第64話 そんなもんなの?
中1日を置いたインターハイ2回戦。
これに勝てばベスト16に名乗りを上げる一戦。
アップ中に赤城をこの目で見掛けたが、やはりでかい。
太っているというわけではないけど、水泳選手のように肩幅が広くガッシリとしているのでビデオの映像で見るよりも大きく感じた。
わたしたちは今行われている試合のハーフタイムの10分間のアップを終え、1度ロッカールームへ引き下がる。
そのロッカールームの真ん中で円陣を組む。
中心はわたしではなく、キャプテンの彩菜だ。
わたしたちは彩菜を囲い混むように腕を高く掲げ、合わせていた。
「いいか?相手は確かに強い。そりゃそうだよな。なんせ激戦の予選を戦い抜いてきてここに立ってるんだからな。」
「「「「「…………。」」」」」
「でも予選を戦い抜いてきたのはあたしたちも同じだ。」
「「「「「…………。」」」」」
「勝つぞ!!」
「「「「「ッサァ!!!!」」」」」
より高く声を出し…、
「今までの練習の成果全て吐き出せ!!!」
「「「「「ッサァ!!!!!」」」」」
より強く声を出し…、
「行くぞ!!!1、2、3!!!!」
「「「「「Fight!!!!!」」」」」
チーム全体心を1つにして、鼓舞する。
ジャンプボールで試合が始まる。
脚の筋力をフルに生かしたジャンプをした赤城がジャンプボールを制し、熱海第一ボールで試合が始まった。
ポイントガードに向かってボールを弾いた赤城はインサイドに入ってきて、早くもローポストのポジション争いが始まる。
「ぐっ……!!!」
「ぎっ……!!」
七海と琴美が歯を喰いしばってポジションを奪われないように食い下がるが、赤城はそんなことはどこ吹く風といわんばかりにポジションが奪われる。
そして赤城にボールがわたり、ゴール下まで侵入を許すと…、
「ラッ!!!」
ーーーガシャン!!
「「かはっ……!!!」」
ディフェンス2人を吹っ飛ばすほどのエネルギーを持ったボースハンドのダンクが決まり、吹っ飛ばされた2人はその衝撃に耐え切れずコートの外まで飛ばされてしまう。
「なんだ…。私にダブルチームついたからどんなもんだとは思ってたけど…そんなもんなの?神谷をマッチアップさせないとわたしは止めらんないよ?」
赤城は2人を見下して挑発した。
好戦的なインサイドの2人は表情こそこちらからは伺えないけど、たぶん今の一言で結構キてると思うけど…。頭に血が上ってちゃベストなプレーは出来ないよ?
「オフェンス!!切り替えていこう!!」
わたしが手を叩きながら大声を張り、無理矢理にと言われていいからもコートの中の空気を変える。
琴美から出されたボールは七海を経由して彩菜にボールが渡る。
ボールを回しながらインサイドへ切り込む隙を伺う。
わたしにボールが回りパスを受けた瞬間…、
「……ッ!!」
マッチアップの相手のヘルプに来た赤城がわたしの目の前にやってきた。
「来いよ、神谷。今日この試合お前に仕事させねぇよ?」
身長が同じでも肩幅がわたしよりも広いのでフェイスガードをされるとパスコースが限定され、ドライブで抜こうにもダブルチームで囲まれているのでなかなか切り込めない。
……ただし、それは平面ではという話。
わたしは無理矢理シュートの体勢に入り、膝を深く沈み込ませる。
相手がわたしのシュートのブロックするためにジャンプして止めようとしてくる。が、わたしが狙っていたのはジャンプして空いた足元のスペース。
そこにわたしは思いきり叩き付けて、パスを出す。
「くぉ…!」
高く跳ねたボールを何とかキャッチした彩菜が押し込んで、同点に持ち込んだ。
同点に持ち込んだ次の相手のオフェンス。
今度もすぐ赤城にボールが渡った。
「邪魔だッ!!」
ボールが渡った瞬間、琴美と七海が赤城につく。
「ぐっ…ガッ!!!」
「うらぁっ…!!」
顔を真っ赤にしながら、赤城のパワードリブルの進路を防ぐ。
「おら!どうした!?」
フェイクからのターンアラウンドでゴールに押し込まれる。
「ハッ!!やっとこさ身体が動き始めてきたんだ!次はこうは行かないね!」
「七海さんの言う通りですよ!あんたなんか止めてやるんですから!!」
2人が必死になって赤城を止めようと頑張っている。
なら、今のわたしができる仕事はたった1つだ。
「彩菜!!!」
彩菜からのキラーパスを貰い、赤城がマッチアップにつくが琴美がスクリーンをかけて赤城を一呼吸で置き去りにする。
すぐにヘルプが来たが、わたしの全力のチェンジ・オブ・ペースからのレッグスルーでリズムを崩しアンクルブレイクを誘いそのまま強引にボールを押し込む。
今できるわたしの仕事は、インサイド2人の負担を少しでも減らすために点を取り続けることだ!
「ボール!!!こっちに!!!!」




