関所を通るべきか、回れ右すべきか
目の前には関所らしきものが存在している。通ろうかどうしようか・・・
第一章どこだ?
その3 通行手形て何?
シャコウさんがロボットでなく人間であることはわかった。
そして、どうやら、ここは長野ではないらしいことも。
そう考えをまとめていると、シャコウさんが話しかけてきた。
「ところで通行手形を提示ねがいますか?」
「?????」
通行手形?
今、「?」が私の頭上に燦然と輝いているのがわかるだろうか?
通行手形とは、何だ?
え~っと、今日来た古墳公園でイベントあったっけ? そのチケットのこと?
あるいは、古墳公園でコンサートがあって、その入場券?
混乱状態に陥る。
ふと、目の前のシャコウさんのバックを見ると、関所のようなものがある。
「あ、そういうこと!?」
ポン! と、思わず手をたたく。
時代劇にあったっけ、道中手形がないと関所を通してくれないんだ。
通行手形とは、それのことか~・・、うん、納得。
怪訝そうな顔をして、シャコウさんが再び問いかけてくる。
「あの~、関所を通りますか?」
さて、どうしよう?
通行手形は無いから、関所を通るのをやめて、逆方向に行ってみようか?
いやいやいや、それはないだろう。
だって、遙か山の彼方までススキ野をかき分けて続いている道だよ。
ススキ以外は何もなさそうだ。
公衆トイレなんてないよ、たぶん。
無けりゃ、穂乃花が怒るよ、どうすんの。
それに、ススキと言えばお化けだ。
夜になったらお化けが出そうだよ。怖いよ~・・・
結論
関所を通って、人のいる場所に行く。これしか無い。
しかし、関所を通るには通行手形というものが必要なことは分かった。
では、通行手形を入手するには、どうすればいい??
どこかに落ちていないか、通行手形は・・・
都合よく落ちているわけがないよね。
じゃぁ自分で作れないかな~・・・・
いやいやいや、通用する通行手形を見たことがないのに作れるわけがない。
どうしよう、どうしよう、どうしよう・・・ううう!
落ち着け!落ち着け、落ち着け!
俺はできる子だ、冷静になれ。
そうだ、深呼吸だ。
す~す~、は~。す~す~、は~。 確か呼吸法はこれで万全だ。
産まれても大丈夫だ。よし、問題ない。
そうだ、通行手形といえば!
「穂乃花、前、神社の祭りで通行手形を買ったっていってなかったか?」
「え? 通行手形は今日持ってきてないよ。」
「そうか、今日は無いのか・・」
「かわりに、印籠ならあるけど。
見てみて! どう、すごいでしょう、この猫マークの印籠。
そうだ、この関所に悪代官いないかなぁ。
悪代官に、この印籠が目に・・」
「ありがとう穂乃花・・」と、声を穂乃花の声にかぶせる。
「えええ!最後まで言わせてよ、もろ肌脱ぐとこまでがカッコいいんだから」
をぃ! 遠山の金さんと、水戸黄門をごちゃまぜにすんな。
遠山 黄門ノ尉 かよ。
この会話を聞いていたシャコウさんは驚いて、
「・・・あの、神社の祭りで通行手形を売っているのですか!? あなたの国では?!」
そりゃ驚くよね。
正規の日本国パスポートを、屋台の出店で売っているということになるから。
思いつきで穂乃花に聞いたことを反省する。
そして、なにげにシャコウさんの問いかけは聞こえなかった振りをする。
「シャコウさん、すみませんが通行手形を忘れてしまいました。」
「え? 忘れた?」
「はい、どうすればいいですか?」
シャコウさんは、信じられないという顔して、しばし口を開けていた。
そして思案顔で話しかける。
「海をはるばる渡ってこられた旅人に通行手形を取りに戻りなさいとはいえませんし・・」
考え込むシャコウさん。
しばらく考えた後、
「あなたたちは、私の関所勤め92年の経験上、悪い人には見えません。
身なりもしっかりしているし、私の権限で通行を許可しましょう。」
「え! 本当ですか? ありがとうございます!!」
お礼をいうと同時に、ふとシャコウさんの言葉が引っかかった。
シャコウさんが”勤続92年”と何気なく言った言葉を反芻してみる。
いや、反芻といっっても牛じゃないからね、考えの反芻だよ。誤解なきように。
92年?
シャコウ族は寿命だとか、退職年齢だとか、成人だとかどうなっているんだろう。
そう考えていると、シャコウさんより手続きの説明があった。
「それでは、入国のための生体認証登録を行いますので、こちらへ」
「はい、お願いします?」
返事が思わず疑問系になってしまった。
だって生体認証って言ったよね?
ここ、どう見ても現代に見えない。
時代劇もどきの関所しか目の前になく、後ろは舗装もされたいない道がある。
回りは自然が豊か過ぎる景色。そして何より遮光器土偶さんがいるんだよ?
縄文ぽくね?
ま、考えても分かるはずもないので、一人突っ込みはやめた。
とりあえず手続きをしよう。
ストーリー展開には手を加えていませんが、文章が長すぎたり、動作の説明に違和感があった箇所を修正しました。
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誤字修正を行いました。
また、会話に違和感があったので内容を修正しました。
この点は反省してます。
最初に考えていたストーリー展開に対し、書いている時に、後からあとから、こうすれば面白いのではと思いつくままに書いて自己満足していたのですが、投稿後、読み返したら違和感が残りました。