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Catch The Future   作者:
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第4話 その勝負乗った。

部活動の仮入部期間が終わっても、石川の鬼のような勧誘はまだ続いていた。


どうやら他の先輩たちにうっかり話してしまったところ、是が非でも入部させろ!!と指令が下ったらしい。


っざけんなよ。ネチネチと勧誘され続けてこちとらストレスが溜まっていく一方なんだ。


こっちの身にもなれってんだよこのノータリンゴリラが。


んで今体育の時間で、オレと石川ノータリンゴリラのクラスと合同で体力テストに臨むところだった。


「よう松宮、また会ったな。」


「オレはあまり会いたくはないんだがな。」


出席番号では大分差が開いているのに背が高い順番になると大体同じくらいの順番になるわけなので、隣り合わせになってしまった。不幸だ………。


「今回の体力テストの点数で勝負しねぇか?ちょうど9種目あるからな。もし俺が勝ったらその時は大人しく野球部には入れ。」


「もしオレが勝ったら?」


「その時は素直に引き下がるとしよう。」


既に勝ちを確信しているようで、変にニヤニヤしているのがまた気持ち悪くてしょうがない。


だが仮にもコイツは全国大会で活躍するような男だし、身体能力も高いはずだ。


そのためオレはどうしても本気でやらなければならなくなってしまった。


野球をやめてから本格的なスポーツはやってなかったけど、リトル時代からの名残でランニングなどで体力の維持はできてるはずであろう…。


「………気が乗らねぇけど、その勝負乗った。」






体力テストは残り50メートル走だけとなった。


ここまで点数だけを見ると全くの五分五分だ。だが、内容を見てみると握力や上体起こし、立ち幅跳びといったパワー系は石川の方が記録はいいし逆にシャトルランや反復横跳び、ハンドボール投げなどのスタミナや敏捷性クイックネスが必要とされる種目はオレの方が上だった。


結果、8種目終わってどちらも65点とA判定を取っているものの勝負はまだついていないので気を緩めることなど一切出来ない。


「これで最後だ。約束忘れてはいないよな?」


スタートラインに立ちつつ足のストレッチをして、オレを横目で睨み付ける。


「そっちこそ。」


目には目を…という訳じゃないけど、オレも横目で隣のレーンにいる石川を睨み返す。


「位置について…。」


体育教師がスタート合図を出す。


スタートラインに置かれた手を基準に、適切な体勢に合わせたクラウチングを組むオレと窮屈そうなクラウチングを組む石川。


「用意…、」


重心をスタートラインに添えている手に全て預け、支持する後ろ足の拇趾球に力を込めた。


体育教師が息を吸い込み、吸い込んだ空気を使い笛を吹いた直後にトラックの土を思いきり蹴り砂塵が舞う。


(よし!スタートは完璧!!)


笛の音に反応してからスタートを切った石川と、フライングギリギリのタイミングでスタートを切ったオレとの差は早くも2メートル程ついていた。


(まだだ!!まだ上がる!!)


接地する時間を極限まで短くし、地面を蹴る毎に砂塵が舞うトラックと風と一体化したオレは一気にトップスピードまで持っていきそのスピードを維持したままゴールした。


数瞬遅れて石川もゴールしたが、オレを追い越そうとして全力以上で走ったためか相当息が上がっている。


「オイ!!お前そんなに足速かったのか!?」


文字通り一足先にゴールしていたオレのところに詰め寄ってきた。


「いつオレが短距離スプリント自信無いって言ったよ?」


オレが6秒0、石川が6秒5というタイムを叩き出し他のやつらからは称賛の声が上がっている。


でも確か50メートルの6秒5以下で10点だから、石川もオレも10点となり得点は75点の同点となった。


「かなり惜しいけど、ええわ。」


ありゃ。意外とあっさり引き下がってくれた…。


あそこまで熱烈に勧誘してくれたのにスパッと諦めたな。


「そうか。こっそりと応援させてもらうとするよ。」


「お前がいてくれりゃ鬼に金棒だったけど、世の中そんな甘くはないってことだ。陰ながらの応援よろしゅー頼んますってか?」


ニヤッと不適な笑みを浮かべながら、記録用カードを提出しに行った。


オレも久々に思いっきり運動したから何だか疲れたわ…。


オレも石川の後に続いて記録用カードを提出しに体育教師たちがいる教室に向かって足を進めた。




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