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Catch The Future   作者:
19/90

第18話 1月1日

1月1日。


大晦日で年越したあとドンチャン騒ぎで二日酔いになる人もいればおせち料理をつまむものもいれば、はたまた年賀状来ないかなー…。と首を長くして待っている人もいるだろう。


清峰高校野球部の1年の始まりは非常に早い。


初日の出がでる前に部員総出(-バックレて来なかった新川さん)で必勝祈願をした年賀状を配るため、郵便局に直行。


練習がてら年賀状を配るという訳なのだが…、


「いやいやいや、お前それチートじゃね?」


石川に指摘されたオレは何の事がチートって言われているのかサッパリ分からなく、首を傾げる。


「チートって何が?」


「お前ロードバイクって卑怯だろッ!?」


そう。


石川はランニングする気満々でランニングシューズを履いているが、他のみんなはママチャリに乗ってる。


オレが乗っているロードバイクは昨日のうちにタイヤを平坦最速のカーボンディープリムホイールとディスクホイールに付け替え、ハンドルもタイムトライアルバーを付けた。


空気抵抗を極限までに減らしコンマ1秒を争うタイムトライアルスタイルに切り換えて年賀状配布に臨む。


何でかって?早くおこたでお雑煮食いたいからに決まってんだろ!?


「いや自転車OKって聞いたから?それにキャプテン見てみろ?」


キャプテンの方向へ指差して石川はそちらの方角を見ると、ヘルメットにサングラス、自転車競技用のジャージを身に付けドリンクホルダーにはボトル2本刺さっておりいかにも自転車競技者のような格好だった。



「キャプテン!?格好いいけどそれってアリなんですか!?」


「雪積もってねぇから大いにアリだ。んじゃオレは全日本実業団駅伝みたいから先行くわー。」


片手でヒラヒラさせたあと、思いきりペダルを踏みスピードを上げて走っていった。


「んじゃオレも行くわ。」


軽いギアからスタートさせ、ダンシングでスピードを上げつつ適切なギアに切り換えて風を切って年賀状配布をスタートさせた。








「ふいー。さみぃさみぃ。」


ノルマをこなし、さらに練習がてら他の人の配分やバックレた先輩の分も配り終えたところで家に帰ってきた。


もちろん配り終わった人から各自解散と言う流れなので多分みんな帰ったんじゃない?とすっとぼけてみる。


ちなみに奈緒ねぇは大学の女バスのみんなと一緒に箱根だか湯布院だかどっちだか忘れちゃったけど温泉旅行に出掛けている。


帰ってきて早々に作り置きしておいたけやきを暖めるのと餅をお湯で柔らかくするのを同時に進行させる。


何を作ってるのかって?お雑煮に決まってるだろ?


けやき汁と餅が暖まったところを確認したオレは、お椀を持ってきて盛り付けようとした。



ーーーピンポーン。


唐突に家のインターホンが鳴った。


ん?こんな正月の朝から誰だ?


「はーい。」


オレは玄関のドアを開ける。


そこには可愛らしい私服を着た菜々が立っていた。


「明けましておめでとう!」


「おう。おめでとう。寒いところでの立ち話もあれだし、お雑煮………食ってく?」








お雑煮を食べたオレたちは近くの神社に初詣をしたあとの帰り道。


いやまぁあれだね。


本堂へと続く道の両隅にはこれでもかと言うくらいの屋台が並んでいるし、何処もかしこも人だらけだ。


航空写真取ったら人がゴミのように写るのかなぁ?


それにしてもたこ焼きやらわたあめやらケバブやら…。


初詣に来た人をターゲットにして稼ぎたいのは分かるし、実際儲かるだろうとは思うぞ?根拠なんてないけど。


「うーん…。たこ焼おいしー。」


口の隅っこにたこ焼のソースを着けた菜々があっつあつのたこ焼を幸せそうに舌鼓を打っている。


代金はどうしたのかって?


オレが出したけどなにか?


400円出してこんな笑顔を見れるんだ。


その笑顔プライスレス。


………。


「ほら、早く帰んぞー?」


「わっ…!待って待って!」


何だか少し恥ずかしくなってきたから、手を繋ぎわらわらと現れる人波を掻い潜って神社に背を向けた。


今年もオレにとっていい1年になるといいなぁ…。



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