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君に届け、僕の声  作者: 高崎菜優多
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晴れの日の放送

「なに?最近屋上にはまってんの?まあ、あたし的には先輩に会っても目立たないから助かるけどね。」


休み時間に森村が訪ねてくる頻度が増えた。

月哉も屋上にいる頻度が増えた。

繕わなくていいなんてなんて楽なんだ。そう思いながら月哉は黙って空を仰ぐ。

躊躇せず、変に意識しない森村は隣に座る。

それから月哉はポケットから小さな袋を出した。


「おやつあげるよ。」

「なにこれ?」

「知らね?クッキーじゃない?」

「先輩食べないの?」

「うん。」


森村は遠慮せずにラッピングされた袋を開けた。


「クッキーだ!これ手作りじゃないの?先輩食べないの?」

「うん。」

「甘いの嫌いなの?ごめんこの前クッキーあげちゃったじゃん。」

「いや、そうゆうんじゃなくてさ。」


不思議そうに森村は月哉を見た。

月哉ははあ、と息を吐くと静に言った。


「前にさ、完璧だと思われるのはやだって話したろ?」

「うん。」

「正直言うとさ」

「うん、正直言うと?」

「知らない奴から貰ったものなんか食いたくない。キモい。」


森村は大きな目をして驚いたあと、クスクスと笑だした。


「信じらんない!!あの青柳月哉の本性がこれだなんて!!」

「なっ、仕方ないだろ!そう思っちゃったんだから!!」

「最高じゃん!!あはは!あたし、そんな先輩のが素敵だと思うけど!!」


森村のその反応に、不思議と安心感がした。

森村と関わると不思議にしか感じない。なんて居心地が良いのだろう。

森村はクッキーを口にいれた。


「お、味はまあまあですな。

でも、たぶん混ぜかたが下手なのかな?バターがあんまり均等な感じしない。

てゆうかあたしだってこの作り主知らないし!!」


さらに、そのクッキーに文句までつけた。

でも森村はそのクッキーを黙々と食べている。

最後の一枚に差し掛かったとき、月哉に差し出した。


「あーん」

「は?」

「一枚くらい食べたら?あたしが毒味済みだし。」


森村は月哉を口にクッキーを押し込んだ。



***



『今日の質問コーナーはこちらです。イノリさんは、お料理とかするのでしょうか?だそうですけれど、どうでしょうねえ?』


今日のイノリのラジオは閲覧者が多かった。

オンタイムでコメントが流れてくる。


*イノリお料理とかできなそう!

*毎日コンビニ弁当でしょ?


リスナーはズバズバと辛口コメントをする。


『みんなひどいぞ!僕、こう見えても料理上手いんだからな!』


*イノリの得意料理は?

月哉は急いでコメントをした。


『何だろう?でもわりとなんでも作れるよ!魚も捌けるし!』


頼もしい元気な声が聞こえてくる。

月哉はそれからコメントをせずに聞いていた。


イノリの声はいつ聴いても心地がよい。


『得意なのは焼き菓子!』


その声が聞こえたきり、月哉は疲れていたのかそのあとの記憶は飛んでいた。


部活に人間関係に勉強。

忙しない日常に、そろそろ嫌気がさしていた。


「そんな先輩のほうが素敵だと思うけど!!」


そう言った森村の顔が浮かんだ。

イノリも、こんな人なんじゃないかと勝手に想像した。

気兼ねなく話せる二人を重ねた。










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