その時、歴史が動いた かも。
何でこうなるの?
翌朝、夜明けと共に起きて、朝食を食べ、荷造りを終えて、王都に向けて出発。
オストヴィントから意識を外して、運転手の突撃兵(ドイツ軍だと1等兵)に、操縦を任せる。
彼は、このノロノロが全く苦痛じゃないようで、順調に街道を移動している。
凄いよ、マジ尊敬するわ。
で、王都の市街を守る外郭の城壁が見え、やがて、大きな城門が見えたその時、頭の中で、ピーンと言う音が響き、ミッションの説明画面が立ち上がった。
喜べ諸君!!
チュートリアルは物足りなかっただろう?
これからが本番だ。
クーデターが起きた。
カラン大公の手勢が、城門を抑えようとしている。
先ず、これを阻止せよ。
又、王女さんの継弟の母親と、王弟が手を結んだ。
ミュア子爵夫人の手引きで、王宮にカラン大公の手勢がもう一隊向かっている。
これもを阻止せよ。
・・・・
何でこうなるの?
前方を見ると城門で諍いが起きている。
城門を潜ろうとして居た商人や旅人は、逃げるように四方へ散りだした。
騎士隊長のハリファ殿が、門に駆けつけようと馬を駆ったが、遅かったようだ。
門兵を蹴散らした手勢は、門を閉じ始めた。
生き延びた門兵がこちらへ駆けつけ、
「大公謀反!!大公謀反!!」
と。大声で叫んでいる。
姫様の手勢は、僅か5騎と、蹴散らされ、逃げ延びた門兵2人ほど。
こちらが手助けしないと、落ち延びるしか選択肢が無くなるだろう。
落ち延びると、お金に不自由するだろうから、下手に長期化するとこちらが詰む。
積極的に、支援せざる得ない。
馬車を見ると、姫様が降りてきて、こちらへ近づいてくる。
僕もオストヴィントより降りて、姫様の方へ寄ると、
「イリヤマ様、助けてください。
このままでは、父、アムネリア国王の命が危ない。
どうか、お願いです。
父を救ってください。」
あぁ~お父さんが居たか。。。
そりゃ~逃げる事も出来ないよね。
今にも泣きそうで、肩が震えている。
「了解しました。
叶うかどうかは判りませんが、精一杯助力します。
だから、泣かないで。」
振り返り、僕の後ろに控えていた軍曹に、号令を発す。
「これより、アムネリア国王救出を行う。
先に乗車せよ。
僕もすぐ向かう。」
そして、アリス王女に振り返り、
「姫様、オストヴィントに一緒に乗車してくれませんか?
オストヴィントの機動力は非常に速く、馬なぞ足元にも及びません。
又、その攻撃は、類を見ない破壊力を誇り、その轟雷に兵や馬は怯えます。
しかしながら、私共は、王都を知らず、王宮を知らず、又、王様を知りません。
不用意に乗り込めば、敵も味方も区別が付きません。
故に、誰も信用できないし、誰も信用してくれません。
しかしながら、姫殿下がご一緒してくださるなら、きっと、王様を救い出せましょう。」
一息にしゃべり、頭を下げると、
「判りました。
案内いたします。
と、ハッキリとした口調で仰られた。
得体の知れぬ僕らと一緒だなんて、怖いだろうに、決意を秘めた強い眼差しで、僕を見ている。
強い子だなぁ~
「では、急ぎましょう。
時間が成否を分けます。
こちらから乗り込んでください。」