第二次内政会議in翡翠宮。
ワールシュタットの戦い後、何もかもが激変した。
何が変わったって?
先ず、生活!!
確かに、男爵に叙されて、貴族生活してましたよ。
1か月にも満たしませんでしたけど。。。
ただ、それでも、その生活は、人間らしかったんです。
館に居る使用人も、執事のセバスチャンを筆頭に、メイド頭のおばちゃんと、その娘が10代位の姉妹でメイドしてて2人。
あと、料理人と、おっちゃん風の下男が2人だけ。
顔も名前も、すぐに覚えれる人間関係だったよ。
今、知る限りでは、100人を超える使用人が公宮に居るらしい。
そう、そう、公爵に陞爵して、先ず、住まいが変わりました。
公爵の住まいは、館や城館と呼ばずに、公宮と言うんだって。
執務も、執務室に必要な人間呼ぶんじゃなくて、宮廷を作って、謁見だよ謁見。
王様じゃあるまいし、何様だよ!!公爵って。。。
封地として頂いたカロン大公の旧領だけでなく、王都にあった大公の屋敷、緑色の屋根なので翡翠宮って名前らしいけど、そこも恩賞として頂いた。
でもね、そこに居る使用人で、僕に声掛けて良いのは、貴族だけって何?
前の館に居た使用人、みんなこちらに連れて来たかったんだけど、みんな遠慮して、結局、付いて来てくれたのは、セバスチャンだけ。
その彼も、子爵に叙して、貴族様になってやっとだよ。
で、当然、うちの中隊の面々も、兵は従士に、下士官は騎士にと、皆、下級なりとも、貴族になってしまったよ。
まぁ~封地の無い法衣貴族だけどね。
では、元々、大公領に居た貴族達はどうなったかと言うと、殆どそのままなんだよね。
大半は反乱時に、大公と共に戦場に居たんだけど、大公があっさり死ぬと、殆どがその場で降伏か、領地に戻って降伏かで、王国への帰順を誓って来たんだけど、、、
ハッキリ言って、うちに、首を挿げ替えられるほど人材居ません。
降伏者には、身代金や罰金を払わせて、領地や家督には殆ど手を付けてないよ。
ただ、王都防衛戦や、反乱で、運悪く戦死して、血脈が断絶した所は、しょうがないから直轄地に組み込んだけどね。
うん、ラノベのファンタジー小説でも、あんまり類を見ない寛大な処置だと思う。
余りに寛大すぎて、王国軍として参加した貴族からは不満が色々出ているようだけど、僕に直接言いに来る人は居ないから知らない。
そして、寛大な処置に感激したのか?
猜疑心が煽られたのか?
僕がモフモフスキーと言う話を聞きつけて、美人なエルフや獣人、人族の女性、果ては、自分の娘や妹、自分の奥さんまで献上しようとするお馬鹿さんが出てきて、、、
エルフや獣人の集落を襲ったり、自領の住民を攫ってきて献上した馬鹿共を、例外なく串刺しにして、一罰百戒とばかりに、王都から公都までの街道沿いに、百舌鳥の早贄のように、並べてあげたら、なんか串刺し公って嬉しくない二つ名を頂きました。
ルーマニアのトマトジュースおじさんと同じ2つ名なんて、納得できない。
それに、現代日本男児は、草食系なんだ!!
自分に姉や妹が居たらな~と期待してしまうお年頃であっても、奴隷や他人の奥さんを自由にしようなんて気力はありません。
まぁ~ファンタジーな転移・転生モノや18禁なゲームなら、それも萌えるけど、あくまで、非リアリティ、非日常の妄想世界でならの話。
異世界が現実となった今、草食な僕に、そんな勇気はありません。
僕は、勇者でなく、ヘタリアンなのです。
ま、うちの軍曹みたいに、濁声で、何にでも
「えっちなのはいけないと思います。」
と言うのもどうかと思うけど、、、
そんなこんなで、物理的にも、精神的にも激動な生活を味わっている所で、やり掛けのユキタ男爵領の内政も含めて、第2回内政会議を始めました。
参加者は、中隊の皆さん。
ユンカーの伍長さんだけでなく、皆さん、色々特技や知恵をお持ちで、異世界に憧れる厨二病患者より余ほど、内政チートだよ。
取りあえず、ユキタ男爵領で試行していた農業改革は、大公領でも行う。
人手不足を補う為の貧民スカウトは、大公領の規模が、男爵領と違うので全然賄えない。
そんな訳で、出来る限り、機械化や省人力化を進めて、労働力確保に努める事。
で、殖産振興!!商業作物の奨励や、各種生産ギルドの集約化、、、現代風に言えば、業界再編だね?
レールによる鉄道馬車の設置。
地質学の知識による科学的な探鉱事業。
当然、楽市楽座!!
これ、既得権益のギルドとすごく揉めました。
ほとんどすべての税に対する減税。
この辺はね、始めるとお金が出ていくばかりで、入って来る事あまりないんだけどね。
大学で鉱物学を少し齧ってたと言う調理班小隊の小隊長、伍長さんなんだけどね、、、何で?鉱物学学士で、調理人?
曰く、この世界は、錬金術で儲かります!!だそうです。
詳しく聞くと、廃鉱石から銀を搾り取るらしい。
それ聞いて、ピンと来たね。
灰吹き法だ~~って。
<灰吹き法>
戦国時代に、日本に入ってきた精錬法の一つ。
それまでの日本の精錬技術は未熟で、精錬した銅などに、少なくない比率で銀などの希少金属が含まれていた。
この為、室町時代に明や朝鮮へ輸出した銅は、現地で精錬されて、明銭などに変わり、日本へ再輸入。
少なくない銀が日明貿易や倭寇などで流出。
と、思ったんだけど、灰吹き法って、西洋じゃ~紀元前からあった枯れた技術との事。
中世ヨーロッパに似たこの世界にも、灰吹き法は普通に存在するとの事。
大声で知った被って、赤っ恥でした><;
しかし、アマルガム法(カホネス法)と言う精錬法は、今まで屑鉱石として放置されていた鉱石から銀を取り出せるとの事で、現役の各種貴金属鉱山や、廃鉱山から屑鉱石を集めて精錬事業を始めれば、正しく錬金術が行えるとの事。
その為に、大公領の山岳部にある、呪われた川の迷宮を魔物から取り返す必要があるとの事。
この迷宮からの特産品である錬金術の素材、アマルガムは、水銀化合物である可能性が高く、迷宮そのものが、水銀鉱床である可能性があるらしい。
と言う事は、呪われた川って、水俣病か???
他に、塩が要ると言う事で、王国南西部の海岸で、製塩事業を始めるとの事。
それらの拠点や、都市を有機的に鉄道馬車で結び付ければ、加速的に豊かになれるとの話で、、、
素晴らしいじゃん!!
もちろん、良い事ばかりじゃない。
曰く、事業が回り出せば、我々は年がら年中、24時間365日、戦争に明け暮れるでしょうだって。
なんで?って聞いたら、大量の銀を生み出す為、周辺諸国で商業革命が起きるそうで。
出回る大量の銀は、金や白金貨を普段使いしない庶民達の間で、価格の大暴騰、超インフレを招き、社会不穏を引き起こす。
社会不穏は、王侯貴族のような支配層の動揺と混乱を招き、その元凶の我々は、酷く恨まれるであろう事。
うん、聞けば当然だね。
でもね、経済チートは転生者の夢なんです。
バブル崩壊を皆、判ってても財テクに勤しんだように、知ってしまったからには止まらないんです。
もちろん、僕は、迷いなくGOサイン出しましたよ。




