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君に届け、僕の声  作者: 高崎菜優多
7/14

雨の日の放送

『今日は雨だったね。みんなの地域はどうでしたかー?』


部活から帰ると、イノリ放送が始まっていた。

森村は今日も聞いているのだろうか。

いつも部活で疲れているときに放送を聞くと、信じられないくらいまったりとできる。


月哉はパソコンからスマートフォンに切り替えるとそのままベッドにへダイブした。


イノリは放送者の中でもかなりマルチに活躍している。

閲覧数こそ少ないものの、ネタは豊富で飽きがこない。

心地のよい時間はあっという間に過ぎて行く。


イノリは一体どこに暮らしているんだろう?

もしかしたら街中ですれ違っているかもしれないし、実は同じ学校にいるかもしれない。

逆にもしかしたらものすごく遠くに住んでいて、手の届かないところにいるかもしれない。


月哉はイノリの放送が終わると、SNSからイノリにコンタクトを送った。


返事が来るかドキドキした。

初めて連絡してみたし、もしかしたら気持ち悪がられるかもしれないと思うとそわそわした。

すると、予想以上に早く返事が返ってきて、さらに通話とかしますかと連絡がきた。

月哉は通話のできるアプリケーションを使って、電話をかけた。

・・・・繋がった。


『もしもし?月さん?』

『もしもし、はじめまして月です。』

『初めまして。イノリです。いつも放送来てくれてありがとね。

一回ちゃんとお話してみたかったんだ。』


放送と変わらない、少しボーイッシュな声。

いつもは全世界に向けている声を、今は自分が独り占めしていると考えると嬉しくなった。


『俺もイノリさんと話してみたかったんです。』

『ほんと?嬉しいな!あ、敬語はやめてね!あたし堅いの苦手だから。』


あたし、と自然に言った一人称を聞いて、イノリは女性であることを知った。


『なんかね、あたしに連絡してくる人って出会い厨が多くて。

でも、月さんはそんな人じゃないだろうなあって。だってあたしの放送に昔っから来てくれてるのに、今日初めて話すんだもんね。』


ペラペラと饒舌に話すイノリにビックリした。

月哉はドキドキして、なにも喋れないというのに。

月哉は勇気を出して、言葉を口にだした。


「でも俺、イノリにずっと会ってみたいと思ってたよ。俺だって出会い厨だよ。」


イノリはクスクスと笑い出す。


『全然そんな感じしない。出会い厨ってゆうのはまずあたしに彼氏がいるかいないか聞いてくるもん。しかも、頻繁に連絡してくるし彼氏気取りなの。』


でも、貴方は違うでしょう?

そう言ったイノリの言葉に月哉はまた驚いた。

緊張して上手く喋れない。

でも、通話で顔が見えないことに安心した。

こんなにやにやした顔は、絶対に見せられない。


『あたしね、今ちょっとにやにやしてる。

月さん、いつもコメントでしか見ないけど優しそうだなって思ってたの。いつも文面が綺麗だし。』

「いや、そんなことない。俺の方が絶対にやけてる。だってずっと憧れてたし。」

『憧れてたなんて買い被りすぎ!』

「だって本当のことだよ。まさか通話できるなんて思わないし!」

『いつだってしてくれていいのに。

まだ少ししか話してないけど、月さん嫌な感じしないよ。』


イノリの言葉に心臓がばくばくとうるさくなる。

胸の奥がキュンとした締め付けられて、どうしようもないくらいに高鳴る。


心地のいい会話をたくさんした。

緊張はしたけど楽しかった。

やっぱり自然でいられた。


それからたわいもない雑談をして、また通話しようねと言われて通話は切れた。




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