暗殺?
隣に座っていた三雲が驚いて須藤の顔を見た。
「テロを止めなくちゃ!」
マギーはアクセルを踏み込んでパトカーの後ろに迫った。
新宿御苑の脇を高速ですり抜けトンネルに入ると
明治通りからの渋滞が始まっていた。
パトカーはサイレンと赤色灯を回し
それを抜いていった。
「くそ!抜けていきやがった」
マギーは左側車線に出てそれを追った。
「みんなしっかり掴まっていてぶつけるよ!」
明治通りを抜け新宿駅南口に陸橋の坂を上がり始めると
マギーはパトカーのフロントに車をぶつけ前方をふさいだ。
「ガシャ」
大きな音とともに車が横を向いた。
「行くぞ!」
仁木は助手側のドアを開け、後部座席のドアはパトカーにつぶされ
三雲は須藤の膝を乗り越えて表に出た。
「この野郎出てこい!」
仁木は運転席の前に立つと中にいた警官
三人が外へ出て新南口に向かって走り出した。
「三雲、マギー追ってくれ!」
「了解」
どんなに人ごみで新宿南口顔に込み合っていても
制服警官が三人走ってくれば、みんな道を開けた。
「おい、開けろコラ!」
「こら、危ないぞ。邪魔だどけ!」
後を追って来た警視庁の捜査員たちがジュラルミンの盾を持って
仁木の肩を引いて退かし窓を叩いた。
「おい、開けろ!」
「須藤君、ここは後々面倒だ行こう」
仁木は運転席を離れ須藤と三雲たちを追った。
「三雲、今どこだ?」
「新南口からでデパート方面に向かっています」
「わかった、俺も向かう」
「了解」
「仁木さん、仁木さん。ひょっとしらやつら
爆弾を持っているかもしれませんよ」
「なに!」
仁木は須藤の声を聞いて振り返った。
~~~~~
「まさか死んじゃいませんよね」
亮はそうつぶやいて雪に連絡をした。
「雪さん、F電機の海老沢会長宅で何か有ったか調べてもらえますか?」
「ええと・・・落合に自宅がありますね。調べてみます」
雪が答えた。
「亮さん、今朝方海老沢会長が病院に緊急搬送されたそうです」
「えっ!それで容態は?」
「まだ、情報は入手していませんけど警察が出動しているそうです」
「そうですか・・・状況がわかったら連絡を下さい」
「わかりました」
亮は今どんな事が起こっているか冷静に考えてみた。
仁木と三雲が本物の警官に拉致されたこと、
それは塩見と全く違う人間動いていた。
岡村幹事長がフグの毒で急死したこと
老舗のふぐ料理店がフグ中毒を起こした。
そして大事な株式総会を海老沢会長が
急病で運ばれ警察が出動していたこと。
それは事件性がという事だった。
「亮さん、何があったかわかりました」
亮の元に雪から電話がかかってきた。
「どうでしたか?」
「それが2階のベランダからロープを吊って
自殺していたそうです」
「自殺!それって外に向かって晒すということですよね?」
「はい、発見者は通行人で道路から首を吊っている
人間らしき物が見えたので警察に通報したそうです。
詳しくは夕方に記者会見をするそうです」
「わかりました、ありがとうございます」
「皆さん、海老沢会長が今朝首つり自殺したそうです」
雪との話を終えた亮はみんなの顔を見て言った。
「なんだって!ありえない」
亮が言うと野田はあれだけ欲の深い海老沢が
自殺とは信じがたく声を上げた。
「野田さん、やはり自殺は信じられませんか?」
「はい、あのプライドの高い海老沢さんが
首つり自殺なんて考えられません」
亮は野田の声を聞いて確かめるように質問した。
首つり自殺の死体は必ず失禁で尿を床にまきちらし
苦しみでゆがんだ顔は醜く、
決して人に見せられるものではない。
海老沢の性格では自殺すること、自殺する理由、
まして首つり自殺する事など考えられなかった。
「亮、まずいことになったな。海老沢は何かの口封じに
消されたに違いない」
世界の経済事情に詳しい拓馬は世界中の
企業のトップが時々怪死しているのを
知っていた。
「ええ、僕もアメリカにいた時ときどき耳にしていました」
亮が言うと拓馬が腕を組んだ
「岡村幹事長と海老沢の関係そして年金運用会社IIJだ」
「F電機が国からの助成金をもらった時に
かなり深くなったのだと思います」
「そうだな、その時動いた金が絡んでいるんだろう」
亮がうなずくと森が亮の脇に来て耳元でささやいた。
「亮、怪しいな。ちょっと調べて見る」
「はい、お願いします。警察が自殺と断定すれば
火葬になってしまいます。その前に証拠を探さないと」
「ああ、人目のある道路側に向かって
首つり自殺するなんて話、聞いたことも見たこともない。
じゃあ行ってくる」
「お願いします。気を付けてください。奴らは平気で人を殺します」
「うん、わかっている」
森は会議室を静かに出ていった。
「團さん、取締役候補が全員こっちに向かっています」
野田が亮に報告した。
「快諾いただけましたか。ありがとうございます」
「こっちのほうも大丈夫だ」
内村も亮に向かって親指を立て微笑んだ。
「亮、これが皆さんの経歴書です」
怜奈が亮に取締役候補の経歴書を渡した。
「ありがとうございます。玲奈さん」
亮は経歴書に目を通すと立ち上がった。
「時間です。行きましょうか?」
亮が言うと全員が期待感で笑みを浮かべて
会議室を出ていった。
~~~~~
新宿南口手前で停車したパトカーを取り囲んだ
捜査員がピストルを向けた。
「おい、出てこい!」
男はニヤニヤ笑いながら周りを眺めていた。
そして大きく息を吸って吐くと手に持っていた
スイッチを入れた。
するとパトカーの中がオレンジ色と炎と
白い煙で覆われすべてのガラスが
外に向かって飛び散り
周りにいた捜査員を倒した。
「退避!退避!」
「誰か!消防をよべ!」




