救出
「待って!」
理沙はロッカールームから荷物を持ってきた。
「一恵さんの預かった、下着、ワイシャツ、スーツ
そして靴が有ります」
「はい?」
「亮さんが服を汚した時の着替えの為にと
置いて行きました」
「はあ」
一恵の奥さんのいや女房のような行動に
頭が下がった。
「そうですね」
~~~~~
亮は着替えてそのコートを着てホストクラブの
前で裕子が出てくるのを待つと
裕子と孝子と浩二が出てきた。
その後ろにはアンナが付いていた。
浩二が店を早退してまで裕子に合わせる男は
どんな人物か亮は興味津々で四人の後をつけた。
そこにバニーガールの柳本真奈美から亮の元に
電話がかかって来た。
「あっ、團さん。真奈美です。うちの店に入江さんが来ています」
「ホワイト総業の入江社長ですね。分かりました」
「それともう1人、人相の悪い人が一緒です」
「分かりました。ありがとう。もし彼らがそこを出る時に
連絡を連ください」
「済みません、それもうチェックしています」
「はい?今ですか?」
亮は真奈美の突然の連絡に戸惑っていた。
「すみません、仕事で電話が出来なかったもので」
「いいえ、連絡ありがとうございます」
~~~~~
亮は入江達の行動が気になりながら四人を付けると
突然後ろの方から声が聞こえた。
「やめて!」
女性の悲鳴が聞こえた。
亮が振り返ると三人の男に手を引っ張られた
二人の女性が腰を下げで必死に抵抗していた。
亮は四人を付けるのを止め女性のところに駆け寄った。
「どうしました?」
「この人たちが強引に私たちを・・・」
「そうですか。あなたたちはこの男たちの
行動を今拒否しているんですね」
「は、はい」
亮の変な質問に女性たちは答えた。
「なんだお前は!」
男の1人が声を荒げて亮に顔を近づけてきた。
「彼女たちが嫌がっています。
手を放して下さい。それに息が臭い!」
「なんじゃ、ワレ!」
もう1人の男が亮のコートの襟を掴んだ。
「それに関西人でもないのに河内弁を
使って襟を掴むのは暴行罪ですよ」
「うるせえ!」
男は亮の顔めがけて殴りかかった。
亮は男のこぶしを避け膝を上げた。
「ウッ!」
男は股間の痛みに耐えながらしゃがみこんだ。
「この野郎!」
二人の男が飛びかかってくると亮は、いとも簡単に投げ飛ばし
女性たちに話しかけた。
「さあ、逃げなさい」
「はい、ありがとうございます」
二人は走って駅に向かって行った。
亮は二人の行く手を見送ると亮の背中にナイフを
突き刺そうとした
「くっそ、このスーツ高いんだぞ
そしてこれはれっきとした銃刀法違犯、殺人未遂だ」
亮は男の手を捻りナイフを取り上げ腕を持って
膝を曲げて腰に男の体を乗せて地面にたたきつけた。
そこへ通報を受けた警察官が駆け付けた。
「ナイフを持っていました。銃刀法違反でこいつを逮捕してください」
亮はナイフを持って見せた。
「ちょっと交番で事情を聞かせてください」
「急ぎますから」
亮は裕子の事が気になっていた。
「待ってください、そうはいきません」
警官はナイフで刺されそうになったはずの
亮が元気なのを怪しみ亮の腕を掴んだ。
「雪さん、腕時計の発信で浩二の
居場所を検索してください」
亮はイヤフォンマイクで雪に話しかけた。
「了解です、すぐに調べます」
雪が答えると亮はこれ以上
トラブルを起こしたくないので
スーツの胸ポケットを指さした。
「済みません、上着の内ポケットから
身分証を取ってください」
「ん?」
「胸のポケットに手を突っ込むと怪しまれるので」
警官は亮に言われるまま内ポケットから
黒い身分証を取りだしそれを開いた。
「け、警視殿でしたか。これは失礼しました」
「いいえ、捜査の途中でしたが彼らは嫌がる
二人の女性に迫っていたのでそれを助けました」
「はい、そうですか後はお任せください」
「あっ、このスーツを汚されたので
住所確認をお願いします。しっかり請求します」
「はっ」
警官は亮に向かって敬礼をした。
「亮さん、歌舞伎町ホテルにいますけど
階数は発信機では確認できません」
「了解です、歌舞伎町ホテルのジュニアスイート以上の
ある階数を調べてもらえますか?」
亮は歌舞伎町ホテルに向かって走り出した。
「はい、18階から20階までです」
「分かりました」
亮が歌舞伎町ホテルのエレベーターホールに立つと短いコートに
長い足を出した真由美に声を掛けられた。
「亮さん、入江さんを付け来て今電話を掛けようとした所です」
「本当ですか?」
「はい、お店から付けてきました」
亮は浩二が裕子と関係を持たせたい相手は
入江と分かった。
「ありがとうございます、それで何階か分かりますか?」
「それが私の顔が知られていたので、エレベーターに乗らなかったので
ここで見ていました。
止まった階が15階と17階と20階と23階です」
「雪さん、歌舞伎町ホテルのスイートルームは何号室ですか?」
四人以上入れるホテルの部屋はジュニアスイート以上だと
確信して雪に聞いた。
「はい、18、19、20階です」
「ありがとうございます」
雪はすぐに答え亮はエレベーターに乗って
20階のボタンを押した。
「亮さん、誰と話しているんですか?」
「わああ・・・真由美さんどうして乗ったんですか?」
亮は突然真由美に声を掛けられて驚いて声を上げた。
「別に」
「じゃあ、すぐに戻ってください」
「はーい」
亮が20階に降りると裕子たちの入った部屋が分からず
エレベーターホールの前に立ち目を閉じて耳を澄ませ
ゆっくりと呼吸をした。
「裕子さんの付けていた香水は僕の作ったLOVEだ」
亮は裕子がライダースーツを脱いだ時の香りを思い出した。
「真由美さん、もう帰ってください」
「お願い、何かあったら連絡係なるから連れて行って」
「ふう」
亮は諦めてほのかなLOVEの香りを追って体を
左に向け一番奥の部屋2012号室の前に立った。
「ここだ!この先は危険ですから待機」