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Catch The Future   作者:
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第46話 任せたぜ?

ベスト4をかけた試合でも、清峰高校の打線は絶好調。


特に1番に座るの石川は、初回初球先頭打者本塁打含む3打席連続本塁打を放つなど絶好調だ。


ホント打って欲しいときに打ってくれるやつだ。


武田も結城も東條もバッティングでも守備でも何度も助けられ、ここまで1失点でここまで勝ち上がってきた。


「いやー…、さすがに今日は松宮だけじゃないだろー。」


石川が何故だか笑っている。


メシを食い終わったあと今日の高校野球に関するニュースを見るのが、ここにきての習慣になっている。


「そうだねー。一起の3打席連続のホームランの記録作ったしねー。」


「…なかなか出来ることじゃ、ない。」


結城も東條も石川が打ち立てた記録のことに触れ、雑談をしている。


「あっ!始まったよ!」


夢野の声でオレたちはテレビの画面に集中した。







「松宮が取り上げられてる時間の方が長かったな。」


「…確かに、長かった。」


「はぁ!?何で!?何でなん!?」


思わず似非関西弁が飛び出るほど怒り狂っている石川。


これはオレが変に声をかけるのは得策じゃないな。


「健太ァ!!」


「はいっ!?」


いきなり石川に大声で呼ばれ、ビックリしてしまったオレは飛び上がりつつ裏声で返事をしてしまった。


「明日は4打席連続ホームランかサイクルヒット打ったるかんな!!!」


「お……おう。」


何だかよく分からないスイッチが入ったまんま、自分の部屋に戻っていったのを皮切りにゾロゾロとみんなもそれぞれの部屋に戻っていった。


自分の部屋に入り、明日の試合の準備を進めてる途中外の様子が目に入った。


外は雲一つ無く、星が見えるほど澄み切っていた。


こりゃ、明日雨の心配は無さそうだな…。


準備し終えたオレは明日に備えて早めに寝ることにした。








準決勝第1試合最終回の9回表で結城の適時三塁打タイムリースリーベースで待望の先取点を貰ったオレは、9回裏のマウンドに上がり2アウトまでこじつけたが、ランナーを2塁に置いて一打同点というピンチを迎えていた。


相手は5番の左バッター。


バットコントロールが上手く、狙っていたコースやボールが外れてもきっちりとヒットゾーンまで打球を運ぶ器用さと高校通算45本のホームランを打つ長打力を兼ね備えたバッターなだけに慎重に攻めて行きたいところだ。



ーーードッ!!!



「ボール!!」


そんなバッターにカーブを投げ込んだが、ボールはワンバウンドとなりボールカウントが1つ増えて2ボール2ストライク。


「すいません、タイムを。」


「タイム!!」


低めのワンバウンドのボール球を投げ込んだオレの意図を確認したいのか、石川が主審にタイムをかけてこれを容認。


石川はホームベース後方からオレが立っているマウンドへ駆け足でやってきた。


「今わざと叩きつけたのか?」


「このまま投げたらスッポ抜けると思ったから、それよりだったら叩きつけた方がいいと思って。」


昨日の晴れ空は何処へやら。


今の甲子園上空は春の嵐というべきか、雨足の強い雨に甲子園特有の強い浜風が吹き荒れている。


雨に濡れて冷えた身体は、オレのスタミナをゴリゴリと削るように奪っていっている。


「そうか。理由があるのならそれでいい。 理由もなくワンバウンドのボールを投げたなんて言ったらドついたろうかと思っし、高めに抜けていったって言うのなら俺にはどうするこもできないが…。」


一旦言葉を切ってキャッチャーミットの背でオレの胸をドンと叩いたあとに…、


「ワンバウンドなら必ず止めてやる。だから思い切って腕振り切って投げ込んでこい。」


「おう。任せたぜ?」


タイムを取り終えて定位置に戻った石川は、バッターの様子を伺ってからパッパッパッとサインを出す。


要求してきたのはストレート。


サインを出した後『しっかり振り切れ』というジェスチャーのオマケ付き。


オレに向かって力強く構えられたキャッチャーミットを確認し、何故だか分かんないけど思わず笑みがこぼれてきた。


じゃあしっかりと投げ込んでやりますか!!


セットポジションの姿勢から、ゆっくりと左膝を左肘につけるくらい高く上げた。


力が逃げないようにグラブをつける左手を使って壁を作って、下半身から生み出された力は余すことなく右腕を伝って指先へ通っていきボールを叩き込むようにして力をボールに伝える。



ボールをリリースした瞬間に左足を地面を引っ掻くようにして引くことによって、さらに力を上乗せする。


爆発された力が伝わったボールは強烈なスピンがかかりながら真っ直ぐにミットに、バッターに向かっていく。


スイングされたバットに当たることなく、石川が構えるミットの中に収まった。


大歓声が沸き立つ中、グラブの受球面を軽くポンと叩きながら表示されたスピードをこっそりと確認した。


『152km/h』…。


おお、自己最高記録じゃないか。




次の対戦相手が決まる準決勝第2試合は、オレたちの試合が終わった直後にただでさえ強かった雨足がさらに強くなったため明日へ順延となった。


オレたちは選手たちはそれぞれの宿舎に引き上げようと歩みを進めていると、前から風祭学園のユニフォームを着た選手たちがゾロゾロと歩いてきた。


「よう。ナイスピッチ。」


すれ違い様に話しかけられたけど誰が話しかけたのか分からない。


「決勝の舞台で待ってろ。俺が必ずお前を打ち砕いて見せる。」


「ああ。待ってるぞ。」


適当に返事をして、話しかけてきた男の話し声はそれっきり聞こえなくなったが横目を使って背番号を何とか確認した。


3番。


確か天宮不在の今大会のNo.1スラッガーと呼ばれている男の背番号だったような気がする。


まぁそれは明後日分かることか…。


オレはチームに合流するべく少しだけ早く歩き、チームの最後尾に追い付いたと同時にバスに乗り込んだ。



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