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古新聞なんて、戦場では焚き付け以外、何の役にも立ちません。(騎士隊長視点)

騎士ハリファは、驚愕していた。

戦車にも驚いた。

その破壊力は、驚愕すべき理由が十分にある。

しかし、これは、それとは根本的に違う驚愕である。

彼らは、魔導具を良く使うようである。

故に、火打箱の魔導具が有って、それを普通に使いこなした所で、驚きはしない。

しかし、彼らは、それを使って、何に火をつけた?

私の目に間違いが無ければ、紙に火をつけていた。

見間違いか?

いや、間違っていない。

今も、充分に火が大きくなった後、無造作に放り出され残った紙が、無造作に目の前にある。

文字は、見るところ我々のものと違うようで、全く読めぬが、綺麗に並んだ手書きとは思えぬ均一化された文字や、多分、見出しだろう、その文章、文節毎に、文字の大きさを変えて、読みやすく、見やすい形のそれが、いかに洗練されたものか?文字が判らなくても、理解できる。

それが故に、驚愕する。

紙と言うものは、我が国においては、公文書や大きな取引等、重要な記録に使う高級品である。

そもそも、近隣諸国に紙を作る技術が無い。

故に、商人が産地とされるはるか東方より、持ち込んでくるものを買い上げて使用しているが、持ち運びに軽くて、利幅も大きく、絶えず需要がある事から、高いだけで希少品ではない。

記録するだけなら、羊皮紙や板書で事足りる。

しかし、板なら、染み込んだインクが消えるまで薄く削れば、書き直しが出来る。

羊皮紙も、インクが染み込みにくいから、やはり削れてしまう。

書き直しが出来ると言う事は、改竄が出来てしまうと言う事で、公文書や取引など、紙の価値以上の記録で、改竄が不味いものには、必ず使われる。

ただ、紙は、保存に場所を取らない利点があるが、カビや変色の危険があり、保存が難しい。

その為、知識を集積する大学や図書館は、羊皮紙で保存して居る筈だ。

保存と改竄防止を両立させるなら、石や金属片に刻む。

どちらも持ち運びを考えないような、王都にある王法の石塔や、大神殿にあるミスリルで出来た戒律法典のようなものしかないが。

つまり何が言いたいかと言うと、そんな重要なものを何故燃やすのか?

と言う事だ。

それも、燃やしているのは、兵であって、士官の大尉や、下士官の軍曹ですらない。

そして、彼らは、それを当然のように許容している。

表情を見ても、緊張など欠片も見えない。

つまり、魔導技術だけでなく、彼らの帝国とやらは、紙が庶民でも、当たり前にある国だと言う事だ。

そして、彼らは、今、我が国に足を踏み入れているのに、その価値を理解していない。

周辺諸国、幾つ国を跨いでも、その価値観は変わらないと言うのに。。。

うん、とりあえず、じっと火を見つめよう。

悟られてはイケない。

敵だとは思わないが、あのゴーレムを抜きにしても、彼ら自身がいかに非常識な存在か。

そんな事を、彼らに知られて警戒される必要も無いだろう。

彼らから得られる情報は、多ければ多いほど良い。

姫殿下はお優しいから、消極的であろうが、食事が終わったら、全ての者に周知せねば、、、。

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