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ネフィリムヒストリー  作者: 富谷鹿遊
第一章 出会い、旅立ち、そして歴史は動きだす
5/8

バルヘイムの料理は、ワイルドですわ!

こんちは、富谷鹿遊です。

五話目ですね。

ここが1つの区切りです。

これからも、読んでくださると幸いです。

ーーー迷いの森



鬱蒼と茂る森の中。

時刻はすでに真夜中となっており、月の光だけをたよりにイザベラとアイシアは、森の中をさ迷っていた。

「ここ…、さっきも通らなかった?」

大きめの丸い石が3つ、重ねておいてあった。

「もう…なんなんですのここは…、歩いても歩いても同じところにでてしまいますわ…」

すでに疲れきっている様子のイザベラがアイシアに返答した。

「まさか、私達までバルヘイムに堕ちるなんてね。まいっちゃうよ」

悲惨な状況を憂いた発言だが、アイシアはたんたんとしていた。

「それもこれも、あのペテン師のせいですわ!」

イザベラは石の塔を蹴り飛ばす。

石が気にぶつかり跳ね返る、そのまま、イザベラの脛へとぶつかってしまった。

「いったーい!もう嫌ですわ!どうして私がこんな事をしなくてはならなくて!?」

ごろんと寝転がり駄々をこねるイザベラ。

アイシアは、冷静に周囲を確認する。

「イザベラ、あれみて」

イザベラは、アイシアが指を指した方向に目を向けた。

そこには、ゆらゆらと光る赤い光が二つ、茂みの奥に光っていた。

「あ、あれはなんです?」

イザベラはアイシアの足にしがみつき、声を震わせながら聞いた。

「たぶん…」

アイシアが言い終わる前に、赤い光は一瞬にして二人のそばに姿をあらわす。

そこにいたのは、灰色の毛並みの狼だった。

しかし、その大きさはロバ程もあり、異常に太い前足と、口内に収まりきらないほど巨大な牙がこの狼が普通ではないことを物語っていた。

「ひ!なんですのあれは!?」

「…」

天界の住人である二人には、モンスターはおろか、狼など当然見たこともなく、本能的に脅威であることを認識することで精一杯であった。

「ぐるるる…」

狼が低い声で唸る。

目線を下げ、二人の様子を伺うように右方向へ歩いている。

瞬間、狼が二人へと跳んだ。

発達した前足で全力で大地を蹴り、頭から突っ込んでいった。

「ぐおおおおお!」

『アイスバリケード!』

アイシアが手をかざすと、半透明半球状の氷の盾がでてきた。

半球状の盾に狼の攻撃はうけながされてしまう。

そして、すぐに距離をとり、再度様子を伺いはじめた。

「す、スゴいですわアイシア!流石ですわ!」

アイシアの足にしがみついているイザベラがアイシアを褒める。

「どんな攻撃をしてくるかわからないから。とりあえず防御したけど…。見た目通りの攻撃だったね」

アイシアはたんたんとしていた。

「今度は、こっちの番」

アイシアが攻撃魔法を打とうとしたとき、後方から何かが動く音が聞こえた。

すぐに後方を確認するアイシア。

その眼前には、二匹目の狼が既に大地を蹴りあげていた。

(間に合う…!)

そう確信した瞬間。

「きゃあ!」

イザベラの悲鳴で一瞬体が硬直してしまった。

(ダメ…!)

アイシアは、思わず、目を瞑った。

しかし、いつまでたっても衝撃が来ることはなかった。

恐る恐る、目を開くと、そこに狼の姿はなかった。

正確には、アイシアから左側に腹から氷の槍を生やした狼が横たわっていたのである。

「え?」

アイシアが驚いているなか、彼女の耳にはひゅん、と、風切り音が聞こえた。

「ぎゃん!」

一匹目の狼が血を吹き出しながら吹き飛んだ。

その腹には、先程と同じように氷の槍が突き刺さっていた。

「助かったのかしら…?」

イザベラが不安げに尋ねた。

「わからない、私達を生かして何かするつもりなのかも」

イザベラが青ざめる。

「な、なにかってなんですの!?」

「静かに!」

珍しくアイシアが怒鳴った為、面食らったイザベラは素直に従った。

茂みの奥から、ざっざっと足音が聞こえて来る。

ついに、月明かりの下に謎の人物は現れた。

その人物は、一言で言えば場違いな印象だった。

サラサラとした青い髪に青い瞳。

右側の腰に剣を携え、鉛色の鎧を装備していた。

宮廷騎士のような爽やかな出で立ちと、暗く、じめじめした森の風景はひどく違和感がある。

「あなたは、誰?」

アイシアが青年に尋ねる。

「ああ、すまない、驚かせてしまったよね」

青年は、微笑みながら後頭部を掻いた。

「僕は、マーシャル・フォン・ストラトゥス、旅人だよ」

自己紹介をされたが、アイシアは警戒心を緩めない。

「どうして、助けたの?」

アイシアのその言葉に、マーシャルは驚いた表情をした。

「人が狼に襲われてたら当然助けるだろう?しかも、襲われていたのは天使様だし」

見捨てたらバチがあたるよ、とマーシャルが続けた。

「貴方は安全な方?」

精神的に疲れきってしまったイザベラが、マーシャルに尋ねた。

「ああ、一応、常識はあるつもりだよ」

「…信用できない」

少し間を置いてから、アイシアがバッサリと切り捨てた。

「おいおい、まいったな」

マーシャルは後頭部を掻いた。

「実は、助けた理由はもう1つあるんだ」

「何?」

「実は、この森から抜け出せなくてね。君達もそうなんだろう?」

マーシャルは、アイシアの瞳をじっと見つめた。

アイシアも目を逸らさず、見つめ返した。

不思議と心が落ち着いて来た。

青い瞳と赤い瞳が交錯する。

「だから何?」

アイシアが尋ねた。

「だから、協力してもらおうと思って」

「大丈夫、君達に危害は加えない。それに、君達もかなり怪しいし、こっちも警戒させてもらうよ」

彼のいっていることはなんとなく本当の事だと思った。

「どこが怪しいの?」

「こんな時間の森に、なんの装備も持たない女の子が二人。しかも、それが天使なんだから怪しくない所を探す方が大変だよ」

この時アイシアは、マーシャルがずっと剣の柄に右手を添えていたことに気がついた。

「君達は、どうしてこんな場所に?」

「私は、あのペテン師に騙されたんですの…。その結果バルヘイムに堕とされることに…」

「ペテン師?」

イザベラが話を続けた。



ーーー三時間程前、天空都市ヘレン・書庫




「オーッホッホッホ!ついに、リタを負かしましたわ!」

書庫の中にイザベラの高笑いが響いていた。

「こんなこと、してよかったの?」

アイシアが心配そうに尋ねた。

「大丈夫ですわ!明日になれば帰ってきます」

「なぜ、そう言いきれるの?」

アイシアは疑問でならなかった。

バルヘイムに堕ちるということは、大罪であると共に、バルヘイムからヘレンへ戻る方法がないのだ。

そんなことは、子供でも知っている常識だ。

「その答えは、彼から聞いてもらいましょうか」

そういうとイザベラは後ろを振り返った。

「そこにいるのでしょう?出てきなさい!」

イザベラの声に反応したように、書棚と書棚の間の空間が歪み始めた。

「これは、何!?」

アイシアが狼狽える。

「安心なさい、アイシア。彼は、私達の味方でしてよ」

空間の歪みが人一人通れる程まで広がると、歪みの向こうから黒いフードを被った人が現れた。

背格好からするに、男のように見える。

「イザベラ、この人は誰なの?」

アイシアは目の前の男に警戒しながら聞いた。

「彼の名前はわかりません。ただ、私の願いを叶える方法を教えてくださったのよ」

イザベラは、アイシアに事情を説明し始めた。


なんでも、リタに決闘で連敗し、更に賭けも負けそうになっていたイザベラはとても悩んでいたという。


そして、偶然町でであったこの男に、ある作戦を持ちかけられたとの事だ。


その作戦がーーー


「ミルキーウェイ撃沈作戦、でしてよ♪」

イザベラがいたずらっぽく笑う。

「これで、リタは確実に遅刻しますわ」

「でも、バルヘイムに堕とすなんて、取り返しのつかないこと!」

「うふふ、そこは問題ありませんの」

なぜそんなに余裕なのか、アイシア冷静に考えた。

「!その男、空間を操る魔法が使えるの?」

「そのとおりですわ」

イザベラは相変わらず嬉しそうである。

(空間を操れるなんて…、何者なの?)

アイシアは急に不安になってきた。

やはり、私達は大きな間違いを犯したのではないか、と。

「さぁ、じゃあ、協力者さん!明日の朝、ホームルームが終わったらリタを呼び戻してくださいね。あの子、誰かに召喚されるものだと思っているでしょうから、きっと今ごろ怯えていますわ」

うふふ、とイザベラが笑う。

「…」

「?」

イザベラの言葉に、男は何も反応しなかった。

「イザベラ!様子が変だよ!」

アイシアが叫ぶ。

その時、書庫の風景が歪んだ。

本も棚も、壁さえも。

グニャグニャとまるで、波紋の広がる水面を見るように。

「な、どうゆうことなのです!?」

イザベラの叫びに、男はまたしても無言だ。

「いいかげんにしてくださいまし!このままでは私達まで…」

「イザベラ!手を、握って!」

「え?」

「早く!」

アイシアの突然の行動に驚いたものの、イザベラはアイシアの手を握った。

同時に、世界の歪みが大きくなる。

二人は、地面に吸い込まれるのを感じた。

「きゃああぁぁ…!」

イザベラの悲鳴が途中で不自然に途切れた。

男は、無言のまま、書庫の床を見つめていた。




ーーー迷いの森




「そんな事があったのか」

マーシャルが、先程の狼の肉にかぶり付きながら言った。

3人は焚き火を囲むように座っていた。

火の真上には、皮を剥がされ血抜きされた元狼が丸焼きにされていた。

(グロい…)

アイシアは、見慣れない光景に圧倒されていた。

「そうなのです。つまり、私達はペテンにかけられた可哀想な子羊なのですよ。それにしてもバルヘイムのお肉は美味しいですわね」

狼の肉を頬張りながら、イザベラはわざとらしく肩を落とした。

アイシアは狼の肉を食いちぎりながら思った。

(どう考えても自業自得)

肉の味が口内に広がる。

(…美味しい)

「まぁ、なんにしても怪我がなくてよかったじゃないか。こうして二人無事にいられてるんだし」

「手を握らなかったら、今ごろ別々の場所に飛ばされていたかも知れませんわね。アイシア、ありがとう」

「いいのよ、私も、イザベラがいて心強いし」

アイシアがたんたんと返事をした。

「さ、次は貴方の番でしてよ?」

「え?」

「貴方、どうも特殊な声をお持ちのようですね」

「…すごいな、ただのお嬢様かと思ったら、なかなか見る目がある。いや、耳か?」

「どちらでもありませんわ。私、昔から魔法に敏感ですの。あんまりにも特殊な物を除いて、殆どの魔法は感知できますわ」

イザベラは狼の骨をぽーいと投げ捨てた。

骨がからからと転がる。

骨は、うず高く積まれ山になっていた。

マーシャルは少し考え、そして口を開いた。

「僕の声は、人の心を落ち着ける力があるんだ」

「落ち着ける?」

「そう、僕が落ち着けるように願いながら話すと、聞いた相手の心は穏やかになるのさ」

「あら、素敵な能力ね、貴方、歌手になったら?」

マーシャルがくくっと笑い出す。

「それも悪くないな、でもそれは無理だ」

「何故?」

「僕にも色々あるってことさ。今日はもう寝よう。明日は森を脱出しなくちゃならないし」

そう言うと、マーシャルはごろんと横になった。

「あら、ずるいですわ。でも、確かに今日は疲れてしまいましたわ…」

アイシアも、すでに舟をこぎはじめていた。

頭がふらふらと揺れ、ついには横になってしまった。

「ベッドがないのは残念ですが…この際仕方ありませんわ…ね…」

マーシャルは規則正しく呼吸をしている。

その背中を見つめながら、イザベラは瞼を閉じた。

(そのうち、お話を聞かせてもらいますわ)

そうして全員横になったが、マーシャルだけは、その青い瞳を開いていた。

(彼女達なら…)

マーシャルが、呟く。

しかし、寝息をたてている二人には、聞こえるはずもない。

カサカサと、森の木々は、怪しく揺れていた。

こんちは、富谷鹿遊です。

第一章が終了しました。

第一章は世界間の説明、天界と地上の違い。

旅の目的、魔法の説明、謎の男等々、けっこう重要そうな描写があります。

しかし、小難しい事ばかり書いても面白くないので、けっこう省いたつもりですが、それでも状況を上手く表現できているのか、少々不安です。

これまで、小説を読むことはあっても、書くことがなかったので、文章が下手くそなのはこれから改善していくにしても、意味がわからない文章では、元も子もないな、という感じです。

というわけで、分かりやすく、要約してみましょう。

第一章をローランド視点から要約すると、


①ゴリラと共に魔王城にたどり着く

②リタが堕ちてくる

③一緒に旅をすることになる

という感じです。


次に、リタ視点からだと


①学校に遅刻しそうになる

②昼間、普通に過ごす

③イザベラに地上に堕とされる

④ローランド達と旅をすることになる


そして、一番わかりずらそうなイザベラの視点では、


①リタに負けっぱなしで悩む

②謎の男が現れ、イザベラを唆す

③リタを地上に堕とす

④自分とアイシアも堕ちる

⑤マーシャルと出会い、協力することになる


といった感じで展開しています。

イザベラがなんだかキーパーソンぽいですね!

上記に書いた事が把握できている人は、物語わかってくれていると思います。


こうして、地上に堕ちてしまった天使達の物語は始まりました。

今後は、悪魔やエルフもだしていきますよー!

あらすじにかいてあるところまで、まだ持っていけてないとは、小説って、時間のかかるものなんですね。


そして、あれー?今日の富谷はなんかちょっとまともだぞ?と、思った方。

私は締めるときは締める主義なのです。

大事、メリハリ。


それでは、今後ももよろしくお願い致します。

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