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Catch The Future   作者:
17/90

第16話 何でもいいんじゃないの?

『ねぇ健太くん?クリスマス予定空いてるかな?』


季節は12月下旬。学校はというともう冬休みに入っている。


電話で話していたクリスマスは明後日となっている。


街はクリスマスの赤と緑や雪を連想した色のイルミネーションがキラキラと光っている。


市街地より比較的高い場所に位置する清峰高校や高台の公園に上れば、イルミネーションや街灯とかの光などでこれまたいい感じに淡く光るらしくそこの公園はちょっとしたデートスポットになっているらしい。


らしいというのはあくまで口コミで聞いた話だし、ここのカップルは隣町にあるちょこっと値を張るレストランに行くか、ショッピングモールなどに行くのが一般的だ。


連日の走り込みなどの疲れで足の筋肉はおろか、身体全部がバッキバキに張ってて、最近買った奈緒ねぇとお揃いの色のストレッチポールの上に転がりながら電話をしている。


電話の相手は、ウィンターカップに出場する予定だったらしいが試合途中で4ファウルでファウルトラブルとなってしまいそれが原因で負けてしまいその日は大粒の涙を流したという神谷 菜々からの電話だ。


「うーん…。夕方からなら空いてるぞぉ…。」


ストレッチポールに寝てスマホを腹の上に乗せながら、両腕を肩甲骨を使って引き下げたり上げたりしている。


生憎オレには彼女とかいう崇高で癒しとなる存在の女性などいないからこのまま行けばむさ苦しくはないけど、やっぱり野郎どもに囲まれて汗水滴ながら練習だけで終わる…、まさにロンリークリスマスとなるところだったので2つ返事で返す。


『ホント!?よかったぁ…。』


何がよかったのだろうか。


オレにはさっぱり分からん。


ストレッチポールから降り、今度は筋肉の膜を正しい状態に剥がしてくれるローラーに大腿部外側を乗せる。


ちなみにこれは効果は抜群なのだが、その見返りとして猛烈に痛いのが難点だ。


あだだだだだだだ…。


大腿部外側に走る長脛靭帯がゴリゴリと解され、血液の循環がよくなるが物凄く痛い。


通話中じゃなかったら叫びはしないが、痛みを堪えきれていないと思う。


だって部屋の外から『いたーい!!!!』って叫んでいるこの家の主の声が聞こえてるんだもの。


『じゃあ当日の夕方商店街のクリスマスのもみの木の前に居てね?おやすみー。』


返事を聞かずブツッと電話が切れたと同時にオレは通話モードからスマホ検索エンジンを開き、手頃なお値段のクリスマスプレゼントを探し出すために痛みを堪えながらスマホを弄り始めた。






「と言うわけで奈緒ねぇはクリスマスプレゼント何貰ったら嬉しい?」


「何が『と言うわけで』よ?こちとら彼氏いない=ほぼ年齢っていうのがもはや部内で未公認ネタになってるあたしに聞かないでよ。」


結論から言わせてもらうと、何を選んだらいいのかサッパリ分からなかった。


だって付き合ってもいないのにクリスマスプレゼントにスカートとかコートとか送ったら何だか重すぎるだろ?


だからここは身近な女の………子…?ゲフンゲフン、女性である奈緒ねぇに聞こうとした結果がこれだよ…。


「そこをなんとか。ほら、誕生日プレゼントとかそういう参考でもいいから。」


「気持ちがこもってりゃ何でもいいんじゃないの?」


何ともまぁ、ぶっきらぼうに答えましたね。


「まだ高校生なんだしリーズナブルなもんでいいでしょ?ハイハイ、この話はもう終わり!ハイちゅんちゅん!!」


最後の部分を聞いて何故か(・8・)という顔文字…?が浮かんできたっていうのはきっとオレがそっちの道に走りかかっているような気がして堪らなかった。







翌日の練習終わりに隣町のショッピングモールに足を運んだ。


もちろん菜々に明日渡すクリスマスプレゼントを選ぶ為だ。


何が欲しい?なんて聞くわけにもいかねぇしなぁ…。


………どうしよう。


「何がお探しですか?」


後ろからお姉さん店員が助け船を出してくれた。


「ええ、明日のプレゼント2人分何にしようかと迷っていまして…。」


「もしかして彼女さんとかにですか?」


「まだそんなんじゃないですよ。それにもう1人の方は姉みたいなものですから。」


「『まだ』と言うことは心のどこかでそうなりたいって思ってんじゃないんですかー?このこのー。」


脇腹をトストスと肘打ちしてきた。


この店員さんはキレイな顔立ちとは裏腹に気さくな人のようだ。


「!………コホン、プレゼントということならこちらはどうでしょうか?」


店員さんは少しオシャレな小さい箱を持ってきた。


………キャンドル?


「これは…?」


「アロマキャンドルですよ。置いておくだけでもインテリアになりますし、なにより使うことによりアロマの香りでリラックス効果があるんですよ。」


こちらをどうぞと渡されたカタログには様々なアロマキャンドルが記載されていてそれぞれが違った効果があるみたいだ。


「じゃあこれとこれ…あとこれもください。」


「ありがとうございます。では3点で4980円になります。」


2つ買ったからちょこっと値が張ってしまったが、これなら菜々も奈緒ねぇも喜ぶだろう。


店員のお姉さんに見送られて、ショッピングモールを後にした。



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