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Catch The Future   作者:
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第67話 挑発のつもりか?

「あれ…?もう朝なの?」


あのあと晩御飯を食べ終えて、お風呂も入ったあとさっさと寝たわたしは自然と目が覚めた。


わたしのケータイのアラームが鳴ったわけでもなく、彩菜の寝言に反応して起きたというわけでもなく気持ちがいいくらいパッチリと目が覚めたわたしは、枕元にあったケータイの電源を入れて時間を確認した。


キッカリアラームが鳴る5分前だった。


二度寝をしようにもそんな時間ではないのでそのまま起きていることにした。


「……ちょっと外出てくるねー…。」


何の夢を見ているか分からないけど、よだれを垂らしているのを見るときっと彩菜自身が好きな食べ物の夢を見ているのであろうと推測したわたしはそっと上着を着て近くの浜辺へ足を運んだ。






サイズが合わなくなったって嘆いてた健太くんから貰った黒の半袖のパーカーを羽織って砂浜に出ると、海が朝日に照らされてキラキラと輝いていて、風がサイドにまとめている髪とリボンに当たって優しく撫でる。


今日は昨日も言ったけど優勝への大一番である桜海大附属高校との一戦だ。


もし昨日の一連のやり取りが無かったらきっと緊張と重圧でガッチガチ担っていたと思うと、健太くんや彩菜を始めとしたチームメイトのみんなに感謝しないといけないね…。


よし。そろそろみんな起きて思い思いの朝ご飯食べ始める頃だろう。


踵を返し、宿舎へ戻った。




食堂へ入ってすぐのテーブルに琴美と七海が座っていて、パンケーキやパスタなどの炭水化物を中心にガツガツと食べていてわたしが来たことには気付いてないみたいだった。


琴美と七海のテーブルからちょこっと離れたところに愛美が座っていて、インサイド2人に比べれば量こそ多くはないけどそれなりに食べているみたいだった。


「おはよう。よく眠れたか?」


トレイとお皿を取ってから何を食べようか…、と頭の中で考えていたら登頂部からぴょこっとアホ毛みたいな寝癖をつけた彩菜が食堂にやってきた。


「おはよ。それなりには眠れたつもりかな?」


「そうか。起きたときにはもぬけの殻だったから気持ちの昂りを抑えるために走りにいったかと思ったわ。」


「あはは…、まっさか。今日はタフな試合になるから試合前にスタミナを削るような真似なんかしないよ。」


彩菜と会話しながらバイキング式の朝食をお皿の上に乗せていく。


ハムエッグとパスタとパンケーキとサラダとオレンジジュースとお水とスープを持ったトレイを近くのテーブルの上に置いてイスに座って両手を合わせてから食べ始める。


朝はあまり入らないのか彩菜はトーストとバナナとヨーグルトと野菜ジュースだけだった。


テーブルのイスに座ったらわたしも彩菜も何も言葉を発しずただただ目の前の栄養の補給に勤めた。








「よし、みんな集合してくれ。」


彩菜の一声でみんなが集まり、頭を下げて目を閉じていたわたしも目を開けた。


試合前のロッカールームは、いつにも増してピリピリとした緊張感がこの空間を支配していた。


彩菜が音楽を聴いていたイヤホンを外し、琴美は指に巻いていたテーピングをほどく。


愛美がキュッと唇を噛みながら集中力を高め、七海はいつもつけている疲労軽減のレッグスリーブをつけている。


「いいか?今日の相手は今までとは格が違う。そりゃそうだ。なんせあたしたちみたいなポッと出てきてたまたま優勝したチームとは訳が違うんだ。」


「「「「「……。」」」」」


「でも…でもだ。あたしたちはあたしたちのバスケをするだけだ。相手が強いからってバスケを変える理由にすらならねぇ。」


「「「「「サァ!!!!」」」」」


「勝ちたいじゃねぇ!優勝したいじゃねぇ!!勝つんだ!!!あたしたちが優勝するんだよ!!!!」


「「「「「サァ!!!!!」」」」」


「明日の事なんて明日考えろ!!今ここで勝つことだけを考えろ!!!」


「「「「「サァ!!!!!!」」」」」


「行くぞ!!!1、2、3!!!!」


「「「「「Fight!!!!」」」」」






「ヘイ!!!」


ウォーミングアップでのシューティング練習も終わってベンチへ下がろうとしたとき、桜海大附属のエースでポイントガードも勤める蒼井がボールを持ってこちらを呼びつける。


ボールをつきながらフリースローラインを越えてから蒼井が跳躍して右手で持っていたボールを…、


ーーーガシャァァァン!!!


そのままリングに叩き付けた。


「挑発のつもりか?…んでどうする?」


彩菜が人指し指の先でボールを回しながら呟き、わたしにどうするか聞いてきた。


わたしは彩菜が回していたボールを優しく奪い取り、無言でリングを指差す。


やれやれ……といった感じで彩菜がローポストのポジションまで移動する。


「はいはいそんじゃ、いってらっ……しゃい!!!」


彩菜に向かってチェストパスを出すと、彩菜はフワッと上げるのでは無くボールをフロアに思いっきり叩き付ける。


わたしはフリースローラインより手前で全身をバネのようにして跳躍し、ボールをキャッチした方の腕を風車のように1回転させてからそのままリングに叩き込んだ。


さぁ、どんなもんかな?高校バスケの王者さん?



Side out




Side A.Fukushima



センターサークルには七海が立っている。


七海の後ろにはあたしと愛美が、相手にジャンパーの後ろには菜々と琴美が立っている。


全員が配置についたのを確認し終えた主審がボールを持ってセンターサークルに入る。


瞬間的に会場全体が静かになり、主審の手が下がる。


それに合わせて七海と相手ジャンパーの膝が曲がる。


主審の手からボールが空中に舞う。


相手ジャンパーが七海より一瞬早く、負けじと七海も跳躍し両者の手が空中のボールを力の限りぶっ叩いた。


それとほぼ同時に会場が歓声で爆発する。


さぁ、試合開始ティップオフだ。



Side out



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