遮光器土偶がしゃべった!?
古墳から出たら知らない場所だった。
目の前は関所のような場所、ここは何処だと途方に暮れる二人と一匹の猫。
いや、猫は途方にくれないか・・
そして、誰もいないと思っていたら、背後から話しかけられて・・
第一章どこだ?
その2 シャコウ・ドキさん
「ようこそ旅人よ。通行手形をお見せください。」
言葉をかけられ、思わず後ろを振り向いた。
あれ? 誰もいない。
後ろに見えるのは、遮光器土偶だけで誰もいない。
まさか、遮光器土偶が話しかけてきてはいないよね?
遮光器土偶の方に向き直る。
その遮光器土偶を見つめていると、その遮光器土偶の口が動き始める。
「聞こえませんでしたか? 通行手形をお見せください」
え?
遮光器土偶の口が声にあわせ自然に動いている。
しかも身振り手振りしながら・・人間と寸分も違わない滑らかな動作だ。
うん、確かに遮光器土偶に話しかけられている
ええっと・・
あっ、そうか!
はやりのロボットだ! 受付ロボットなのかな? 納得。
でも、遮光器土偶タイプとはね~・・。
それにしてもよくできているよな~。
動作やしゃべるときの口や顔の動きが、人にそっくりだ。
そう考えていると、後ろから穂乃花の声がした。
「しゃべる ”しゃこうどき” だ!
え、何、なんなの? ロボット? ロボットなの!
ここ でぃずにーらんどじゃないのにロボットがあるの?!
すごい、すごい!」
と大声をあげ、その場で飛び跳ねる女子が一人。
この、お気楽女子は・・うん、穂乃花です。
そうだよね、
ロボットだよね。
あるいはアンドロイド?かな。
それからさ、なぜに しゃこうどき とか、でぃずにーらんど が平仮名なんだ?
まあ、いいけどさ。
しゃこうどき、と言っているけど正確には遮光器土偶なんだけどね。
まあ、たいした問題じゃないから良しとしよう。
遮光器土偶は、穂乃花のはしゃぐ姿を、あっけにとられて見ていた。
しばらくして、はっと、したようだ。
穂乃花に話しかけてきた。
「あの、何を言っているのでしょうか?」
「だ~か~ら~、あなた、すごいね!」
「あの~、何が、すごいのでしょうか?」
「だって、ロボットでしょう?
今のロボットて、すごいいんだね~、
まるで生きているみたい!!」
そう言うと、穂乃花は遮光器土偶に駆け寄って来た。
そして、ぺたぺたと遮光器土偶に気安く触りまくる。
「あの、やめて下さい。」
遮光器土偶は、軽く穂乃花の手をつかみ、触るのをやめさせた。
そして、やんわりと穂乃花との距離を取る。
おお、人と寸分違わない動作をしている。
この様子を見ると、遮光器土偶は、触られるのが嫌なんだ。
まあ、精密機器だから、触られないようにプログラムがされているのかな?
遮光器土偶から距離を置かれた穂乃花は、キョトンとした後、話しかける。
「あ、ごめん、ロボットさん。」
「あの~、私はロボットという名前ではありません。」
「え、ロボットではないの?」
「はい、シャコウ といいます。」
「え? ああ、あなたの、ロボットの名前ね。」
「? ロボットて何ですか?」
「え、ロボットは、ロボットよ」
穂乃花さん、説明になっていないよ・・・・・
まず、お互いの認識を揃える必要があるよね。
穂乃花に説明を任せるとややこしくなるので、俺が説明することにする。
「あの、あなたはロボットではないんですか?」
「? え、ええ、私はシャコウです。」
「いや、なんていえば・・いいのかな?」
「?・・・」
「そうだ! シャコウさんは機械仕掛けではないんですか?」
「? どういう意味ですか?」
「だから、シャコウさんの中に歯車があって、それを回して動いているんじゃない?」
「? 私が歯車で?」
「ええ、そうです。」
「私がですか?」
「ええ・・」
シャコウさんは、口を開けポカン、とした。
そして、下を向く。
肩が小刻みに震え、やがて振れがおおきくなって声を出し笑い始めた。
「ふふふふふふ! 何それ~! あははははは!!」
「・・・・」
「うける! それ、うける!」
「??」
「くくくくく、おかひぃ、ひ、ひ、くるひぃ!・・ひっ、ひひ、ひひひひひ!」
何がおかしいのだろう・・・・
笑い転げて、息ができなくなり苦しそうだ。
何が、つぼにはまったのだろう?? 理解できない。
それから数分後。シャコウさんはやっと落ち着いた。
そして、シャコウさんが話し始める。
「さて、何の冗談でしょうか?」
「?、いや、だから、シャコウさんは歯車などで動いているかと・・」
シャコウさんは、不思議そうに俺の顔を見たのだった。
ストーリー展開には手を加えていませんが、文章が長すぎたり、動作の説明に違和感があった箇所を修正しました。