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Catch The Future   作者:
1/90

prologue

事故っていう現象はいつだって唐突にやってくる。


どれだけ回りに警戒していても、事故に巻き込まれるときゃ巻き込まれる。


もちろん自分の不注意で起こす事故だってあるだろう。


自動車で起こしたことはまだ無いが、スポーツで事故を起こしたことはある。



そうだな………悲劇のヒロインぶるつもりは無いしようやく気持ちの整理ができたからちょっとした昔話でもしよう。











全国シニアリーグ準決勝。


0対0の7回裏ノーアウトランナー2・3塁と一打サヨナラの大ピンチだ。


試合開始直後こそは晴れていたが、回が進むにつれて雨が降ってきてどんどん雨足が増していく。


マウンドの上に立って、試合をコントロールしていたオレにもみんなと同様に雨の影響を受けた。



(………ちっ。雨足が増すごとにマウンドもぬかるんでいきやがる…。)


雨を吸い込み重くなったグラブやスパイク、ユニフォームやアンダーシャツまでもがオレの身体にまとわりつき体力を徐々に奪っていく。


滑り止めのロジンバッグに手をやっても、滑りは一向によくならない。


対する4番は将来有望とまで言われている天才打者。


その場面で悲劇が起きた…、いや、起こしてしまったと言うべきなのだろうか。


投じた初球…、被った帽子の中から滲み出た汗が混じった雨の水滴が目に入り堪らず目を閉じてしまった。



目標の捕捉がないまま、リリースされたボールはバッターボックス内で投球を待っていたバッターの頭ピンポイントに向かっていき………。



ーーーガァァァン!!!



何かぶつかったような音がしたし、目も汗による染みる事もなくなったので目を開けた。


目を開けて視界が広がっていたのは、ヘルメットの破片を飛ばしバッターボックス内に蹲っていた少年と相手ベンチから飛び出してくる監督、両手を掲げながら左右に腕を振る主審の姿があった。



オレはバッターの頭にぶつけてしまったのだ。



応急処置のため、幾分か試合中断された後に試合は再開された。



が、ボールを投げることに恐怖を覚えてしまったオレは頭では分かっていても無意識に身体が拒絶し最後はサヨナラ満塁本塁打を打たれてしまった。



だが、試合後オレに待ち受けていたのはチームメイトによるさらなる追い討ちだった。



そのチームメイトの中には学校も同じやつもいた。



その事を忘れようにもネチネチと試合の出来事を話してたり

、シニアのチームメイトだった奴らもオレの目の前でオレの幼稚園からの幼馴染みを犯したりと精神的に限界寸前まで追い詰められてしまったオレは両親が単身赴任になったのをきっかけにその学校から遠く離れた両親の実家の近くの学校に逃げるように転校した。






転校した直後、ぶつけてしまったバッターは再起不能になってしまったという報せがオレにも届いた。




………………そして転校と同時にオレは野球と幼馴染みとの連絡を取ることをやめた。




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