃させたじゃないですか」

「知らん!俺は命令していない」

矢頭は横を向いた。

「では、この方は知らない人ですか?」

亮は床に座らせている男の写真を見せた。


「し、知らん」

「冷たい人ですね。これじゃ子分さんも気の毒です。では別な人に」

亮は一人の男に

写真を見せると

「あっ、兄貴!」

「こちらは、知り合いなんですね」

「はっはい、若頭です」


「この方は立派な方で腹を切って病院に運ばれました」

「腹を切った?」

「責任を取ったそうです、さすがヤクザさんです。

この誰だか分からない男はいずれ警察で

自供すると思います。誰に命令されたか」


「ふん」

「さて、今回の襲撃は

誰が誰の指示で動いたのでしょうか?」

亮が矢頭の顔を覗き込むと矢頭は横を向いた。

「では、我々はあなた達の身柄を拘束します」

「何言っているんだワレ」

亮が矢頭に手を伸ばすと

その手を払った。


「公務執行妨害で逮捕します」

「何、公務執行妨害だと何言っているんじゃい

警察でもないくせに」

「YouTuberの私人逮捕ではありませんよ。申し遅れました。

警察庁警備局公安部警視團亮です」

亮は身分証を見せた。


「そんな馬鹿な話聞いたこと無い、偽物だ!」

「仕方が無い皆さん逮捕してください、

蓮華は撮影お願いします」

「ええっ〜なんで」

「大人の事情です」


「何揉めているんだよ。やっちまえ」

子分達はセーラー服姿の小妹と桃香、美喜にとびかって行った。

女と言えど三人に適う訳もなく、子分たちは次々倒されて行った。

特に美喜は止めに男達の股間を蹴って行った。

「美喜さんて男の股間に恨みがあるのかしら?」


「さぁ、矢頭さんも逮捕しますよ」

「これでもか?」

矢頭はピストルを亮に向けた。

亮はそれを見た瞬間、1歩前に出ると

矢頭は思わず引き金を引いた。

「パーン」

音が部屋中に響いた。


「あっ」

亮は胸を抑えた。

「蓮華録画してあるね」

「はい」

亮は素早く矢頭の手首みねじり上げそれを蓮華のカメラの前に持って来た。

「殺人未遂、銃砲刀剣類所持等取締法違反現行犯ね」

亮はそのまま、ピストルを取り上げ蓮華に渡した。


矢頭は教唆犯を逃れようとしても、別件で逮捕して自供に追いやる事が確実となった。


「大丈夫?」

美喜が駆け寄った

「大丈夫です。履いています」

小妹がホッとしてニコニコ笑った。

「バンツじゃないよ、まったく」

美喜が亮の股間を蹴ろうとしたが止めた。

「それには恨みがない、むしろ」


「三人は今から警察が来るから引き上げてください、

僕は警察と話があるので遅くなります」

「了解」

「みんな、次はメキシコなのでよろしく」

「はーい」

美喜と小妹と蓮華と桃華の四人が帰ると直ぐに

警察車両が次々に止まり、警官と刑事が入ってきた。


「誰だお前」

特捜の刑事が亮を睨め付けた。

「ご苦労さまです、團亮と申します」

「なぜここにいる?」

「通報者です」

「事情を聞けせてもらう」

「ここの事務所に来たら皆さん武器を

持っていらっしゃたので

逮捕しました」


「逮捕って…なぁこれだけの数を相手にか?」

「まぁ、友人もいましたけど」

「怪しいなぁ、あなたも逮捕しますよ」

「逮捕ってどう言う罪ですか?我々は素手ですから正当防衛です」

「そうだなぁ」

特捜の刑事が返事に困った。


「何か身分を証明するものは運転免許証とかマイナンバーとか」

「わかりました」

亮は財布から運転免許証とマイナンバー

胸ポケットからパスポートを取り出した。


「運転免許証だけで結構です」

刑事は運転免許証を受け取って無線で身分照会を始めた。

「ありがとうござました。

問題ありませんね、ところでご職業は?」


「あっ、これで職業がわかると思います」

刑事は見慣れた身分証を見た。

「警視…」

「はい、警察庁警備局公安部に所属しています」

「警備局!失礼しました。早く仰っていただければ良いのに」

警察組織は階級は元より所属箇所で違って来る。

刑事は地方公務員、亮は国家公務員その違いは大きい。

「はい、運転免許証とかマイナンバーカードと言われたので」

「そ、それで今日は」

「実は先程大崎の会社の襲撃があってその首謀者が

矢頭組長の疑いがあって聴取来たらこの様な状況になったのです」

「まもなく、暴対の刑事が来ますので少々お待ちください」

刑事は同僚と話を始めた。


「あの方が有名な秘密捜査官

Rさんではないのか?」

「局長直属の?」

「ああ、ハイジャック犯を一人て捕まえたと言うと人だ」


そこに原美咲から電話がかかってきた。

「今度はどうしたの?」

「大崎の僕の会社が矢頭組との襲撃を受けて、

止めるように言いに来たら反撃に会ってしまって、

逮捕した訳で、それから僕撃たれました」

「えっ大丈夫?」

美咲は樫村を思い出して

血の気が引いた。


「大丈夫です、防弾ウェアを着ていました」

「そう、良かったわ。お願いだからむちゃないで。処理しておくから」

「逮捕者が沢山いて大変ですが、よろしくお願いします」

「どれくらい」

「大崎が五十人くらい、こちらが二十人です」

「そんなに、怪我は?」

「していませんよ」

「あなたじゃないわよ、相手」

「打撲、脱臼程度です」

「ふぅ、相手が武器を持っていちゃしょうがないわね」


「はい、ただ大崎の方はどの程度か分かりません、

ジェニファーやマギーがいましたから」

「まぁ、骨折程度なら」

「了解です」


亮は美咲との電話を切ると慌ててマギーに電話を掛けた。

「マギー怪我人は?」

「全員無傷よ」

「いやいや、相手だ」

「ええと、怪我の酷いのはボートで運び出したから、打撲と脱臼程度」

「酷いのは?」

「骨折と意識が戻らないのが何人か、でも死んでいないから

大丈夫だよ。一人リーダー格の男がいて責任とって腹を切れと言ったら

本当に腹を切ったので手当している。香港に連れていくつもり」

「どうして?」

「頭領に伝えたら見所があるから鍛えて暗鬼に入れるそうよ」

「使えるのかなあ」


「使えなかったら香港で働けばいい」

「まあ、脅したり騙したりの今の仕事よりましかもしれないな」

「そうそう」

「後は、三雲君に任せて撤収してくれ、ジェニファーは?」

「先に撤収した、私たちは明日の朝メキシコに出発する」

「僕はキャシーとニューヨークへ行ってそれから

 アリゾナに集合してメキシコに向かう。準備は頼む」

「了解、待っている」


亮は蓮華が撮影した映像を元に暴対の篠崎警部に状況の説明をしていた。

「ご苦労さまです、しかし彼女達強いですね。素手であの連中を倒すなんて」

「二人はカンフーチャンピオンです」

「もう一人の美人はどこかで見た事があるような?やはりチャンピオンですか?」

「いいえ、普通のちょっと強い女性です」

「そうですか…」

篠崎は不思議そうな顔して首を傾げた。


「しかし、個人的に反社に狙われて大変ですね」

「ええまぁ、表向きはある会社のコンサルタントをしていて、元経営者が私が邪魔になったようで」

「飛んだとばっちりですね。これからもご活躍を期待しております」

「ありがとうございます」


亮は遅くに六本木のキャシーの部屋に戻った。

「相変わらず忙しいのね」

「ええ、まあ」

「さっき、一恵さんが来て

あなたの旅支度してくれたわ、スーツ類はアメリカで買って欲しいそうよ。いい子ね」

「そうですね、いつも助かっています」

「あなたのこと好きなのね」

「あはは」

亮は何も言えずに笑うだけだった。


「私は疲れたから寝るわ、

ケイトがこれからどうするか悩んでいるから相談に乗ってあげて」

「悩んでいる?」

「このまま、日本に住みたいそうよ」

「分かりました、話をしてみます」

「じぁおやすみ」

亮とキャシーはキスをしてキャシーの部屋を出て

ケイトの部屋をノックした。

「ケイト。話をしましょう」

「うん」

二人はワインを持ってバルコニーに座ってこれからの話をした。

ケイトの日本への思いは強くモデルスクールと

美容コンサルタント、ファッションモデルのマネージメントをする事を希望した。


「そんなに仕事をしたら大変ですよ」

「たくさん仕事をすると亮との接点が増えるから良いの」

「承知しました。それらの事業計画を立てます」

「それから妹も日本に住みたいと言っていました」

「えっ妹さんはなんの仕事をしているんですか?」

「モデルと建築家」

「えっ、お名前は?」

「エレン・ラッシュ」

亮は気になって検索して

写真をケイトに見せた。


「この方ですか?」

「そう、ミス・アメリカ、ミスワールド準優勝」

「どうして妹さんが日本に?」

「普段私が日本と亮の話をしているので興味を持って

それと日本建築見て勉強したいらしい」

「そうですか」

「もちろん私の仕事を手伝ってくれるわ」

「それは心強い。美人姉妹のモデルスクールなら話題性があります。

ケイトブランドの商品も作れるし」


「うん、頑張る」

「なんでも、言ってくださいできるだけ協力します」

ケイトは亮のその言葉を持っていた。

「たまには、私を抱いて三雲とのミッションで興奮しているの、

それに今日の亮はフェロモンが湧き出ている」

「はい、お風呂入りましょうか?」

「うふふ、そうね」

******

翌朝、亮がジョギングに向かうとマンションの下にジェニファーが待っていた。

「おはようございます。昨日はご苦労さまでした」

「あんな連中簡単だけど、いつアメリカに帰るの?」

「お待たせしました。今日羽田発11時のニューヨーク行きです」

「本当!良かったわ

すぐに本部に連絡する」

「出国カウンターでチケット受け取ってください」

「了解」

二人はハイタッチをして走り出した。

〜〜〜〜〜〜

亮は銀座の事務所に出勤し中村に自分の居ない間の業務を伝えた。

それを終えるとケイトのモデルスクール計画書を渡した。

「わかりました、すぐに準備します」

「それだけ?」

「はい、資金はありますから大丈夫ですよ」

「中村さんの意見を聞きたいなあと思って」

「私の立場から申し上げていいのでしょうか?」

「はい、ぜひ」

「モデルになる為には身長やスタイルが関係してきます、

成長期の11歳頃からレッスンした方がいいですね。

身長を伸ばす基本運動、栄養、バレエやファッションコーディネートや

メイクなど関連したカリキュラムなどが必要かと」


「なるほど、それはうちのグループで可能ですね、ありがとうございます」

亮が頭を下げると中村は

平静を保って

「今回は予定通りお戻りになりますよね」

「もちろんです。ハイジャックが無い限り」

亮は中村の受けを狙ったジョークだったが

「今回は一恵さんと玲奈さんが一緒だから逐一連絡は貰うから安心ですけど」

「僕も連絡しますよ」

「はい、お待ちしています」

「ところで玲奈さんは?」

「スタジオDでニューヨークとの打ち合わせ資料を作っています」

「了解です。一恵さんは?」

「練習生の血液採取作業している緑川先生のお手伝いをしています」

「後で見に行って見ます。ところで中村さん、夏休み予定は?」

「未定ですが母を旅行に連れていこうかと思っています」

「旅行ブレゼントしますよ」

「ありがとうございます。フランスか北海道か迷っているところです」

「そうですか、決まりましたらチケットお渡しします」

「ありがとうございます」

〜〜〜〜〜〜

亮は事務所の仕事を終えると血液採取をした、緑川五郎とゲノム解析の打ち合わせをした。

「ロビンの開発したソフトは個人にどのような運動や栄養を与えるとどれくらい変化するか3D映像

で出力されます」

「凄い!それをスポーツ選手に使ったら…」

「はい、個人の限界値が出てきますのでそれに適応したスポーツを選べる訳です」

「ネガティブに考えればどんなに頑張っても無駄と捉えるか、まだまだやれば出来るとポジティブに考える事も出来る訳です」

「野球をやるかサッカーやるか、適正を調べたらプロを目指すのも夢じゃないわけですね」

「はい」

亮はサンプル映像を五郎に見せた。

「おお、これが同一人物ですか?」

「はい、Aが運動の部活に入らず、学校の体育の授業だけを受けた女子高生身長156cm、がBが陸上部週5日1200kclのエネルギーを使った女子高生身長168cmです」

「顔も違いますね」

「はい、毎日フェイスマッサージをしていると鼻筋が通り

顎のラインが綺麗になり、目も大きくなります」


「これは凄い、このソフトはどうするつもりですか?」

「まだ、シュミレーションの段階でエビデンスは無いですけど」

「では、彼女たちを実験台にする訳ですか?」

「まぁ、可能性を探求する為にという事で、全員にその旨を話します」

「素晴らしい、背が低いとか鼻が低いとか自信を失った若者に方向を見出させる事が出来ます」

「そ、そうですね」

亮はそんな偉そうな話ではなく、練習生を如何に

スターにするかを考えていただけだった。


そこにケイトとキャシーが現れ、昼食を取りながらケイトのビジネスの話をキャシーに話した。

「まぁ、妹さんも……楽しそうね、ケイト私も出来るだけ応援するわ」

ケイトは昨日の夜件が有って始終朗らかだった。

「亮!くれぐれも妹さんに手を出さないでね、ビジネスが崩壊するから」

「もちろんです」

それを聞いていたケイトがニコニコ笑っていて

その微笑みの裏に何があるか亮は考える事が恐ろしかった。


食事を終えるとケイトと別れキャシーと一緒に大手町のランドエステートに着いた。

「御足労ありがとうございます」

久保田社長が会社玄関でキャシーと亮を迎えた。

「すごいわね。玄関にお迎えとは」

「あはは、日本は大事なお客様は玄関でお迎えする事が多々あるんです」


キャシーは亮の説明を受けながら代表取締役会長の必要な書類にサインをした。

一恵が会議室の前で待っており亮とキャシーにお辞儀をした。

「書類お持ちしております」

「ありがとう。皆さんにお渡ししてください」

一恵はランドエステートの秘書にそれを渡した。

「初めまして、ランド様担当の秘書課の大貫と申します。よろしくお願いします」

「はい、よろしく」

英語で話す大貫に優しく微笑んだ。


会議室のテーブルに一恵が持ってきた書類が置かれ会議が始まった。

「ランドエステート取締役会長から提案がいります。早急に実行できるようにお願いします」

亮は提案書とも計画書とも言える書類を久保田親子及び取締役がそれを開いた。

「日本の化石燃料発電依存率が未だに82パーセントその内石炭発電25パーセントで世界中からひんしゅくを買っています。早急にバイオ燃料を量産して脱化石燃料発電を図るために、土地買収をして工場を作らなけれなりません」

「その資金はどうしますか?Jバイオだけで大丈夫ですか?」

取締役の一人から質問が来た。


「アメリカでは環境保護に貢献している企業に

莫大な環境保護資金が出ます。電気自動車のT社は

優遇を受けていてアメリカで内燃機関自動車を製造している

自動車会社から数千億円単位のお金を徴収しております。

またバイオ燃料を製造しているD&R社はもちろんランド本社も

環境保護資金を受けています。グローバル企業のランドエステートは

その資金で日本にバイオ燃料工場を作りJバイオに貸し出し利益を得る事が出来ます」

「すみませんD&R社とは?」

一人の取締役が聞いた。

「D&R社はバイオ燃料の開発社でJバイオの提携会社です」

「そんな大きなプロジェクトを当社で決められるのですか?」

質問された亮の脇腹をキャシーが肘突いた。


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