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暴く

「ちょっと待ってください、いい方法を考えます」

亮はベッドルームから出て蓮華に電話を掛けた。

「蓮華、今どこに居ますか?」

「中村さんのところに来て、コンピュータの中のデータと

金庫の中に有った台帳の写真と通帳の写真を渡しました」


「なるほど、証拠品はこっちに隠していたんですね」

「他に不動産の契約書と金の延べ板が10枚有りました」

「分かりました、中村さんに代わってください」

亮は思いがけない金庫の中身の多さにニヤニヤ笑った。


「電話代わりました、中村です」

「台帳の中身はどうですか?」

「はい、まず預金通帳の件ですが。田代悦子名義の通帳に

 現在5000万円の預金、過去に

7億5千800万円が入出金されています」


「そ、そんなに!」

「振り込み人は個人が27人、会社が5社です。

名前は後で書きだしておきます」

「振込先は?」

「どわせこにも振り込みはしていません。

現金を下ろしています」


「なるほど証拠は残していないんですね。

問題はそれだけのお金を

何に使っているかですね」

「はい、現金で持っているとは考えられません。

海外に持ち出したか株に変えているんじゃないでしょうか?」


「なるほど株の配当なら郵便で来て現金化できる」

和美は亮に分かり安く説明した。

「そうですか、田代さんは完全に自分の

口座を勝手に使われていますね」

「ええ、それと台帳には3億円の借用書が挟まっていました」


「誰ですか?」

「岡村達也です」

「やはりそうですか。今日ルーセントホテルで

黒崎正一郎と岡村幹事長の食事を

玲奈さんが目撃しましたが、ただならない関係だったんですね」


「現在、政治資金は政治家の資金管理団体に個人では

最高150万円まで、企業からの献金は許されていません。

そこで献金者を何人にも分けて寄付している人がいるようです」

「借用書のお金は、表向きは借金ですが

もし返さな無ければ献金と同じです」


「これからコンピュータのデータの分析に入りますので、

事実関係が見えてくると思います。少々お時間をください」

「大変だと思いますがよろしくお願いします」

亮は和美の力を信じていた。


亮は大学テニス部の先輩落合に連絡をした。

「落合先輩、お久しぶりです。團亮です」

「おお、團。ハワイで大変だったそうだな。

証券会社の方はうまく行っているか?」

「お陰さまでうまく行っています」


「それで今度は何の用だ?」

「すみません。国税庁にお知り合いがいらっしゃいますか?」

「国税庁は財務省の管轄だ」

財務省のキャリアの落合は亮を見下すように答えた。

「ある人間を調べて欲しいんです」

「だれだ?」

「黒崎正一郎です」


「あの黒崎グループの黒崎正一郎か?

あいつはたぶん無理だ!」

落合は簡単に答えた。

「どうしてもだめですか?」

再度亮は落合に頼んだ。

「まあ、国税の人間を探しておく、明日連絡をする」

「済みません、お願いします」

亮は美咲の初めての男が落合だと

知っているだけに落合との会話が苦手だった。

「ふう・・・やはり今度は美咲さんに頼もう」


亮は落合との電話を切ると悦子の居るベッドルームに戻った。

「悦子さん海外に仕入れに言った時、

黒崎さんから何か頼まれませんでしたか?」

「はい、香港に行く時現地の黒崎の会社の

人にシンガポールドルを渡しました」

「どれくらい?」


「200枚くらいですけど・・・」

「何ドル札?」

「それは見ていません」

「おそらく高額紙幣の10000シンガポールドルでしょう」

「えっ、それってどれくらい?」

「1シンガポールドルは108円、シンガポールの

最高額紙幣は10000ドルです

から200枚で2億円くらいじゃないですか」


「それって法律違反じゃないの?」

「はい、500万円以上のお金を海外に持ち出す事、

送金する時は届け出がいります。

 それを怠った場合、外為法違反です」

「じゃあ私も・・・」


「それに関しては刑法ではありませんから大した罪にはなりません、

 その外為法違反から推測される脱税が問題なんです」

「黒崎の手口良く分かったわ、

亮さんありがとう。今夜別れ話を伝えるわ」


「気を付けてください、逆上する可能性があります」

「はい・・・」

亮は悦子の部屋を出ると銀座に向かった。

~~~~~


銀座の蝶には内村と甲山と徳田そして黒崎が入って来た。

「いらっしゃいませ」

絵里子が四人に深々と頭を下げた。

「ママ、今日は黒崎さんと一緒だ」

内村がにこやかな顔をした。

「珍しいわ、みなさんが一緒なんて・・・」

絵里子はまず黒崎に語り掛けた。


「うん、会議で内村さんの声を掛けられてね」

正一郎の一言で絵里子は亮の作戦通りに事が進み思わず微笑んだ。

「黒崎さん、今日は新人の紹介します。美喜ちゃーん」

絵里子に呼ばれドレスに着替えた美喜が黒崎たちの前に立った。

「いらっしゃいませ、美喜です」

美喜は手を前に合わせ深々と頭を下げた。


「美喜ちゃん、黒田さんの脇に座らせていただいて」

絵里子は内村と黒田の間に美喜を座らせた。

「初めまして美喜です」

「美喜ちゃんか美人だね。どこかで見た事有るんだなあ」

正一郎は元ファッションモデル幸田美喜をどこかで見た記憶があった。


「ありがとうございます、みんなにそう言われます。でも

 私は私です」

「ああ、そうだね。でも君のような魅力的な女性とは初めて会ったよ」

美喜が飲んだ媚薬の効果で正一郎は内村たちの存在も忘れ

今にも抱きしめたいほど美喜に惹かれていた。


「黒崎さん」

内村が声を掛けた。

「ん?」

「そういう訳でフランス料理のファストフードを

大阪でチェーン展開しようと

 思う意のですがご協力いただけませんか?」


「あ、ああ良いですね。協力します」

美喜に夢中の黒崎は上の空で返事をしていた。

「先ほど話をしたキャシーの件ですが、どうやらO駅の再開発に

 投資を考えているようです」

内村は先ほどの約束通りキャシーの話をした。


「それはちょうどよかった。岡村幹事長がF電機の工場跡地売却を

含めた再開発の参加企業を選定しているところです」

正一郎は亮たちが密かに岡村幹事長を

切って別の方向へ進めようとしている事を

知らずに誇らしげに話をした。


「甲山君、ぜひキャシーさんと話を進めてくれ。うまく行けば

 相当な利益が出る」

命令調のそれを聞いた甲山と福田は心の中で嘲笑した。

「はい、承知しました」

甲山が正一郎に頭を下げた。

「凄いですねO駅再開発とか岡村幹事長とか」

美喜は正一郎の耳元で囁いた。


「こう見えても、私は大阪で銀行、保険会社、証券会社、

学校法人、不動産、貸しビル、ホテルチェーン、旅行代理店、

食品会社、飲食業、人材派遣業、広告代理店、運送業、

アパレルメーカーと販売店、パチンコチェーン15企業を

束ねる黒崎グループのトップなんだ」

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