ゴルフ場
それから間もなくロビンが振り返って雪の顔を見た。
「できた!」
「はい?」
「顔認証システムを車に置き換えた
新しいプログラムだ試してみてくれ」
「は、はい」
雪はCIAが録画したデータを検索車両にいれた。
「N社、2018型、黒のライトバン
ナンバー、品川303-2○7○」
エンターキーを押すとモニターの映っている
マップにランプが点いていった。
「西湘バイパス、135号線、真鶴道路、熱海海岸自動車道路、
間違いなく熱海に向かっています」
麻実が声を上げた。
「やった!」
ロビンが手を握りしめると雪とハイタッチした。
「雪さん、熱海港で止まりました」
麻実の声が小さくなった。
「さすがこの先は防犯カメラが無いわね・・・」
雪はそうつぶやくと小妹に電話を掛けた。
「小妹、熱海港まで車両を追跡したけど
その先は防犯カメラが無いので無理だわ」
「ありがとう雪さん、熱海港まで向かいます」
「了解、気を付けて」
~~~~~
亮が1時過ぎに事務所に着くと
屋上の庭園でキャシーが一人でお茶を飲んでいた。
キャシーが亮に気が付くと亮に抱き付いてキスをした。
「お帰りなさい」
「キャシー。体調は?」
「大丈夫よ」
キャシーは笑顔で自分のおなかを撫でた。
「ここの庭。素敵だわ、久々にのんびりしていた」
「それは良かった。ロシアの彼女たちも
ここが気に入ってのんびりしていました」
「そうでしょう。ねえ、日本のビルの屋上って
もったいないわね。うちのビルは
ペントハウスやレストランやアーバンファームにしているわ」
キャシーは周りのビルを見て考えていた。
「そうです、確かにもったいないですけど
1棟1棟のビルの規模が小さいので
あまり有効活用が出来ません。
それでも屋上に太陽光発電パネルを設置して
自家発電はすべきだと思います」
「ねえ、その電気って売れるの?」
「売れますよ。電力会社にだけですけど」
「そうか直接売れないのか・・・」
「一般に売る事が出来ませんけどビル内の共用部に
使えるのでビルのメンテナンスコストが下げられます」
「そうね。ランド不動産ジャパンの持ち物件は
自家発電を進めましょう。
亮は発装置の性能の良い物を探してください。
それとも自分で作る?」
「考えておきます」
「亮!」
一恵が事務所から駆け上がってきて亮を呼んだ。
「はい」
「蓮華たちの行き先が分かったみたい」
「分かりましたすぐに行きます」
亮は紙袋をキャシーに渡すと
事務所に入って行った。
「まあ」
箱を開けたキャシーは顔をくしゃくしゃにして笑っていた。
~~~~~
「二人の行き先分かったんですか?」
亮は部屋に飛び込んで雪に聞いた。
「はい、ロビンのお蔭で熱海港までは足取りが分かりました。
亮が読唇術で読んだ通りです」
「ロビン?」
「ああ、顔認証システムを車にもやってみただけだ
対した事ではない」
「ありがとうロビン」
亮はロビンと握手をした。
「この後はお前の推理を働かせろ」
亮は熱海から先行方が分からくなった理由は
1.近辺にアジトがある。
2.防犯カメラを避けて走っている。
3.仲間がいて乗り物を代えた。
4.熱海から船に乗った。
5.蓮華、桃華は別な場所に監禁されている
亮は色々と仮定した。
「22時に有栖川公園から熱海に向かえば、
遅くとも24時に熱海に到着する
船に乗るとなれば初島行は朝の7:30、
大島行きのジェット船は10:15
それまで時間をつぶすとなると大変です」
「と言う事は熱海から船に乗る事はありませんよね」
雪が亮の意見を聞いて答えた。
「でも一応乗船客の映像を調べてください」
「分かりました、船着き場の映像を検索します」
「了解です」
亮の指示を受けて麻実が答えた。
熱海港から南西に向かいと険しい山道の熱海街道が箱根
芦ノ湖へと続きその距離はたったの19.7kmである。
山道のそこには当然防犯カメラなどなく、茂蔵の行方を
知る事は出来ない。
「亮さん、船着き場、待合室のカメラには蓮華、桃華の
映像は映っていません」
「やはり、アジトはこのラインかもしれない」
麻実が言うと亮は熱海道路沿いに敵のアジトがあると確信した。
「雪さん、熱海港から来宮を通って箱根に行く
熱海道路沿いを、監視衛星を使って車を探してください」
「分かりました」
そこへマギーと美喜が部屋に入って来た。
「そろそろ出番でしょう」
「良く分かったね、美喜さんと一緒に熱海に向かってください」
「ワタミ?」
「それは居酒屋、アタミだよ。小妹が先乗りしている」
亮はエルメスのブルーのポーチを2つマギーに渡した。
「ありがとう、亮」
マギーは新品のエルメスに頬ずりをして嬉しそうに笑った。
「違う、蓮華と桃華に会えたらこれを渡せばいい」
「そう言う意味ね・・・」
マギーはその重みにニヤリと笑った。
「亮さん、探している場所にはアパートと民家と別荘ばかりで
奴らのアジトになりそうな大きな建物が無いけど」
雪が衛星カメラの映像を観て確認していた。
「別荘か・・・雪さん小妹に別荘の場所を指示して探させてください」
「了解です」
雪は小妹にメールで別荘の場所のデータを送った。
「ロビン、ハイドロイヤーズのパーティは何時からですか?」
亮はもし蓮華たちが発見された時の
対処を考えていた。
「6時からだ、その前にキャシーを交えて打ち合わせをしよう。
パーティには美佐江とお父さんが来る事になっている」
「分かりました」
そこにバーキンを持ったキャシーが笑顔で入って来くると
衛星からの映像が映っているモニターを覗き込んだ。
「亮、日本のゴルフ場っていくらくらいなの?」
「そうですね、熱海から箱根辺りの場所なら
5000万ドルから1億ドルくらいですね」
「そう、1つ買おうかしら・・・亮ちょっと調べて」
キャシーが言うと周りはお嬢さんの我がままだと思った。
「マジ!」
亮は久保田郁子に電話を掛けた。
「郁子さん、熱海から箱根かけて売りに
出ているゴルフ場がありませんか?」
「あるわよ、熱海国際カントリークラブ、
先日親会社が経営不振で売りに出している。
70億円だけど、即金なら50億位に下げられるわ」
亮はそれを聞いて指を広げるとキャシーがうなずいた。
「それすぐに買います。抑えてください」
「わ、分かったわ。会員名簿と
場所は見なくていいんですか?」




