株数の戦い
「分かった、でも大丈夫か。彼女たち危険じゃないのか?」
「あの二人ですか?マギーは元ロサンジェルス市警でそれから
VIPのボディガード。
美喜さんは甲賀忍者の子孫です。十人の男が
束でかかっても倒せないでしょうね」
「十人!」
内村たち三人は腰を引いたが亮が言った意味は
一人で十人だった。
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その頃、代官山のマンションの前に
黒いワゴン車が止まった。
後ろのドアが開き、ソフト帽をかぶった男が出て
マンションの玄関に行き暗証番号を押して
ドアを開けた。
男はエレベーターで20階に上がり悦子の居る
2003号室のチャイムを鳴らした。
「はーい」
「悦子私だ」
声が聞こえると男は低い声て答えた。
間もなくドアが開くと男は手に取ったスタンガンの
スイッチを入れた。
「バチバチ・・・」
音を立てて青い光を放ったスタンガンを首に押し付けた。
「やったか。大飯」
男の後ろから身長165cmほどの小柄な男が声を掛けた。
「ああ、小関クローゼットに行ってこの女の服に
着替えろ。一番低い靴を履くんだ」
「分かった、どうやって連れ出す?監視カメラに映るだろう」
「クローゼットの中にある一番大きなトランクの
中にこの女が入るはずだ、
俺はちょっとやる事がある」
大飯はトイレに入って行った。
小関はクローゼットの中から悦子のワンピースと
大きなトランクを持ってきた。
「大飯、この女入れるぞ手伝ってくれ」
「分かった」
大飯は黒い袋を重たそうに持ってきた。
「なんだそれ?」
「俺たちのギャラだ」
大飯は勝ち誇ったようにバックの中身を見せた。
「おおそうか、さっさとこいつを入れてしまおう」
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「亮君、これからの予定は?」
甲山は黒崎正一郎をどうやって解任するか
亮のアドバイスが欲しかった。
「はい、明日F電機の株主総会が開かれ
社長及び役員の解任を提案します」
「君が提案するのか?」
「はい、僕個人で1000万株、個人投資家から
2000万株の委任を受けています」
「亮さん、F電機の株式発行枚数いくらだと思いますか?
15億株ですよ。3000万株では解任請求しても
一蹴されて終わりです」
甲山は亮の安易な考えにショックを受けた。
「うーん、そうでもない。うちの会社が5000万株持っているぞ。
甲山お前のところは?」
内村は甲山に聞いた。
「うちは3000万株持っていますが黒崎がOKしないと・・・」
「亮君、私たちの仲間が株を集めれば
5000万株以上になると思いますよ」
徳田が体を乗り出して協力を申し出た。
「私は1000万株持っているわ。
後は銀行がどれくらい亮の味方になってくれるかね」
絵里子は必ず亮に協力者が現れると信じていた。
「ご協力ありがとうございます。メインバンクのいなほ銀行は
下がったF電機の株価を上げたいと思っていますから
協力を得られると思います」
「その返事はもらったのか?」
「いいえまだですが、明日の株主総会までに
返事がもらえるはずです」
亮は内村の質問に首を横に振った。
「ふう、合計1億4000万か・・・一割だな」
内村は若さを露見させた亮の考えの甘さにため息をついた。
「亮、今大丈夫か?」
文明から電話がかかって来た。
「兄さん、お久しぶりです」
「お前に頼まれたF電機の株の件
2億5000万株分の委任状を取って送ったぞ」
「ありがとうございます」
「ただ、もし株価が上がらなかったら大変な事になるぞ」
「大丈夫です、任せてください」
「近いうちに日本に戻るからまた会おう」
「はい、お待ちしています」
亮は電話を切ると内村たちに話しかけた。
「劉文明が2億5000万株の委任状を取り付けたそうです」
「なんだって!」
内村と甲山と徳田は驚きの声をあげ、絵里子だけがニヤニヤと笑っていた。
「F電機の株主の50%は海外の投資家ですから劉文明に
中国の投資家の取りまとめを頼んでおいたんです」
「劉文明って!あのユニオンチャイナグループの?」
甲山はあまりにも有名な中国人の名前に驚いていた。
「うん、いずれ亮君の義兄になる人だ」
「ほ、本当ですか・・・」
甲山は亮の人がうらやむような環境に
なんと言っていいか返事に困っていた。
そこにロシアのアイザックから電話がかかって来た。
「亮、1億株の委任状を取り付けたぞ」
「ありがとうございます。みなさんお元気ですか?」
「ああ、久しぶりのロシアで英気を養っている。そろそろ帰るそうだ」
「了解です」
「じゃあ、またな。頑張れよ」
「はい」
亮が電話を切ると内村たちが笑っていた。
「今度は何株だ?」
「ロシアで1億株です」
「合計で4億9000万株か33%まであと5000万株
何とかなりそうか」
「はい、有効株数(6か月以上保有)を精査すると
もう少し減ると思いますので1億株あれば安全圏内で
拒否権発動できると思います」
※拒否権とは重要議決が決定される場合
株主の3分の2の賛成で決定されるが3分の1の反対があれば
それを拒否できる。
「そうか、後1億株か・・・やはりいなほ銀行の考え次第だな」
内村はため息をついて座り直した。
「少なくとも企業年金の喪失の原因を追究
して社長及び取締役の責任の追及して
行きたいと思います」
「それは荒れそうだな」
「F電機は総会屋とがっちりと組んでいて
問題解決の為には随分乱暴な事をするそうですが?」
笑っている内村を横目に甲山は総会屋の
妨害を心配していた。
「はい、総会屋塩見正長です。かなり強引な手で
株式総会を抑え込むそうです」
「それなのにまたやるんですか?」
「はい、やります」
亮は甲山に自信をもって答えた。
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女装した小関がトランクを車に乗せると運転席に
大飯が乗った。
「さて行くぞ」




