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童話の改造

ヘンゼルとグレーテル       ヘンゼルside

作者: きつねさん

今日はお父さんと妹とのひさしぶりのお出かけ。

嬉しいんだけど一人邪魔がいる。

新しく来たお母さんだ。



お母さんが死んでからお父さんは僕たちが大きくなるためにも母親が必要だって言って町で探してきた人だ。

確かにお母さんがいなくなってからは僕達で家事をやらなくちゃいけないから大変だったしめんどくさいから嫌だったけど新しく来たお母さんの方がめんどくさいし嫌いだ。

新しいお母さんは町で生まれて町で育った人なので木こりの生活に慣れていない。

だからむしろいても邪魔なだけだ。

いや新しいお母さんも家事についてはがんばっているんだけど妹の方が家事とかはうまい。


それに新しいお母さんは性格が悪い。

何かあるとすぐに僕たちをぶつし今の生活に文句ばっか言ってる。

確かにお父さんの稼ぐお金じゃ生活するのは結構大変だけど、

それでもみんなが協力すれば乗り越えられないということはないっていうのに・・・・・・。



そうそうこのお出かけだけど一つ不安なことがある。

妹がお父さんたちが僕たちのことを捨てるって新しい母親とお父さんが言ってたっていうんだ。

ただ夜トイレに起きた時だから寝ぼけてただけかもしれないって言ってたけど。


だから僕は白い石を拾っておいた。

お父さんを疑うみたいでいやな感じだけど用心のためだ。

お父さんは新しいお母さんが来てから変わった。

ううん、変わったというよりかはお父さんが新しいお母さんに逆らうことができないっていう感じだ。


前のお母さんはお父さんをいつも立ててたしお互いに尊敬しあってた。

だから新しいお母さんがずいずいものを言ってくることに抵抗できていないんだ。

そんなお父さん見たくないのに・・・・・・。







「あなたたちはここで待ってなさい。

 私たちはもう少し奥の方でいい気がないか探してくるから。

 おなかがすいたら持ってきたお弁当を食べるのよ。

 あとたき火は絶やさないようにね。

 暗くならないうちに帰ってくるつもりだけど昼間でも獣はいるからね。」

「「はーい」」


お父さんと新しいお母さんは森の奥の方に行っていった。

一緒にお出かけと言ってもあんまり僕たちにかまってくれる時間はない。

今はちょうどいい成長具合の木がたくさんある時期だ。

だからこの時期は忙しいんだけどお父さんは僕たちとの触れ合いの時間が取れてないってことで森へ行くまでの歩いていく時間だけだけど僕たちと一緒にいてくれたんだ。


「グレーテル、お父さんたちが返ってくるまで何をして遊んでいようか?」

とグレーテルの方を見た僕は首をひねらざるを得なかった。

「グレーテル?それはなに?」

グレーテルが何かをオークの木の枝で地面に書いていたのだった。

「んー、これはねーまほうじんっ。」

ああなるほど魔法使いごっこか。いや魔女ごっこか。

確かにグレーテルが持ってる木の枝は太く立派で魔法使いや魔女が持つ杖のような感じで、

持ってるのがグレーテルじゃなかったら魔女の杖だって言われても信じそうなものです。

「じゃあ、お兄ちゃんが正義の神官騎士?それとも神父さん?」

そう聞いたんだけどグレーテルは一生懸命魔方陣(っぽいもの)を書いていて答えてくれない。


「グレーテル?」

もう一度グレーテルに聞くとやっと答えてくれた。

「魔女ごっこがしたいんじゃなくてまほうが使いたいのっ。」

いやグレーテル。魔法は異端なんだけど。

まあその前に僕は魔法なんて存在しないと思ってるんだけど。


「それでね、まほうじんを書いてまほうを使うからおにいちゃんはだまってみててっ。」

あー、放置されてしまった。

遊び相手がグレーテルしかいないんだからグレーテルが遊んでくれないと暇なんだけど。

けどしょうがないか。

グレーテルは一度決めたら絶対にやめない。

何が何でも自分を貫き通す。だから今回も絶対に変えないだろう。



はあー、ひまだなあ。







夜になった。

それでもまだお父さんたちは迎えに来ない。

やっぱり僕たちは捨てられたのかな?

なんでなんだろう、おとうさん・・・・・


いや大丈夫だ。きっと僕たちの場所がどこかわかんなくなっているだけだ。

だから大丈夫、僕たちが白い石をたどって帰っていけばお父さんたちは喜んでくれるはず。

今はまだ月が出てないから白い石がどこかわかんないから動いてないけどもうじき月も出てくるはずだし月が出てきたらグレーテルを起こして出発だ。



グレーテルがどうして寝てるのかって?

あの後グレーテルはその小さい体を使って僕たちが今いる、

野営でもできそうな開けた場所いっぱいに広がる魔方陣を書いたんだ。

ところどころになんだか文字のような記号のようなのも書かれてるなんだか本物っぽい感じのやつだ。

僕はそれを見て感心した。魔方陣はとても精巧で書いてるところを見てなければ本物だって言われても思わずそう思ってしまいそうだったから。


そしてその魔方陣を一通り見直すしてからグレーテルは呪文を唱えてた。

けど僕には意味が分からなかった。そもそも僕たちが普段使ってる言葉でもない感じだった。

まあおそらくグレーテルがその場で即興で適当に言ってただけなんだろうから当然なんだけど。

それにしてはなんだか意味のある言葉のように聞こえて来たけど気のせいだろう。

たまたまそのように聞こえただけ。きっとそう。


それから眠ってしまったんだ。

魔女ごっこに飽きたかそれっぽいことができたから満足したんだろう。

それにあんだけ大きい魔方陣(っぽいもの)を書いたんだから相当疲れてただろうし。





「グレーテル、起きて。家に帰るよ。」

月も出てきて白い石も見えるようになったので僕はグレーテルを起こした。

「うう、まだねむいよー。」

グレーテルは起きたばっかだからぐずってる。

でも月が出てるうちに家に帰らなきゃいけないんだから急がなくちゃいけない。

ここは心を鬼にして・・・・・・。


「あっジャック・オー・ランタン」

はっ?

「ねえおにいちゃん、ジャック・オー・ランタンだよ。

 これで家に帰れるよ。」

あんまりグレーテルが見ている方を見たくない。

大方寝ぼけてるんだろうけどもし本当に会ったら・・・・・・

「グ、グレーテル

 本当にいるの?ジャック・オー・ランタンが。」

「うんいるよ。ほらおにいちゃんのすぐ後ろに。」

あわてて振り返るとそこにあったのは・・・・・・・・


「ッッ!!」


火の玉だった。

空中に浮いてるし、何にも仕掛けは見れない。

それにこんなに近くにいるのに熱くもない。



「ほらおにいちゃんいくよ。」




そこからのことはあんまり覚えてない。

グレーテルに手を引かれて歩くという兄としてはかなり情けないということがあった様な気もするがそれは幻覚だろう。

手にグレーテルの暖かくて柔らかい手の感触があるような気もするけどそれも気のせいだろう。


とにかく家に帰ったらお父さんと新しいお母さんがいた。

お父さんはすっかりしょうすいした感じだったけど僕たちを見るとたちまちに元気を取り戻した。

それとは対照的に新しいお母さんの悔しそうな顔が見えたような気がするけどきっと気のせいだろう。

疲れてたからそんなように見えただけだと思う。

そう本当に疲れていたんだ。

体力的にもつかれていたけど精神的にもつかれていた。

お父さんたちに森に置き去りにされてしまったりジャック・オー・ランタンに会ったり・・・・・・。



あっ、白い小石が何の役にも立ってない。

まあいいや、もう寝よう。








しばらくしてからまた僕たちを森につれていくって言われた。

また捨てようとするのかな?

そう思って僕はまた白い石を拾おうとしたんだけど、

いろいろと用事を言いつけられて拾うことができなかった。

多分前回捨てに行ったときは白い小石をたどって帰ってきたって思われてるんだな。

実際はジャック・オー・ランタンについてきたんだけどね。

でもあんなことは二度とないと思うし白い小石はひろっておきたかったんだけど・・・・・


はぁ、しょうがないパンを少しづつちぎって落としてこう。

ご飯が少なるから嫌なんだけどなあ。

そんな僕の後ろからグレーテルが前もって帰ったオークの杖をもってついてくる。

また魔女ごっこでもするつもりなんだろう。いやまほうを使いたいんだったか。

どちらにしろグレーテルは気楽でいいなあ。



また前回とおんなじ広場に来てお父さんたちはまた良い木を探しに行った。

それからグレーテルはまた前のとおんなじオークの杖っぽいもので魔方陣っぽいのをかきだした。

どうやら魔女ごっこはまだ飽きてなかったらしい。

まあグレーテルがあの杖っぽいものをわざわざ家から持ってきた時に分かってたけど。

それで書き終わったら適当な呪文を唱えて寝るといった感じだった。


はあ、また暇になっちゃった。





夜になってもお父さんたちはまた迎えに来なかった。

仕方ないので今日も月が出るまで待ってパンをたどって家に帰ろうと思う。

とりあえず月が出るまで待たないと。



月は出た。

ただ予想外のことがあった。

落としておいたパンのかけらがなくなっているのだ。

周囲をくまなく探したけれど全然見つからない。

仕方がないのでグレーテルもおこして一緒に探してくれるように頼もう。


「グレーテル、パンのかけらがどこにあるか一緒に探してくれないかい?」


「パンのかけら?もしかしてお兄ちゃんが道のとちゅうでおとしていってたの?」

「そうだよ。」

さすがグレーテル。理解が早い。

「あのパンのかけらなら小鳥さんが食べて言ってたよ。」



「えっ」



ああ、当たり前の事じゃないか。

食べ物があったら食べてしまうということは。

そんなことも気づくことができなかったなんて。


「グレーテル、よく聞いて。

 僕たちは帰り道が分からなくなってしまったんだ。

 だから今日はこのままここで一晩過ごそうと思うんだ。夜に動くのは危険だし、見通しも悪いから。」


「うんわかった。」

聞き分けのいい子だ。

普通なら家に帰れないと聞いたら泣き叫んでもおかしくないっていうのに。


「えらいな。さびしくはないか?」

「ううん、お兄ちゃんといるから大丈夫。」


おおなんとかわいい事を言ってくれる。

「じゃあ今日はもうお休み。

 明日は日が昇ったらすぐに出発するからね。」

「はーい。」





さてグレーテルも寝たし僕も寝よう・・・・っていうわけにはいかないんだよね。

ちゃんとたき火の火が消えちゃわないようにまきを入れ続けなきゃいけない。

火が絶えたら獣に襲われてしまう。

寝ることはできないよね。大変だなあ。





「お兄ちゃんもう朝だよ。起きて。」

んー朝?

「って朝っ!?」

僕が急に飛び起きたからグレーテルはびっくりしてる。

でもしょうがないじゃないか。寝ないようにたき火をたいてたのに寝てしまってたんだから。

けどよかった。たまたま獣に襲われなくて。


まあ助かったからいいか。太陽ももう出てるし出発しよう。







道に迷った。

太陽が出てるから大丈夫だと思ったけど甘かった。

森で迷うと大変だ。

現在位置すらわからなくなる。森には目印なんかないんだから。

最悪このままこの森をさまよい続けて死ぬことも・・・・・・。

いやだめだそんなことを考えちゃ。

それより僕がこんなにまいってるんだからグレーテルはもっとまいっているはず。

お兄ちゃんである僕が元気づけないと。


「グレーテル大丈夫?

 今は道に迷ってるけどそのうち家に帰れるからね。」


「道に迷ってるの?おにいちゃん。」

うっ、グレーテルの綺麗な目が僕の方をむいている。

今その目を向けられるのはつらい。


「そっそうなんだ。だけどすぐに正しい道を見つけるからね。」

そういったらグレーテルは急に走り出した。

「グレーテル!あんまり離れないで。

 この森には少ないとは言っても獣がいるんだから。」

そういうんだけどグレーテルは止まってくれない。


もうっ、一度決めたら絶対変えないってのやめてくれないかな。

「はぁはぁ、グレーテル急にどうしたんだい?

「ハシバミの木を見つけたの。」


「ハシバミの木?ハシバミの実は食べれるけど今の時期はなってないよ。」


「そうじゃなくて、ハシバミの枝を地面に立てて倒れたほうに行ったら正しい道なんだよ。」

いやそれ神頼みじゃん。

まあ今は道が全然わからないからそうしてもいいんだけど別にハシバミの木じゃなくったっていいじゃないか。

まあいいや、とりあえずやってみよう。

「じゃあ枝を倒すよ。」


「だめっ私がやるのっ。」


あー、やりたかったのね。

ではどうぞ。






結論、家にたどり着きました。

まあ僕たちの家じゃないんだけどね。

だって僕たちの家とは全然形が違うし、家の周りにニワトコの木があるし。

まあニワトコの木は枯れてたけど。

僕たちの家の周りにはナナカマドの木が生えてたから。

僕たちの家じゃなかったとしても人の家でもたどり着けたことはうれしい。

もうそろそろ夕方だし、朝から何も食べずに歩きっぱなしだったからもうくたくたのぺっこぺこ。


何か食べさしてくれるといいんだけど。






「おばあさん。このシチューすっごくおいしい。おかわりもらっていい?」


「ああたーんとお食べ。ああパンもなくなってるね。パンもおかわりするかい?」

「いいのっ?ありがとう。それとパンもほしい」


その家にはすっごく優しいおばあさんがいた。

見ず知らずの僕たちにご飯を食べさしてくれたんだ。

しかもそのご飯がむっちゃくちゃ豪華でおいしかったんだ。


おばあさんの一人暮らしでそんなに食べ物とかの余裕はあるのかと聞いたらなんでもおばあさんはそれなりの商会を昔仕切ってて、それから今は森の中にひきこもって隠居してるからかなり余裕があるって言われたから僕たちはもう遠慮なんかせずにたらふくご飯を食べた。


その日はご飯を食べておなかがいっぱいになった上に朝からずっと歩いてたから疲れてて

おばあさんの泊まってお行きって言われてそれに甘えて寝てしまっていた。






それが間違いだったんだ。

あの時おばあさんの家に入らなければ、ご飯を食べなければ、

今日はもう暗いから泊まってお行きって言われた時に断っていれば・・・・・・・

後悔してももう遅い。


僕は今あの家の地下の檻の中。

グレーテルはおばあさん、いや魔女にこき使われているらしい。

魔女は実験でもしてるのか上の方から時々爆発音とかがする。

グレーテルにひどいことをされてないかって聞くけれどグレーテルは大丈夫としか言わない。

僕を心配させまいとしてるんだろう。

お兄ちゃんなのにグレーテルに何にもしてあげられない。


グレーテルは家事もさせられているらしい。

なんでわかったかって?

グレーテルが作った料理が運ばれてくるから。最初は失敗が多くて食べるのがしんどかったけど何日かするとこの家に最初に来たときに食べた料理よりかおいしくなった。


魔女は僕を食べるらしい。

そのために僕にはとても豪華な料理を出してくる。

太らせないと食いでがないからってさ。


それをグレーテルから聞いて、ご飯を一回食べなかったんだけど、次にご飯を運んできたグレーテルの腕にはあざができてた。

グレーテルが料理を置くときにちらっと見えたんだ。

それで当然グレーテルに何があったのか聞いたけどグレーテルはやっぱり大丈夫としか言わなかった、

僕はさとった。

僕がご飯を食べなかったからグレーテルがひどいことをされたんだと。

それからは僕はちゃんとご飯を食べている。


ただこのままではいけない。

何とかしてここを脱出しないと。今は僕の世話という仕事があるからいいけどそれがなくなったらグレーテルがなにをされるか・・・・・・。

ああどうにかしないと。





グレーテルが今日僕に泣きついてきた。

なんでも僕をあした食べるつもりらしい。

僕はあんまり太ってないんだけど、もう魔女が辛抱できないらしい。

それでお兄ちゃんが食べられちゃうって泣きついてきたんだ。


グレーテルには悪いけど僕はもう食べられる覚悟を決めたんだ。

でもその前に魔女と交渉するんだ。

僕が大人しく食べられるかわりにグレーテルを見逃してくれって。

それでも無理だったら一か八かで魔女と戦おうって。

うまく窯にでも押し込めたらさすがに魔女でも死ぬだろう。


そうと決まったら今日は早く寝ないと。

グレーテルが最後だからって話したがってたけど明日のためにたっぷり寝て体調を万全にしとかないと。

だからその日はぐずるグレーテルをなだめすかして帰らせた。




次の日の朝すごい絶叫がとどろいた。

「ギィヤーーー」とか「ぎゃーーっ」って感じの

グレーテルが何か大変なことされたのかと思ってあわてたが、

それは違うと分かった。

あれは魔女の声だった。

僕はなにが起こったのか知りたかった。

けれど何もわからない。僕は囚われの身、所詮できることは少ない。

ただ耳を澄ましているだけだ。


しばらくすると誰かが階段を下りてくる音が聞こえた。

この家には魔女と僕とグレーテルしかいなかったから多分グレーテルだ。

少し経つと予想通りにグレーテルが現れた。

ただ様子が変だ。少しうつろな感じがする。


「グレーテル、何があったの?」

そう聞いたんだけどグレーテルは聞こえてないかのように檻に近づいて来る。

そしてグレーテルはポケットから鍵を取り出して檻のドアを開けて僕に倒れ掛かってきた。


「おっと」

僕はあわてて支えた。

グレーテルの体は震えていた。きっと何か怖いことがあったんだろう。



「グレーテル、怖かっただろうけど何があったのか教えてくれるかい?」

しばらくして震えがおさまってきたところでグレーテルに聞いてみた。

グレーテルは話すかどうか少し迷ってたようだけど結局話してくれることになった。

まあ僕に抱き着いたまんまの姿勢だったけど。



グレーテルは今日の朝僕を焼くためのかまどに火を入れて用意してたんだ。

なんでも僕を丸焼きにする予定だったらしい。

それでかまどに火を入れている時に魔女が来て、

「火の準備はできたかい?」

って聞かれてグレーテルは人なんか焼いたことがないからわからないって答えたんだって。

まあそうだろうね。

それで魔女が火の具合を見るってことになったんだって。

それでかまどにを魔女が覗き込んだところでグレーテルは火がごうごうと燃え盛るかまどの中にドンって押し入れたんだ。

その時に悲鳴が朝の絶叫だったらしい。



「グレーテル、すごいじゃないか。魔女を倒すなんて。」

僕はその話に興奮してグレーテルをほめたたえました。

魔女殺しなんてめったにいるものではありません。

神官の人たちでもほとんどいないっていうのにすっごく名誉なことだ。

だというのにグレーテルの顔色は優れません。


「私、人を殺しちゃった。」

ああ、グレーテルは優しいから。

たとえ魔女を殺したとしてもそれを気に病むぐらいには。


「グレーテル、良いんだよっ。

 魔女は悪だから殺すのが正しいんだよ。だからグレーテルがしたことは正しいんだよ。」


「でもっ。」

「それにもしグレーテルが魔女を殺さないと僕が食べられていたかもしれないんだ。

 魔女を殺すことによってグレーテルは僕の命を救ったんだよ。」

そういうとグレーテルの顔色はまだ悪いままですが気分的には少しは良くなったみたい。

よしもっと元気づけよう。


「さてグレーテル、悪い魔女も対峙したことだし次は宝探しだ。

 悪い魔女がため込んでいた財宝を探しに行くぞ。」

「・・・うん。」

宝探しと聞いて元気が湧いてきたみたい。

それにグレーテルが宝探しに熱中して魔女のことを忘れてくれたら嬉しいしね。






「お兄ちゃん宝物がいっぱいだよっ!」

「ああすごいな。こんなにいっぱいあったなんて。」

魔女の家にはたっくさんの宝物がありました。

とてもすべてを持ち帰ることはできません。


「グレーテルこの宝ものの中から小さくて価値の高いものを持っていこうか。」

「うんっ。」

それから僕たちは指輪や宝石などの小さくて価値の高いものをそこら辺にあった麻袋に入れて家に持っていくことにしました。


僕たちが捨てられた理由はお金がないから。

いやそれでもお父さんだけだったら僕たちを捨てようとはしないだろうけど、

新しいお母さんが苦しい生活が嫌って捨てられたんだけどね。

でも結局お金の問題。。

だからこれを持って帰ったらもう捨てられるようなことはないよね。


「ねえおにいちゃん、帰り道はわかってるの?」

「ああ大丈夫だよ。魔女の荷物の中にこの森の地図があったんだ。

 それで僕たちの家は川沿いにあっただろ。だから地図を見て川にまで行ったらあとは大丈夫。」


そうちゃんとそこらへんは考えている。

それにしても家に帰るのは久しぶり。

だいたい半月ぶりかな?お父さん心配してるだろうなあ。

きっとお父さんの事だから捨てたことを後悔してるだろうなあ。








「お父さんただいまーーっ。」

家に帰るとお父さんはびっくりした顔で僕たちを見た。

「ヘンゼル、グレーテル・・・・・・・。」

そして僕たちが返ってきたことを実感すると満面の笑みをうかべて喜んだ。

「お前たち、よく帰ってきたね。

 お前たちを捨てるなんてお父さんはどうかしてたんだ。

 新しいお母さんが死んでから呪いでもとけたように頭がすっきりしてお前たちを捨てたことをすっごく 後悔してたんだ。 」

「新しいお母さん死んだの?」

あんなにぴんぴんしてたのに。僕はびっくりして驚いた。


「ああ、お前たちを捨てた次の日ぐらいからかな?

 急にに体調を崩してな。それはもう苦しんで逝ったもんだ。悪いことはするもんじゃないな。」

「うん、きっと天罰が下ったんだよ。」


「それはそうとその大きな麻袋はどうしたんだ?

 そんな重そうなのを抱えて森を抜けていくなんてよっぽど大切なものなんだな。中身はなんだ?」

僕とグレーテルは顔を見合わせて笑った。

びっくりするだろうなあ。






そうして木こりのお父さん、ヘンゼル、グレーテル、この三人は財宝を売ったお金で末永く幸せに暮らしたのでした。


めでたしめでたし





絵本と違うところ

グレーテルの突飛な行動

ジャック・オー・ランタンが出てくるとこ

魔女の家はお菓子の家ではなく普通の家

何種類かの木がいろいろと出ているところ

その他いろいろな描写が入っているところ


なにしろヘンゼルとグレーテルの絵本何て読んだのは小さいころだったのでうろ覚えですから他にも違うところはあるかもしれませんがそれらのことは「作者の記憶力悪し(笑)」という感じでご了承下さい。


なんだか様々な木が出てくるところなどいろいろ気になる所はあるかとは思いますが、それらの意味などはグレーテルsideをお待ちください。


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