第24話 体育祭最終局面
『決めたぁぁあ!!!3ーB野球部主将12メートル80センチを決めた!!野球部の若きエースとチームを支える大黒柱、意地と意地のぶつかり合いとなったこの勝負いったいどちらに軍配が上がるのか!?』
オレもキャプテンも12メートル80センチを決め、事実上の優勝争いは2ーAと3ーBに絞られた。
得点の差はわずかに2点。
つまり、キャプテンでやる試技よりも30センチも伸ばさないと勝ち目が無いと言うことになる。
ただ、30センチプラスでは足りない。
一気に引き離すためにはその倍の60センチ…。いや、倍ちょっとの70センチ離して置きたい。
12メートル80センチに70センチプラスとなると、単純に言えば13メートル50センチ…。
ショットガンタッチの世界記録は13メートル60センチに10センチに迫ることになる。
成功すれば大きなプレッシャーを与えることができるが、失敗したらそこでオレたち2ーAの優勝は無くなるというまさに崖っぷちに立たされている訳になる。
ちなみに他のチームは順位が決まったり、逆転が不可能となったや否やすぐに棄権した。
つまり、オレとキャプテンの一騎討ちとなっている。
『さぁ松宮選手!何メートルにチャレンジいたしますか!?』
どうする?このままいけば確実に優勝は出来ない。
一発逆転のハイリスクハイリターンを取るか、それとも優勝を諦め逃げるか…。
いやいや、オレは何を弱気になっているのか。
やらないで後悔するより、やって後悔した方が断然マシじゃねぇか…。
「じゃあ…。」
Side K.Ishikawa
『松宮選手!!最後の試技の距離は何と13メートル60センチにチャレンジすると告げましたぁぁぁあ!!』
何だと………!?
最後の試技の距離が発表された瞬間、一部からどよめきが走った。
「ねぇ石川…。13メートル60センチってそんなに難しい距離なの?」
俺の隣に座っている福島と神谷が不思議そうな顔で俺の顔を覗き込んできた。
「難しいってもんじゃねぇよ…。なんせ今から松宮が挑む距離ってのはショットガンタッチの世界記録と同じ距離だ。」
2人の顔には驚きの色が浮かんでいる。
いきなり70センチも距離を伸ばすなんていったい何を考えてやがる!?
確かに松宮の身体能力はチームに限らず、全国的に見てもずば抜けているのは認める。
だけど、キャプテンの身体能力も高いのは事実。
もう誰もが予想できない体育祭最終種目の最終盤。
いったいどうなるんだ…?
Side out
13メートル60センチ…。
ショットガンタッチという種目において世界記録タイとなるこの距離。
決めれるか決められないかという問題じゃないし、やるかやらないかという問題でもない。
この状況でだったら、やるしかねぇんだよ。
「っしゃぁあ!!行くぞオラァ!!!」
『では松宮選手最終3回目の試技、よろしくお願いします!!』
大声を出して自分を奮い立たせたあと、一度目を瞑る。
イメージするのは数秒後の成功している自分の姿。
スタート地点のフロアを思いっきり蹴ってスタートする。
ボタンを押す感触を感じたオレは、限られた距離のなかでどんどん加速していく。
体育館のフロアを蹴る度、キュキュッというスキール音が鳴る。
あと…3メートル!
「~~~~ッッッ!!!!!」
オレは目をキツく瞑り、頭から飛び込んだ。
『触れたぁぁあ!!!何と言うことだ!!指先が触れていた!!松宮選手13メートル60センチクリア!!!』
「っしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
オレは気づけば両手を高く上げ、雄叫びをあげていた。
その後オレと同じ13メートル60センチにチャレンジしたキャプテンだったが、わずかに足りず失敗となりショットガンタッチはオレが制したことにより今年の清峰高校体育祭は我が2ーAの優勝ということで幕を降ろした。




