君は太陽
「君は太陽みたいだ」
あなたが昔、私に言った言葉。眩しくて暖かい太陽と同じだと言われて、私は無邪気に喜んでいた。それがあなたにとってどんな意味を持つのか全然わかってなかった。今日、君がその言葉をもう一度言うまでは。
「ねえ、昔に君は太陽みたいだ、って言ったの覚えてる?」
ふと気がついたようにあなたはそう言った。私の事を太陽みたいだと、確かめるように哀しむように。笑って私の方を見たあなたのその指先からは、どうしてか小さな炎が生まれていた。
「太陽は眩しくて暖かくて生きていくためには欠かせない大切なもの。けれど太陽に近づきすぎると焼けてしまうから」
微笑みながら焼けていくあなたが、私のせいで死んでいくあなたが、最後に言った言葉。指先から少しずつ燃え尽きて、あなたが消えていく。あなたへと伸ばした手は、あなたが燃えるのを早める事しかできなかった。
ああ、それならば私は太陽になんてなりたくなかった。あなたの光になれなくても、あなたに愛されなくても、あなたの大切になれなくても、あなたを燃やさないただの人でありたかった。
嘆く私を置いてあなたは燃え尽きた。あなただった灰色の小さな山は、私が手を伸ばす前に風に攫われてどこかへ飛んでいった。
あなたはもう居ない。