考察抜き考察
「さあ今回も考察やっていきましょう」
「またこの展開か。味を占めてきていないか?」
「今日は少し真面目になって、創作でよく使う『要素の入れ替え』についてやっていきましょうか」
「スルーしたな……で、要素の入れ替えって?」
「文字通り、物語を構成する要素、あるいは登場している要素を入れ替えたり逆転させる手法」
「何か小難しい言い回しだな」
「じゃあ簡単なもので例を上げてみましょうか。今話し合っている私たちの性別。これを入れ替えると物語のイメージはどれくらい変わるかしら。あ、喋っている口調はそのままでね」
「……とてつもなくイメージが変わるな。いいか悪いかは別にして」
「そうね。私はいきなりオカマのイメージになるし、あなたは男口調の女性になるのかしら? たったひとつ入れ替わるだけでずいぶん違うものになるわね」
「最近だと、物語に男の娘やらTS……性転換なんてよく見かけるようになってるけど、ああいうのもそうなんだろうか?」
「その辺は作っている側が入れ替えを意識しているかどうかによるんじゃないかしら。単に好きだから登場させているんなら入れ替えとか関係ないし」
「まあそうか。性別の話が出たから話題に出しただけだ。他にも入れ替えで何かできる部分があるの?」
「いくらでも。例えば時系列。過去の話と現在の話の居場所を入れ替えるだけで、物語は全然変わるわね」
「先に過去を知っておくとキャラはつかみやすいな。あとから過去を出される場合、現在の行動からしかキャラが分からなくなる」
「その場合でもメリットはあるわ。過去を出さないことでミステリアスなキャラに演出しやすくなる。うまく作れれば、キャラの過去を『とても知りたい』と思ってもらえるわ」
「未来の話を入れ替えて持ってくるのもありなのか?」
「もちろんそうね。まあ読んでる側に分かりにくくなりがちだけど。これ以外にもいくらでも入れ替えという手法は使えるわね。ひとりのキャラの要素だけでも、入れ替えだけで色々考えられるわよ」
「年齢も性別も容姿も人格も、そりゃ入れ替えたら思い切り変わるもんな……で、これをどう考察するって?」
「……私、今月生活費がピンチなの」
「金を入れ替えようとするな」