61 武田への報復
亮は電話を切ると絵里子に電話をかけた。
「絵里子さん武田組の武田組長、知っていますか?」
「ええ、黒崎が面倒見ていたわ」
「会いたいんですけど」
「会ってどうするの?」
「これ以上、我々に関わらないように直談判をしよう思いまして」
「そんな、危ないわよ」
「大丈夫です。お願いするだけです」
「おそらく、今夜北新地のクラブで飲むと思う、確認してみるわ」
「詳しいですね、大阪まで」
「うふふ、この業界は狭いのよ」
「お願いします」
「それから、ザックとトムが来て今
祐希と打ち合わせしているわ」
「二人に会いたいですね、そう伝えて下さい」
「分かったわ」
「仕事が終わったら、先に一恵さんと京都へ行ってください。
僕は大阪によって仕事をして行きます」
「あまり遅くならないでね」
「了解です」
亮はジェニファーにキャシーのガードを頼んだ。
「私行ってしまっても大丈夫?」
「はい、これは劉亮の仕事ですから」
「ハハッ、フォークローズ、副頭領殿」
亮に絵里子から電話がかかってきた。
「今夜、新地のクラブ楓に来るそうよ」
「わかりました、行きます」
亮とキャシーは宝塚にある神德総合病院に行き
、院長の真由美の父親に会った。
前もって買収の話は美宝堂の子会社DUNメディカルが
書類にして提出してあり、病院売却を承諾していた。
亮は計画書と契約書を持っていた。
計画書の内容は二人の息子を病院から出して独立させる事、
院長を退職し新しいスタッフに明け渡し、
新しい医師の受け入れ黒字に転換する計画を納得させた。
「病室、設備、システムの一新して
地域医療に貢献したいと思います」
「うん、私には異存はない。
問題は息子たちの行く末だ」
院長が答えた。
「大丈夫です。DUN製薬の製造販売をする
美容商品、ED薬、筋肉トレーニングのための
サプリの関西地区販売権、美容整形のノウハウ、
専門外科医の派遣など全面的にバックアップします。
おそらく二人は今以上の収入になるはずです」
「わかりました、では契約を」
「問題は娘の香と真由美なんだが」
「報告が遅れましたが香さんは、
私の方でお預かりしておりまして、
アメリカでのダンサーデビュー間近です。
妹の真由美さんは学業優秀で卒業まで
学費は私どもで負担いたします」
「そ、そうですか。ありがとうございます」
母親の違う真由美への援助に制限が有って
苦労をかけたことに罪悪感があり
胸を撫で下ろした。
「それで私の後任は?」
「はい、既に下村東大教授の方で
人選しております、安心してください
懸念していた、研修医不足も
解決できそうです」
「わかりました、お願いします。團さんが
あの次期ノーベル賞候補の下村教授とお知り合いとは」
「下村教授は私の恩師で論文の翻訳をしている仲です」
「では、東大薬学部卒業でいらっしゃられる」
「はい」
亮と柳元は強く握手をした。
******
「お待たせしました。後は駅前に建てているビルの確認をします」
亮はキャシーに頭を下げた。
「大丈夫よ、楽しいわ。建築中ビルって何?」
「尚子さんのお父さんのビルです」
「素敵、東京もいいけど大阪も良いわ、特に神戸は雰囲気がいい」
亮は尚子の父親に会わず上原の指示で
現場監督と工事現場を見ただけだった。
16時に仕事が終わりキャシーと一恵とそれをガードする
ジェニファーは京都へ向かい、亮は大阪府警に出向いた。
「團亮です」
「はっ、お待ちしておりました。團警視」
亮は署長室へ案内され署長の田畑警視監が立って迎えた。
警視監は警視、警視正、警視長
の上の階級で日本に40人しかいない
その中から警視総監の座を狙う
「やあ、團亮さんだね」
亮を席に座るように促した。
「特別捜査官Rご活躍は聞いています」
「恐れ入ります」
「普段は民間人その実は、社会の悪と戦うエージェント、まるで映画の様だ」
「すみません、私の好物は?」
「えーと」
田端はファイルを見た。
「ハラミと言いたいところだが・・・鮭の皮で良いんだな」
「すみません。私の関しての偽の情報が流れているので・・・
真偽判断に質問させていただいています」
「いやいや、謝る事は無い。
君を自由自在に使える原君が羨ましいよ」
「自由自在ではないと思います、それが条件で動いていますから
あくまで私は一般人ですから」
「あはは、そうだったな。そうだ、まずは次官狙撃事件の
犯人を捕まえてくれたそうだな、改めて言わせてもらうありがとう」
「いいえ、結局日本からは逃げられてFBIが逮捕したのですが、
二人は組織に殺され、一人はメキシコのマフィアの所へ逃げ込んでいます」
「なるほど」
「その時逮捕に動いてくれたのが
今回発砲したジェニファーなんです。
あくまで私を護る為の行為でした」
「君はどうしてFBIの警護が付くんだね」
「それは来週アメリカへ行きますので、
それまでの警護として派遣されました」
「アメリカへ行く理由は」
「ドライアイスプロジェクトの会議です」
亮はメキシコマフィアと戦う事は隠していた。
「そうか、ドライアイスプロジェクトか
アメリカ大統領直属のプレジェクトチームだそうだね」
「はい、近いうちに国連を巻き込んだ世界的な組織になる予定です」
「凄い!」
「それで、今回私の飲み物に毒薬を入れて
飲ませようとしたのが、武田組の命令
だったそうです。私は何度も山田組に命を
狙われました。アメリカ出発前に私の周りをうろつく
武田組と交渉しよう思っていますので、
今夜の私の行動をお許しください」
「山田組との因縁か、困ったものだ。
それで我々が手伝う事は?」
「武田とボディガードの組員を引き離して欲しいんです。
そうすれば、タイマンで話ができます」
「わかった、奴の今日の行動は…」
「北新地で呑むようです」
「それでは暴対に尾行させて詳しい場所を連絡させよう」
「ありがとうございます」
亮深々と頭を下げた。
******
亮が大阪府警本部を出ると
絵里子から電話が掛かってきた。
「武田は北新地のクラブ楓で飲むそうよ」
「了解です、ありがとう」
「7時に行ってね」
「はい」
亮は小妹に電話を掛けた。
「喑鬼の出動だ」
「OK、例の電話番号に電話をして命令をして」
「わかった」
亮は暗鬼全員が聞く事の出来る電話に電話をした。
「今回は武田組組長に私と私の家族に手を出さないように、
命令をする。その為に君たちの協力が必要だ。
闇鬼の兄弟君たちも私の家族だ」
「はっ」
電話聞いていた男たちは
それぞれ行動を始めた。電車から降りる者、
エスカレーターを駈け上がる者、
スーパーの店員はエプロンを外し、
料理を作っていた者はチャーハンを器に盛りフライパンを投げ出し
飛び出して行ったスーツの男は早退届を書き、
窓から飛び降り、ウーバーイーツの男は
すごいスピードで自転車を漕ぎ車を追い抜いて行った。
******
それを知らない亮は、北新地を歩き時計を
見てコーヒーショップに入った。
そこに、小妹が入って来た。
「準備できたよ」
「武器をもたせてくないか」
「ホント!」
小妹は嬉しそうに笑った。
「やるの?」
「戦争したら大変事になる、脅すだけだ」
「そうか、ヤクザがどんなに強いか楽しみだったのに」
「じぁ、ジェニファーが必要だったんじゃないの?」
「いくらFBIでも1日2度はまずいし、
目をつけられているはずだ」
「そうか代わりのボディガードどうする?」
「お店の中なら、大事にはならないし僕一人で充分だよ」
亮は立ち上がるとクラブ楓に入った。
「いらっしゃいませ」
若いホステス亮深々と頭を下げた。
「ええと…」
「團様ですね、ママから話は伺っています。お待ちください」
亮は席に案内されるとホステスが脇に座った。
「いらっしゃいませ」
聞き覚えのある声に亮はホステスをまじまじと見た。
「あっマギーどうしたの?」
「小妹の指示で潜入している、
蓮華と桃華も一緒をさせていただきます」
「道理で…」
「でも良くホステスに入り込めたね」
「私も不思議」
「どうするボトル入れる?」
「そうか、でも来る予定ないけどボトルを入れます」
お店に迷惑をかけそうなので、
亮は気を使ってボトルをキープした。
先程向かい入れたホステスがボトルを持って来た。
「改めてご挨拶。チーママのさくらと申します」
本名とは違う形だけの名刺を亮に渡した。
「團亮申します」
亮は蝶と同じ規模のゴージャスな店内を見渡した。
「いいお店ですね」
「ありがとうございます。一応キタでは一番と自負しております」
亮は丁寧な対応のさくらに知的な雰囲気を感じた。
亮はさくらにの名刺を渡した。
「社長さんなんですね、もっと知的な感じの
仕事をなさっているのかと思いました」
「と申しますと?」
「化学者とか大学の先生とか」
亮はさくらの勘がズバリ当たっていたので喉が詰まった。
「ありがとうございます。女好きのエロ社長に見られなくて嬉しいです」
「とんでもありませんわ、とてもダンディで素敵です。
ファッション誌のモデルみたい、女性にはモテそうです」
「あまり褒めないでください、図に乗りそうです」
「乗ったついでに今夜アフターいかが?」
亮がニヤけると亮の脇腹に激痛が走った。




