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君に届け、僕の声  作者: 高崎菜優多
12/14

決着

森村の噂がたまに聞こえる。

それは月哉の在籍するサッカー部にも広がっていた。

噂なんて、所詮噂なんだな・・・月哉はただそう思った。


イノリの放送頻度が減った。

きっと片付けなければならないことというのに立て込んでいるのだろう。


「月哉、お前知ってる?」

「何が?」

「モリムラ、次はお前らしいね。」

「は?」

「室ちゃんが言ってたよ。気を付けな~」


月哉は反論したくなった。

森村はそんな子じゃない。

なんで森村にそんな噂が広がってしまうのだろう?

どうして誰も真実を知らないのだろう?


「あ、月哉先輩」


声をかけてきたのは室だった。


「月哉先輩、最近森村さんと仲良しみたいですね。

この前一緒に屋上で一緒にいたの見かけましたよ。」


ウェーブのかかったブラウンの髪が揺れる。

・・・・・苦手な奴だ、これ。

いつも自分にいいところを見せようとする女達と同じ雰囲気がした。

しかし、月哉はいつも通りに答えた。


「ああ、一緒にいたよ。」

「森村さん、ビッチらしいですよね。現にあの子、私の彼を取ったもの。」


月哉はいらっとした。

しかし平常を装った。

勝負しよう。そう思った。


「それの言いがかりに森村さんに水かけたりノート燃やしたりしたの?」


月哉は真っ直ぐに室を見た。

室は笑った。


「まあ、そうでしょうね。あの子嫌い。見てるとイライラする。」

「なんで?」

「なんの努力もしないでみんなに好かれて好きな人とも両想いになれて?すごい目障り。

だから悪者に仕立てたの。

あの子になりきってあの子が最低な人間に見えるようにSNSも作ったりして。

だから学年中に広まった。あの子が寝とったって。

もちろん嘘だけど。」


月哉は室を殴りたい衝動を押さえていた。

室がこんなに最低な子だなんて思ってもいなかった。


「お前・・・・・っ!!」


月哉が思わず手を挙げようとしたその時、後ろから声がした。

振り向くとそこには室の彼氏である三枝優がいた。


「綾花・・・・今の話って・・・」


驚いたように三枝は室を見ていた。


「お前がやったのか・・・・祈里が変な噂流されるようになったのは・・・・」


三枝は近づく。

月哉は何がなんだかわからない。

それから、三枝の傍らには森村がいた。

森村は腕や足は包帯だらけで、さらには首元にも巻かれていた。

歩くのに少し難儀しているのか、ゆっくりと室の方へ歩いていく。


「やっと話ができるね。

あたし、あんたと話さないとって思ってたよ。」


森村は近づく。

その姿に怖気付く室は後ずさりをする。

それでも、森村は進む。


「何がそんなに怖いの?

あたしに攻撃しないと気がすまない訳はなに?

私が優を取るんじゃ無いかとか思ってんの?

あんたが別れさせたのに?」


森村は室の近くに来た。

まっすぐに室を見つめている。

それを見ているこっちにまで緊張感は伝わる。

それくらい、森村は真剣な表情だった。


「あんた、自分から手を挙げたこと無いでしょ。全部あんたの取り巻きにやらせてたね。

あたしのこと一発ぐらい殴ってみなさいよ。」


森村の瞳は本気だった。

揺らぎのない、まっすぐな。


「早く」


室は手のひらを挙げた。

そして、振りかざした。

その手は震えていた。


「じゃあ、あたしが先にお返ししとくわ。」


森村は思いっきり手を振り上げて、室の頬を打った。

ぱしん、と渇いた音がした。

室は叩かれたところをてで押さえていた。


「痛いでしょ?でもね、あんたの心はもっと痛がってるの知ってるんだよね。

あんたも辛いだろうけど優も今凄く辛いと思う。」


森村は室を見つめたまま言った。





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