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隠し金

正一郎は悦子を大声で恫喝した。

「いいえ、私なんかいなくてもあなたがいれば大丈夫です。

あなたが連れてきた従業員は今まで私を

上司と思っていませんでしたから」

「そ、そんな事ない。あの店の売り上げを上げたのは

お前の力だ」


「そんな歯の浮くような話をして本気にしません。

手切れ金としてここにあるお金をいただいていきます」

「お金、そんな物そこに置いてなんかいないぞ」


「私が知らないと思っているんですね。トイレのタンクの中に500万、

 玄関の靴棚の一番上に500万、リビングのテーブルの隠し引き出しの

 中の1千万、書斎の金庫にあるインゴットもいただこうかしら・・・」

「ま、待て。すぐ帰るから話し合おう。手切れ金なら

 きっちり払う、いやもっと払おう」

悦子に書斎の金庫のゴールドと言われ正一郎は完全に動揺していた。


『金庫のダイヤルは何処にも記録していない、

おそらく悦子の脅しに違いない』

正一郎は心の中でつぶやいた。

「1時間待て!良いな」

「はい・・・」

悦子は仕方なしに承諾をした。


電話を切った正一郎は塩見に電話を掛けた。

「塩見、頼みがある」

「なんでしょうか?」

「私の部屋に行って女を殺って欲しい」

「女ってあの悦子さんですか?」


「ああ、そうだ。どこか旅行に行ったように処理をしてくれ。

1週間後に警察に捜索願いを出すから

絶対死体が見つからないようにしろよ。

1時間以内に手配をしてくれ」

「はい、了解しました」


塩見との会話を終え席に戻った正一郎は

大きく息を吸って水割りを一口飲んだ。

「お仕事ですか?」

「うん、ちょっと難しい仕事があってね。お店が終わったら

打ち合わせがてら寿司でも食べに行こうか?」

正一郎はアリバイを作るために美喜を誘った。


「キャー嬉しい」

美喜は正一郎にだきついて頬を摺り寄せた。

「ねえ、正一郎さん。お仕事の話なら

美喜ちゃん連れ出しても良いわよ。

 ただ変な関係になるとまずいから

・・・私も一緒よ」

「ん?」

正一郎が絵里子の顔を見返した。


「嘘よ、心配だから誰か連れて行って」

「分かった」

正一郎は秘密厳守であるボディガードのマギーに電話を掛けた。

「もしもし、マギーさん。黒崎です」

「あっ、黒崎さん。先ほどはどうも」

「早速だが、今夜、私をボディガードしてもらえないかな」


「はい。良いですよ。先ほどキャシーを家に送り届けましたから」

「では銀座のクラブ蝶に来てほしい」

「銀座のクラブ蝶ですね。了解いたしました」

「おいおい、場所はわかるのか?」

「はい、何度かVIPの護衛で伺った事が有ります」

マギーはそう言って経験豊富なボディガードに

見せて正一郎を安心させた。

「そうか、それなら話が早いな。じゃあ、頼むよ」


~~~~~

VIP席に座っていた亮の元に絵里子が来た。

「亮、黒崎の奴美喜ちゃんとお寿司食べに行くそうよ」

「そうですか、美喜さん籠絡に成功したみたいですね」

「うふふ、美喜ちゃん接客が上手だわ。

ずっとうちで働いてもらいたくらい」


「あはは、彼女くノ一ですから」

「ところで黒崎はどんな事していたの?」

「悦子さんの名義で銀行口座を作り業者に

リベートを振り込ませていました。

 その数億円を密かに海外に持ち出していたようです」


「わあ、完全な脱税ね」

「ええ、証拠がそろい次第、彼女に告発してもらう予定です」

「まさかこんな近くに敵がいるなんて思ってもいないでしょうね」

「経営者は正直であるべきです。自分の立場を利用して利益を得、

 まして脱税するなんで許せません」


「そうね、業者さんだってリベートの支払いが無ければ経営が楽よね」

「ええ、リベートの上乗せが無ければ他の優良な業者を選べると

 思います」

「うふふ、そうね」

絵里子はますます亮を自分の娘、祐希の後見人として

欲しくなった。


「亮、祐希をあんなにしたのは正一郎よ」

「はい」

亮はうなずいた。

「お願い祐希の恨みも晴らしてね」

「了解です。祐希さんが普通の女性になれるように」


「あの男に私の祐希が男にされて

 憎んでも憎み切れなかったわ」

「絵里子さん、黒崎正一郎には今度はこっちが倍返しです」


~~~~~

「お待たせしました」

黒崎の元に案内された黒いミニスカート姿

のマギーが黒崎に挨拶をし

内村、甲山、徳田そして美喜に目配りをした。

「やあ、ご苦労さん。マギー君」


「どちらまで?」

マギーは無表情で正一郎の予定を聞いた。

「とりあえず彼女とお寿司屋に行く、一緒に食べよう」

「はい」


~~~~~

「まったく・・・勝手し放題だな」

美女に囲まれ蝶を出て行った正一郎を見ていた

内村がつぶやいた。


「内村さん、あれです」

甲山は正一郎が内村たちと大した話もせず

クラブのホステスと

さっさと帰ってしまう行動を嘆いていた。

「甲山、それでグループの売上はどうなんだ?」


「連結で本年度は赤字です。ホテル事業は8軒のホテルが

耐震工事費用がかかり休業を強いられた事と

建て直しが2軒

私の居る不動産部門もその耐震工事で」


「うん、建設ラッシュでにわかに景気回復に見えるが

 耐震改修促進法によっての強制的な物だ。

景気回復はまだまだ予断をゆるさない。

経営者が手を抜くとあっという間に業績が落ちる」

「はい私もそう思っています、黒崎には内緒ですが、

そのホテルの一部はランドエステートに売却予定です」


「ん?ランドエステートと言う事は・・・亮はホテルを買って

何をやろうと思っているんだ?」

「ナチュラルグリルと岩田観光、ルーセントホテルと

提携して普通に業績が上げられる予定ですが、

他にはダイエットホテルだそうです」


「あはは、ダイエットホテルか。

あいつはいつも突拍子も無い事を考える」


「済みません、いつも突拍子で・・・」

亮が内村の前に笑いながら現れた。

「おお、来たか・・・」

内村は微笑みながら亮を手招きした。

「はい、お呼びが有ったので参りました」

亮はそう言って甲山と徳田に頭を下げた。


「美喜ちゃんとマギーが黒崎に連れて行かれたぞ」

内村が心配そうに話しかけた。

「大丈夫です。予定通りです」

「突然黒崎を蝶に誘ってくれと言った時はびっくりしたぞ。

 どういう事なんだ?」


「今の状態で話をするとただの悪口に聞こえますので

 もう少し待ってください」

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