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関所を通過するには生体認証の登録が必要だと言われた。

第一章どこだ?

その5 生体認証


 シャコウさんに促されて関所の門をくぐる。


 門をくぐりながら、シャコウさんに感謝する。

 こうして関所に入れたのは、シャコウさんの温情であったからだ。

 シャコウさんと出会わなければ、通行手形のない私達は、この門をくぐれなかっただろう・・


 シャコウさんによると、これから生体認証の登録を行うそうだ。

 生体認証登録が済めば、関所を通過できるとのこと。

 さて、生体認証はどのようなものなのだろうか?


 それにしても、生体認証って縄文時代にあったんだろうか・・・


 横を歩いていた穂乃花が聞いてきた。


 「ねえ、生体認証って何?」

 「それは、例えば指紋とか目の光彩を使用し、個々を特定する認証だよ。」


 この会話を聞いていたシャコウさんが生体認証について説明をする。


 「いえ、そんな原始的なものではありません。DNA、脳の指紋を登録します。」

 「え!・・すごい!」

 「?? 普通の技術ですが?」

 「えっと・・・普通なの?」


 現代でも無くはないけど、パスポート代わりに使用できる程は進んでないと思う。

 ましてや脳の指紋て・・


 穂乃花がシャコウさんに訪ねる。


 「ね~、シャコウさん、脳の指紋て何?」

 「個人を特定する脳のしわの文様、および脳波のパターンを指します。」

 「う~ん、よくわかんないけど、分かった」


 分かってないじゃん。穂乃花よ。


 生体認証にDNAと、脳の指紋なんて聞いたことがない。

 俺たちがいた時代よりすすんでんじゃない? ここの技術。 


 DNAというと遺産相続でもめたときの鑑定や、警察での証拠ぐらいなんじゃないの?

 それをパスポートの認証に使うというのだから・・・


 また、脳の指紋なんて、どうやって生体認証をするのだろうか?

 MRIでするなんていったら、そんな高額な検査装置を至る所におけるわけがないし、

 そもそも設備自体が大がかりすぎて生体認証になんて向いてないと思う。


 ましてや脳波のパターンで個人を特定するなんて、わけわからない。


 本当に縄文時代にあったのだろうか?

 縄文遺跡からMRIが出てきたとか聞いたことない。

 政府が秘密にしているのだろうか? オプトパーツとして存在していたのか?


 もういいや、ここは、縄文もどき時代で。

 たぶん異世界とかパラレルワールドだろう。


 それにしても、なんで、こんなところに来てしまったのか分からん。

 

 戻れるのだろうか・・・

 今、そんなことを口にしたら穂乃花がパニックになるだろうから黙っていよう。

 たぶん、穂乃花は帰る心配より、物珍しさで一杯なんだろうな。

 そんな度胸の据わった穂乃花は、すきだけどね。

 女は度胸か、なるほど、ね。


 そうこうして、歩いているうちに、木造平屋建ての前に来ていた。

 何の変哲もない六畳一間が二部屋もあればいいような長屋みたいな建物だった。

 建物の入り口には、看板がかかっていて、なにやら筆で書いてある。

 何々、なんて書いてあるんだ? と、読んでみる。


 ”お静かに”

 ずっこけた。


 ずっこけた俺を見て、シャコウさんが驚いて聞いてきた。


 「どうしました? 大丈夫ですか!?」

 「いえ、あの、“お静かに”って書いてあったので。」


 それを聞いた穂乃花、

 「え、いいんじゃないの? だって、これから健康診断うけるんでしょ?」

 「いや、違いますよ、生体認証の登録ですよ。」

 「同じようなもんじゃん。」


 ああ、もう、穂乃花とシャコウさんの会話を聞いて、どうでもよくなってきた。

 シャコウさんも、面倒になったのだろうか、


 「・・・え~と、では中に入ります。」


 シャコウさんは、横にスライドさせる典型的な雨戸のような重厚な扉を開ける。

 なんてスムーズに開くのだろう、この扉。


 中は総檜作りではないだろうか、木のよい香りが鼻孔をくすぐる。

 畳み敷きではなく、6畳一間のフローリングだった。


 靴を脱いで中に入っていく。

 目の前に人が一人通れるくらいの朱塗りの鳥居が、ど真ん中にぽつんと鎮座している。


 シャコウさんから説明があった。


 「この登録器の中を一人づつお通り下さい。」

 「は~い!」


 穂乃花は返事をすると躊躇なく、俺の方も見ないでとっとと鳥居をくぐる。

 くぐった後、体操選手が鉄棒を終えた後のように両手を上にあげ両足を揃えて立ち止まる。


 「10点満点です! 金メダル獲得!」


 うん、ほっとこ。妄想の邪魔をしちゃ悪い。

 そして続いて俺が鳥居をくぐる。


 シャコウさんが、それを見て

 「お疲れさまでした。登録は以上です。」


 これで終わり? 拍子抜けして部屋から外に出た。

 登録器を素通りするだけ登録なんてすごいと関心した。


 そうだ、登録書の発行時期を聞いておかなくては。

 シャコウさんに聞いてみた。


 「あの、生体認証の登録書みたいなものは、いつ発行されるのでしょうか?」

 「生体認証の対象は、体そのものを対象とするので発行するものはありませんよ。」


 へ? IDカードのようなものは無いんだ・・・


 「あの、じゃあ、この登録の完了はいつ頃ですか?」

 「もう済んでますよ?」

 「・・・・」


 あまりにも早い。なんなんだこれは?

 日本のお役職仕事には見習ってもらいたいものだ。


 シャコウさんの説明によれば、

 生体認証データは国の中央管理本部の「管理します課」に既に集約されているそうだ。

 生体認証の確認は、認証確認者に近づくだけ、または、乗り物など乗るだけ済むらしい。

 そのため生体認証者は気がつかないうちに認証を終えているらしい。


 「それでは登録も終わりましたので、ここを通過していただいて結構ですよ。」

 「え、これで無罪放免ですか?」

 「・・無罪放免て、罪人ですか、貴方は・・」


 と、穂乃花はシャコウさんにあきられてしまった。


 こうして生体認証の登録は無事に終わった。


ストーリー展開には手を加えていませんが、文章が長すぎたり、動作の説明に違和感があった箇所を修正しました。


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