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Catch The Future   作者:
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第40話 黄金色のネックレス

修学旅行2日目。午前5時。


オレは宮島の砂浜でイヤホンを耳に挿して走り込みを行っていた。


毎年この修学旅行の朝は各運動部の朝練が学校側からは許可されているらしく、この朝練は強制では無いがだいたいの運動部は朝練をやっているらしい。


陸上部は長距離ブロックと短距離ブロックに別れてそれぞれのメニューをこなしていて、オレ以外の野球部は今頃宿舎の近くでバットを振っているはずである。


すると砂浜に何やら何人かの短距離ブロックの選手がやってきた。


「あれ?松宮くん?これからわたしたちここで砂浜でインターバル走をやろうかと思ったんだけど………邪魔かな?」


どうやら100や200を専門とするショートスプリントチームがここでダッシュをやるつもりらしい。


「いんや?それよりさ、一人でやるのもそろそろ飽きてきたからオレも混ざっていい?」






「お前今日朝練何やってたんだ?」


オレの隣で朝メシの山盛りご飯をみるみるうちに腹の中に消えていく石川が朝練について聞いてきた。


「ん?砂浜で走ってたら短距離ブロックの人たちが来て一緒に砂浜インターバル走してた。」


インターハイや世界ジュニアに出場するようなやつらだったので、個々の走力が物凄く高かったため食らい付くのがやっとだった。


けど、そのおかげで朝からしっかり練習できたと思う。


「お前も朝からハードなもんやるなぁ…。なら、しっかりメシ食っとかないと今日1日持たねぇぞ?」


大型の茶碗を片手に炊飯器のところに歩いていった石川の後を追うようにオレもご飯のおかわりをしに炊飯器のところに向かった。






2日目は厳島神社を参拝してから広島から京都へ。


その途中、姫路城でクラス全体の記念写真を撮ったりサービスエリア内でお昼ご飯を買ったりと慌ただしい1日となった。


そして京都について宿舎で夜メシを食べたあとは、先生たちの許可を貰い近くにある清水寺に向かって散歩へ出掛けた。


厳島神社もそうだけど、世界遺産に登録されているだけあって綺麗に整備されていたりポイ捨てのゴミ1つ足りとも落ちていなかった。


感心してみていると、前方から歩いてきた他校の修学旅行生とぶつかった。


「いたっ…!」


女の子のようだ。


濃紺のブレザーに青地のチェック柄のスカートという制服に身を包んでいて、街灯にほんのりと照らされたダークブラウンの髪が淡い光を放っているように見えた。


「大丈夫か?」


「ごめんなさい!」


一瞬だけ目があったが、その瞳の色は蒼くアイスブルーのように澄んでいた。


「私、急いでますので!!」


そういって女の子は走り去っていった。


そんなに急ぐと階段踏み外して転ぶぞ…?


オレは走り去っていった女の子の姿が見えなくなるまでそちらの方向を見ていたが、そろそろ時間的にも厳しくなる時間帯なので宿舎に戻ろうとした。


「…むっ?」


足元の方からカツンっと何かを蹴飛ばした音がしたので、しゃがみこみその正体を確かめる。


「…ネックレス?」


拾い上げると黄金色に輝くネックレスだった。


そんな高価なものを落とした女の子は既にここからいなくなっているし、修学旅行のシーズンだけあって大多数の修学旅行生の中から探し出すのは困難だ。


仮にあの子の大切な物だと仮定してこんな高価な物をこのまま放置して盗まれでもしたら、それこそ後味が悪い。


「…まぁ明日の朝とかになればあの辺に探しに来るだろう。」


オレは制服のブレザーの内ポケットにいれて、宿舎に戻るためこの場から立ち去った。





「松宮?なんだそれ?さっきからそのネックレスばっか見つめてどうしたんだ?」


同じ部屋のクラスメイト同士コイバナに華を咲かせている一方で、蒼い瞳の少女が落としていったネックレスをずっと眺めていた。


「さっき散歩に行ったときに拾ったんだ。」


ネックレスのチェーンの部分に小さいアタッチメントとして、三日月とリングが通されている。


リングの裏を見てみると彼女の名前らしきローマ字が筆記体で刻み込まれている。


もしかしたら無くして困ってるかもしれないけど、今はもう夜も遅い。


明日の朝練がてら女の子を探してみよう。


オレは部屋の隅っこに敷き布団を敷いて、アルマジロのように身体を丸めて眠りについた。



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