温泉旅館は縄文式住宅?
UFO型タクシー(籠)で温泉旅館前で下ろされたのはいいが、縄文式住宅が1軒しかない。
さて、どうする?
第二章
その2 温泉旅館
目の前には、縄文式住居がぽつんと1軒。
そう、よく古墳で、こうだったんじゃない?と再現して立ててある葦で作られた、とんがり帽子のような家。
大きさから5人位が囲炉裏を囲める広さの家・・・それが1軒のみ。
入り口に戸はなく、真っ暗で中が見えない。
周囲を見回して、ぽつんとつぶやく。
「なぁ、温泉旅館らしきものが見えないような気がする。」
「うん。そう私にも見える」
「ニャン!」と、穂乃花の服の中から猫が顔も出さずに答える。
見てもいないのに適当に答えるなよニャン吉君。
そういえば、ずっと穂乃花の服に潜り込んでいたんだっけ・・。
穂乃花(と隠れ猫)から目線を外し、目の前の住居を見る。
「温泉の湯気らしきもの見える?」
「え~とね・・」といって回りを見回す。
「・・・・無いね」
「だよね」
「温泉といったわよね?」
「言っていたよね」
「・・・」
「・・・」
「まあ、なんだ、一応、目の前の住居に入ってみよう」
「ええ~、入るの? これ数人しか入れないような広さだよ、たぶん・・・」
「やはり、そう見える?」
「それ以外に見えないんですけど・」
「ウニャン」と猫が声をかぶせる。
だから顔をだせって~の、ずく無しが!
(ずく無しは方言です。意味は・・え~と、うん、説明面倒なのでしませんm(_ _)m )
「でもさ、周りに何もないし、とりあえず中で人に聞いてみようよ」
「・・え~、またさっきみたいに入ったら、シャコウドキさんが出てくるよ~」
「まあ、いいじゃん。サイコロ転がして振り出しに戻るってのもさ」
「しゃれになんないじゃん!」
穂乃花の言葉を背中で聞きながら縄文式住居の入り口に向う。
入り口から中を覗くと、真っ暗で何も見えない。
すこし立ち止まり、深呼吸。
す~す~は~、す~す~は~・・うん、この呼吸法は落ち着く。
“こんにちは” は通じるのかな・・・と、ふと考える。
意を決して「こんにちは~!」と言ってみた。
「は~い、いらしゃいませ。そのままお進みくださいませ。」
おや?返事があった。
「お進み下さいと言っているよ、穂乃花」
「言ったね。」
「じゃ、入るよ」
「・・・うん」
猫「・・・・」
なんか、穂乃花の上着がモソモソ動いている。
怖くて服の中で暴れてんな、ニャン吉よ。
暗闇におそるおそる入る。うん、男らしく、おそる、おそる、ね。
入った瞬間、思わずまぶたを閉じ立ち止まる。
「うっ!まぶしい!」
あれ?暗闇だったよね、暗闇に一歩踏み入れたはずなんだけど。
ゆっくりと瞼をあける。
えっ!!! どこだよここは?
目の前は、有名ホテルのラウンジ真っ青になるくらい広く、しかも天井が広い。
高級ホテルかと思われるラウンジ、いや「らうんじ」だった。
なぜ、「らうんじ」かというと、日本家屋の総檜作りのホテル、いや、旅館、いや、日本語でもホテルがあるからいいや、ホテルだった。
床は、たぶん檜のフロアー、たぶん30畳以上あるよね。
突き当たりに、高さ60Cm位いの高さの一枚板の机があり、そこに貫頭衣を来た人たち10人位が正座している。
そこはフロントか?フロントだろう、いや「ふろんと」と書くべきか・・・
私達の右横には同じ貫頭衣を来た人たちが正座して
「ようこそ、湯屋“おんせん”へ」と頭を一斉に下げる。
「・・・和式だ。」
「うん、和式だよね。じゃ、トイレも・・・」
トイレ? 何故にトイレを気にする?
そもそも、トイレは和式とは限らんぞ、穴だけという原始的トイレも・・
いや、まて、UFOがある世界だ、それはない。
まさか、トイレの中にはゲームに出てくる滴型の透明なのが中にいて・・・。
妄想していると、声をかけられた。
「どうされました?お客さま・・?」
「あ、いえ、今日は泊まれますか?」
「はい?どういう意味でしょう?」
「いえ、だから今日泊まれる部屋はありますか?」
「まあ、やだ、お客さま冗談を、ホホホ
いつでも泊まれますよ。」
へ?
笑われた。
変なこといったかな?
とまどっているのを仲居さんは見て、あらためて私達を頭から足下まで見る。
「あ、申し訳ありません!
海外の方ですね?
この宿は拡張型亜空間構造建築となっております。
その日の泊まり客分の部屋が生成され満員になることはありません。
海外ですと、コテージ型が多く、亜空間の隣接をいやがる人のために、ケースにより泊まり客制限があると聞いたことがあります。
そのことをお気にされたのですね?」
「あ・・、はい」と、同意する。
まあ、海外の人ではないが、似たようなものだからいいだろう・・、たぶん。
穂乃花「二人と猫1匹ですが、猫は大丈夫でしょうか?」
猫 「にゃうん!」と言って、穂乃花の服から顔だけのぞかせ穂乃花を見る。
・・たぶん、1匹という言葉にニャン吉は抗議したのだろう。
3人だと言ってほしいと。ニャン吉よ、猫だということを自覚しようね。
「はい、大丈夫ですよ。
当国ではペットも家族として同伴できます。
ただ、滞在中は、他のお客様が猫アレルギーを起こさないように、
猫さんの周囲に見えない膜を張らせていただきます。
これによりお猫さんは別空間となりアレルギー対策となります。
よろしいでしょうか?」と、穂乃花に同意を求める。
「それでお願いします。」
「それでは、あちらで受付をお願いします。」
お二人の方が評価して下さいました。
ありがとうございます。
初めての評価なので、大変うれしい!
もし宜しければ、つまらない箇所とか、どこが面白いか感想をいただけると幸いです。
ありがとうございました。