桃華発見
「わ、分かりました」
「サム、進路を変更して熱海の山の上の
熱海国際カントリークラブへ向かってください。
できるだけ早く」
亮は茂蔵の去ったアジトは必ず破壊されると確信した。
「わかった、スピードを上げる!」
サムはそう言うとスロットルを開けプロペラの回転数を上げ
新幹線並みのスピードにで一気に
目的地に向かって飛んで行った。
~~~~~
「亮さん、私です」
緑川五郎から亮の元に連絡があった。
「ああ、五郎さん。蓮華の具合はどうですか?」
亮は五郎から連絡があって少しだけ心が落ち着いた。
「今、蓮華を診断したがインフルエンザの変種で
インフルエンザの治療薬を投与しました。
詳しい事は研究室で調べます」
「そうですか。ありがとうございます」
「亮さん、もしも人工的にインフルエンザの
変種を作ったとなると大変な事なります。
とりあえず、蓮華さんを研究所に搬送します」
「分かりました、よろしくお願いします」
熱海国際カントリークラブが近づくと
サムが亮に聞いた。
「亮、もうすぐ目的地だ。ゴルフ場にヘリポートはあるのか?」
「いいえ、着陸しなくて結構です。9番ホールのグリーン上を
通過してください」
「飛び降りるつもりか?」
「はい、ロープで降りてもし敵がいたら狙い撃ちです」
「そりゃ、そうだが」
「行ってください、時間が無い。そして上空では絶対ライトを
点けないでください」
「分かった」
サムが一度9番ホールのグリーンを通過し高度を落として
旋回し低空でグリーンをとらえようと考えていた。
その時、亮の姿は機内から消えていた。
「サム、今亮が飛び降りた」
後方の席に居た隊員がサムに伝えた。
「馬鹿な!ここの高さまだ30m、10階の高さがあったはずだ」
サムはサーチライトを点け亮の無事を確認しようとしたが
亮との約束でそのまま飛び去って行った。
「亮、無事でいてくれよ」
サムは大声で亮の無事を願った。
突然飛び降りた亮の頭の中では計算が出来ていた。
重力の加速度は9.8m/sec^2高さが30m
t=√2h/gによって着地まで2.4735秒
v=√2ghよって秒速24.25m
体重70kgで秒速24.25mだとそのエネルギーは20,594ジュール
着地した時亮の両足におおよそ2トンの重さが圧し掛かる。
そして、芝のグリーンがそのショックを半減させる為に
1トンの圧力がかかる。
亮はグリーンの芝の上に着地し勢いを消すために
何度も転がった。
「さすが新型シューズインソール、効果あり☆5つ上げよう」
亮はそうつぶやくと明かり1つない暗闇の中を素早く
9番ホール脇のレンガ風のハウスへ走って行った。
そこに近づくと亮は腰を落としハウスの入り口の
グレーの鉄扉にウエストバックから取り出した聴診器を
あて中の音を聞いた。
10秒、中からは人の声、物音が全く聞こえなかった。
さらに10秒、亮は中で何が起こっているか
思いを巡らせた。
「チッ、チッ、チッ」
規則正しい音が亮の耳にかすかに聞こえた。
「爆弾?」
亮はライトを点け口に咥え鍵がかかっているドアの鍵穴に開錠用の
工具を突っ込み鍵を開けた。
爆弾のタイマーが動いているなら
トラップは無い、そう確信した亮はドアを開け
ライトで室内を照らすと目の前に階段があり
亮は入って来たドアの回りを照らし室内灯の
スイッチを入れた。
「これは・・・」
明るくなった室内を見渡した亮は唖然とした。
5段階降りた先にテーブルがあり
フラスコやビーカーやシリンダーなど実験用の機材が見えた。
部屋に漂う香りはまさにガソリンの物だった。
「まずい」
気化したガソリンは室内に漂い
わずかの火でも爆発は間逃れななかった。
時計の音のする部屋の奥に進んで行くと
天井から吊るされたビニールの天蓋の下のベッド上に
人らしい物を見つけた。
「桃華?」
亮はそれに気づいたが爆弾を止めるのが先決で
気になる気持ちを振り切って
音のする方句へ進んだ。
部屋の突き当りに5つのゴルフバッグが並んでおり
その1つに音の発信源を見つけたが
ゴルフボールがたっぷりと入っていた。
「くっそ!」
爆弾の構造が分からない亮は
バッグを横に倒す事も出来ず一個一個取り出しカゴに移し替える
事しかできなかった。
それはまさに計算された茂蔵の策略としか思えなかった。
「有った!」
亮が取り出したそれはC4爆弾に時計が
付けられた簡単な構造の物だった。
「あと、1分!」
亮は爆弾を抱えてハウスの表に走り出した。
「雪さん、僕の位置からウォーターハザードまで
どれくらいの距離ですか?」
「そこから右方向250mです?」
雪はGPSを付けている亮の居場所を確認し亮に指示を出した。
「ありがとう、50から10ずつカウントダウンお願いします」
「了解です」
亮はハウスから右方向へ9番ホールを横切り
7番ホールとの境の林をすり抜け7番ホールを横切った。
「30」
5番ホールと7番ホールの境の林を抜け
ラフの前にでた。
「10」
雪の声が聞こえた時目の前に池が見え
亮の息はマックスに上がっていた。
「はっ、はっ。9・8・7・6」
亮は走ったまま勢いを付けて爆弾を思い切り
池の真ん中に向けて放り投げた。
その爆弾は低い放物線を描き、池の中に入った。
「3・2・1」
その時地響きが鳴って爆発音と共に池から水柱が上がった。
「五郎さん、今どこですか?」
亮はハウスに戻りながら緑川五郎に連絡を取った。
「もうすぐ亮さんの前です!」
五郎の声と共にヘリコプターが突然目の前に現れた。
「良かった、桃華を発見しました。生死は確認していませんが。
病気は進行しているようです」
「了解です。9番ホールに着陸します」
亮は必死に走り込んで9番ホールで最も平らな部分に立った。
※ヘリポートの大きさは機体長さおよび幅の1.2倍
最大傾斜2%、20mの長さで40cmの高低差以下でなければならない。
「9番ホールのグリーンは10m10mの2段グリーンなので
20m確保できません。傾斜角度左右に3%それでいいですか?」
亮が聞くと五郎が答えた。




