正一郎の秘密
「それで甲山さんの件ですが・・・」
亮がみんなの顔を見て話をすると内村が答えた。
「ああ、それなら亮君が来る前に話が済んでいる、
我々は全面的に甲山君の応援をする事に話がまとまった」
「そうですか、良かった」
「さて、今後の事は亮君に頼んで我々も帰るとしましょう」
内村に続いて全員が立ち上がった。
「亮さん、これからは私が連絡係を仰せつかりました。
ピーエヌエー株の件で明日連絡をします」
栗田が深々と頭を下げた。
「分かりました、よろしくお願いします」
「亮君、うちは山際恭子のから連絡をさせるからよろしく」
横山は亮の肩を叩いて部屋を出て行った。
「亮さん、色々ありがとうございました。
これからは加賀が連絡係としてお願いします」
甲山と加賀が握手をして帰って行った。
「亮君、お蔭で甲山が経営陣に復帰できそうだありがとう」
「いいえ、とんでもありません。
黒崎正一郎との戦いはこれからです。
何としても絵里子さん親子を護ります」
「なるほどな・・・」
内村は亮と絵里子の関係を想像して笑って部屋を出て行った。
「お父さん、このスイートルームはどうするんですか?
このまま空けるのはもったいないですけど」
亮はいかにも高そうなホテルのスイートルームを見まわして
秀樹に聞いた。
「そうだな、たまには一人で
この部屋でゆっくりしたらどうだ?」
「はい、ありがとうございます」
「ただ部屋代25万円もお前が原っておけよ」
「僕が払うんですか!」
亮が驚いていると秀樹は笑って答えた。
「あはは、このメンバーで誰が部屋代を支払うんだ」
「確かに・・・」
亮は割り勘にして後で5万円ずつ各社に請求書を送りつける事を
考えていると秀樹が振り返って言った。
「おい、亮。みっともないから後で割り勘の
請求書を送るような事はするなよ」
「あはは、もちろんです」
亮は秀樹に行動を読まれて苦笑いをした。
「ふう」
亮は全員を見送ると部屋のドアを閉めて
服を脱ぎながらバスルームに向かった。
「ガタン」
亮は物音がする体を低くしベッドルームへ見かった。
そしてベッドルームをゆっくり開けるとキャシーが居た。
「あっ、キャシー」
「あら、どうしたの亮。素っ裸で」
「それよりどうしたんですか?
キャシーてっきり帰ったと思いました」
「久々に亮と二人きりになりたくて・・・嫌?」
セクシーなキャシーが微笑んだ。
「い、いいえ」
「さて、仕事と二人の未来の話をしよう」
亮はマリア様のような微笑みを浮かべる
キャシーの胸に顔をうずめたかった。
二人はシャワーを浴びた後、ガウンを着て
ソファーに座った。
「さっき、ロビンが美佐江さんにプロポーズをしたわ」
「そうですか、大変だなあ」
亮は結婚後の二人の生活が気になっていた。
「私たちはどうするの?」
「どうしましょうね」
「無責任ね」
「だってキャシーの妊娠が…」
「確かにコンドームに穴を開けたのは
私だけどあなたとの関係を断ちたくなかったのよ」
「やはり」
ミスをしない自分の亮はなっとくした。
「あなたのお母さんが私たちの結婚を認めてくれたわ」
「聞いていました、でも結婚すれば僕の
行動が制約されてしまう」
「分かっているわ、でもあなたのすべてを知りたいの」
「分かりました」
亮は自分が警察庁の秘密捜査員である事、
そして暗鬼の話をした。
「想像はしていたけど・・・そこまでとは思わなかった」
「だから、僕には無理です」
「ううん、素敵。亮がますます好きになったわ。
私にも協力させて特に闇鬼は組織改革を考えましょう」
「えっ!」
「だから、命は大切にして。お腹の子がお父さんが
居ない子にしたくないのよ。
それと亮の女性関係も束縛はしないわ、当分の間」
「わかりました」
「じゃあ、約束」
キャシーは亮に抱き付いてキスをした。
〜〜〜〜〜〜〜
1時間後亮は絵里子に電話をかけた。
「さっきみんなが居て話が出来なかったんですが、
正一郎が上京した時の行動を知っていますか?」
「ええ、彼は上京すると必ずお客さんを連れお店にてきたわ、
きっと私を監視するためね」
「代官山に5600万円の分譲マンションを
持っているのを知っていますか?」
「出張のホテル代わりにしては高いわね。ひょっとしたら・・・」
絵里子は正一郎が愛人を囲っている事を想像する事は容易だった。
「はい、森さんに依頼した結果がさっき連絡が届きました。
そのマンションに住んでいるのは田代悦子27歳
渋谷の道玄坂でセレクトシップピートを経営しています」
「待って、たしか田代悦子って言ったわよね」
「はい、間違いありません」
亮は確認の為森から来たメールをもう一度見た。
「最近までうちに居た娘も本名は田代悦子じゃないかしら
正一郎が良く指名していたわ」
「もしかしたら、彼女は正一郎の手先?」
「かもしれない・・・」
絵里子は悦子がスパイをしていたなんて
信じたくなかった。
「そうか、ホステスさんならお店に盗聴器を付けるのも簡単ですね」
「それだけじゃなくて、私の家に何度か来た事もあるわ」
「本当ですか?」
「親睦の為に時々家で鍋パーティをするのよ」
「その時に部屋に盗聴器を付けられたのかもしれませんね」
「そうね、残念だけど・・・」
「分かりました。名前だけでは想像の域を脱せません。
すぐに写真を入手するように伝えます」
「ちょっと待って」
絵里子は亮との電話を切って美也子へ電話を掛けた。
亮はその間にホテルの部屋に付いているバーカウンターで
マティーニを作ってテーブルに置いた。
「亮、やはり田代悦子は同一人物だったわ、
うちの女の子たちに道玄坂にセレクトショップを
オープンした話をしていたそうよ」
絵里子は悦子の店のオープンに何の
連絡も無かった事が残念だった。
「そうですか・・・絵里子さんの情報を流す
代わりに正一郎にお店を買ってもらったんですね」
「いい娘だと思っていたのに・・・」
絵里子が悲しそうな顔をして答えた。
「絵里子さん、正一郎はマンションと彼女の店への出資で
1億円近く使っています。ポケットマネーじゃありませんよね」
「ええ、いくら正一郎でも右から左に
1億円ものお金を使える訳がないわ、
財布の紐は奥さんの泉さんが握っているから」
「じゃあ、そのお金をどうやって調達したか聞いてみましょう」
「まさか正一郎に?」
「いいえ、田代悦子さんに」




