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グッド・ジョブ媚薬7部   作者: 渡夢太郎
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裕子への依頼

「分かった、父に伝えるけど本当にうちで良いの?」

「勿論です、僕にはホテル運営のノウハウはありませんし

ダイエット食品の蕎麦をメインメニューに

したいのでお父上に頼るしかありません」

「でも、蕎麦はアレルギーがあるので

注意しなくちゃいけないのを知っているわよね」


「ええもちろん、蕎麦のアナフィラキシーショックは

死に至りますからね。

もちろんアレルギーのある人向けの別メニューも考えています」

「それは良かった、父のお店でもアレルギーの方は

食べないように注意を喚起しているもの」


蕎麦屋の娘として育った裕子は最近、蕎麦を食べて亡くなっている

子供たちを気の毒に思っていた。

「亮、最近アレルギーの人が増えているような気がする。

 昔、立ち食い蕎麦を食べて死んだ人なんか聞いたことない。

 何か理由があるの?」


「いろいろ説がありますが、まず現代人の免疫力が低下している事です。

その原因はいろいろありますが食文化の変化にあると言われています。

最近、炭水化物抜きなどが流行っていますが、やはり日本人は

穀物を食べなければいけないようです」


「本当!」

「ええ、最も理想は毎日玄米と発酵食品を食べる事です。

 それにタンパク質、菜食主義と言っても

植物性タンパク質を取らないと

 白血球の力が弱くて体内に入った細菌に負けてしまいます」


「さすが亮ね、良く知っているわ」

「ええ、日夜ナチュラルグリルのメニュー作りをしていますからね」

「ウフフ」

「ところで裕子さん人間の体にどれくらいの

細菌がつていると思いますか?」


「そうね、豆しばは1回のキスで2億個の

菌が交換されると言っているから

 10億くらい?」

「うーん、口腔内だけで100億個、

体全体で60兆個の菌が体にあります。

 ほとんどの菌は健康体に害を及ぼしませんが、

人間の体がいったん免疫力を失うと

 菌は人間のいたる所を攻撃して来て発病するんです」


「ええっ、怖い!」

「健康が一番バランスの取れた食事をしましょう」

「はーい、了解です」

何人もの通行人が振り返るほどの美人で

目立つ裕子は歌舞伎町に入ると亮と腕を組んだ。


「ところで亮は智子ちゃん、さっちゃんの事知っているの?」

「えっ、智子さんって彼氏の事?」

「そう、その事で悩んでいたのよ」

「鈴木聡さんが実在の人物でないと言う事ですか?」

亮は裕子に顔を近づけて遠慮がちに囁いた。


「それだけじゃないの、亮があの事故で入院したでしょう。

 あの時亮は死んだとみんなの所に連絡が来たの」

「そうだったみたいですね」


「その直後、さっちゃんの所に二人の

男性が現れたわけ、1人がその鈴木聡さん、

 もう1人はDUN製薬にボランティアで中東の子供たちに

薬の期限が近いもので良いので提供をして

欲しいという男性が現れたそうなの」


「ひょっとしたらその男って槇島真司さん?」

亮は当初槇島真司がアフガンで訓練を受けた日本人と疑っていた。

「そうそう、槇島と言っていた。それでさっちゃんがその窓口になって

 話を進めていたそうなの」

「それはいい事ですね」


亮はDUN製薬がアジアの子供たちに

無償で薬を提供する事に賛成だった。

「ええ、その時槇島さんが連れてきたのが

鈴木聡さんなんだって」

「それでお付き合いが始まったわけなんですね」

亮が連れてきた槙島がMI6と知った今

鈴木聡が何者全く分からなかった。


「そうよ」

「だけど、さっき捕まえたのはその鈴木さんと別人でした」

「そう、さっちゃんのお相手の鈴木さんは

10日くらい前から連絡が取れなくなっているらしい」

「裕子さん、随分詳しいですね」

「お客さんの話を聞くのが私たちの仕事よ」

裕子が答えると亮が首を傾げた。


「そんな事なら僕に相談してくれればいいのに・・・」

「自分の彼の話なんか亮に言える訳ないじゃない、まして

自分の前から彼が姿を消すなんて。

そんな女の気持ち分からないんだから・・・」

「済みません」


亮は智子が市ヶ谷の病院で彼が出来たと言ったのは

智子にとって、とても勇気が必要な事だと

裕子に言われて初めて知った。

「ところで亮、ミッションは?私は何をすればいいの?」

裕子は亮に顔を近づけてセクシーに微笑んだ。


「あっ、ばれましたか?」

「ええ、何もないのに私を新宿に連れてくる訳ないでしょう」

「マスコミで有名なカリスマ美容師で

元レディースじゃないとできない仕事です。

 そして今日の締めの仕事です」

「なになに?」


「今日、ピーエヌエーの社長葛原が麻薬所持で逮捕されました。

 その男に麻薬を売っていたのがホストクラブ「恋」のホスト浩二

 今夜そこに裕子さんと会った

小倉孝子さんとセクシー女優の水樹アンナさんが

遊びに行きますので裕子さんがそこに合流して欲しいんです」


「浩二が私に麻薬をもるための囮になる訳ね」

「まあ、そうですね」

亮は言いにくそうに答えた。

「いいわよ。でもそれなら私じゃなくても」

「奴らはカリスマ美容師を使って美容師業界に

麻薬を蔓延させたいと思うはずです。

 さらにその客にも」


「そうか、奴らにとって市場開拓ね」

「あはは、そうです。おそらく麻薬を裕子さんに飲ませたら

 誰かに裕子さんを抱かせようとします」

亮は山田組系酒井組組長の酒井重夫がアンナを抱いている

様子を見ていて浩二は必ず裕子を誰かに

抱かせようとする事を確信していた。


「その時に一網打尽と言うわけね」

「済みません、危険な仕事で」

「いいわよ、これでもレディース元極楽蝶の

総長だったんだから

 そんな事お安い御用よ」

「ありがとう」

亮はそう言って自分の時計を見た。


「そろそろ、時間です。ホストクラブ「恋」の

前で彼女たちと待ち合わせです」

「忙しそうで段取りができているのね。亮はどうするの?」

「浩二と会うとまずいので時間つぶしに

『ラブポーション』へ行ってきます。

 動きがあったらお電話ください」


「分かったわ、1時間以内に方を付けてくる」

「無理しないでください、相手は悪党です」

「うふふ、大丈夫!」

裕子は名残惜しそうに亮の手を放して

ホストクラブ「恋」に向かった。


裕子と別れた亮の元に森から電話があった。

「亮、今智子さんと話をしている。大体事情が分かって

 今依頼を受けた」

「鈴木聡さんを探してくれでしょう」

「そ、そうだ」

森は智子との会話を聞かれてようで驚いていた。


「費用は僕が払います。鈴木聡さんを探してください」

「分かった。それで智子さんに言わせると鈴木聡さんは

間違いなく二井物産に居たと言い張るんだ」

「ええ、確かに居たのかもしれません」

「だが、俺の聞いたのは二井物産の人事課だぞ」


「それも本当だと思います」

「どういう意味だ?」

森は亮の曖昧は返事に苛立っていた。


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