表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/40

アイントプフはカレーみたいな奴らしい。

馬達も落ち着きを取り戻したようだ。

騎士達は停止した馬車の周辺に馬を集め、僕たちは、馬が再び怯えないよう、馬車から随分離れた場所に戦車を止め、オストヴィントの車長を兼任で、現在のオーダーであるSS戦車小隊の小隊長も務めているアドルフ軍曹と一緒に、馬車の方へ近づいて行った。

すると、先ほどしゃべった騎士隊の隊長らしき人物が前に出てきて話しかけてきた。


「先ほどは大変助かりました。

私は、アムネリア王国第一王女殿下付の護衛騎士隊長騎士ハリファと申します。

皆様が、これほどの実力をお持ちとは全く判らなかったもので、馬達がびっくりして未熟な騎士が一人怪我をしましたが、100人を超えるような盗賊相手に、この程度で済み、大変感謝しております。

馬車に乗っておられる我が主、アムネリア王国第一王女、アリス・アムネリア様が、謝意を述べたいと申されておられます。

馬車の方へ来てくださいませんでしょうか?」


助けた馬車には、王女様が乗っているらしい。

まぁ~テンプレだね。


「私ははるか西方のドイツ第三帝国、ナチス親衛隊特務部隊の第5SS装甲ヴィーキング師団所属、イリヤマ・ハルキ大尉であります。」


うん、1度は言ってみたかった。

でも、護衛の騎士って言うと、普通は僕らに高圧的に接してくるものだけど、随分、丁寧な言葉使いの人だな。


と、思っていると軍曹が、戦車に救急セットがあるから、負傷した騎士の応急処置を行っては?と進言してきた。

そのまま、ハリファさんに伝え、軍曹は負傷者の方へ案内され、僕はハリファさんの案内で、馬車の方へ移動していく。

近くまで来ると、ハリファさんが、此処で待つよう僕に言い、彼は馬車の扉付近まで行き、左膝を地につけ片膝を立て、何やら報告した後、扉を開き、王女様の手を取り、馬車より降りるのをエスコートしているようだった。

王女様は、多分、10歳くらい。

淡い金髪で、ドリルさん。

ドレスは薄いピンクに、アクセントとして濃いピンクのリボンをあしらった感じのもの。

と、、、ガン見は幾ら何でも失礼なので、先ほどハリファさんがしたように、左膝を地につけ、顔を少し伏せて、お声がかかるのを待つ。

すると、凛とした良く通る声で、


「顔をあげてください。

危ないところをありがとうございました。

私は、アムネリア王国第一王女、アリス・アムネリアと言います。

助けて頂いたお礼をしたいのですが、今は持ち合わせが有りません。

是非、王都アムネリスへ同行しては頂けないでしょうか?。」


隊長さんと同じで、こちらの王女様も、随分、腰が低いらしい。

しかし、こちらにとっては、願ったりの話である。

何といっても、お金が無い。

ポケットの中に財布はあったが、硬貨以外は、ライヒスマルク紙幣しかない。

硬貨の10ライヒスペニヒは、銅貨と交換できるかもしれないが、数も無ければ、価値も大してないだろう。

まぁ~硬貨や紙幣の通貨単位は、先ほど、軍曹から聞きかじっただけで、ドイツでどの程度価値があるかもわからないが。

それに、戦車内に食料なんて上等なものはなく、アイントプフの缶詰が幾つかと、塩パン、あとは、ビールくらいしか無いらしい。

ところで、アイントプフって何だ?

って軍曹に聞いたら、SS将校様は、食べないかもしれませんが、お国では、毎週日曜日に食べる国民食だと聞かされた。

なるほど、日本の金曜カレーみたいな奴だな。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ