表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/21

第十四話

 舞花の発した一言で、一同はシン――と静まり返る。


 最初の方は不敵に微笑んでいた彼女も、あまりにも長い間啓輔が黙っているので、気まずそうに視線を反らした。


 少し言いすぎたかしら――と言いたげに、舞花は啓輔を見やるが、彼は何も言わない。


 結局舞花は話しかけるタイミングを掴めず、黙り込んでしまうのだった。


 と、その時――。


「ねえ、お姉さん。それ、見せて?」


「……え?」


 突如、舞花の耳に、幼い少女の声が飛び込む。


 それまで、啓輔の横で大人しくジュースを飲んでいた少女――優だった。


 彼女は不思議そうな瞳で、舞花の鞄に付けられている羽の付いたキーホルダーを見つめていた。


 そして、悪意を感じさせない純真無垢な瞳で微笑みかける。


「このキーホルダー、どこで買ったの? すっごく可愛いね」


「ああ、それ? ドリームキャッチャーっていうの。アメリカのキーホルダー……っていうよりは、お守りみたいな物かしら? 悪い夢を、網でからみとってくれるんですって」


「へー。お姉さん、アメリカなんて行ったんだ。いいなー」


 優はそう言いながら、にこやかに笑う。


 彼女の底抜けない明るさに、舞花の心も(いや)されたらしい。


 気が付けば、二人はにこやかに微笑みあっていた。


「優、行った事ないからよく分からないんだよね……。家族旅行?」


「まあ、そんな所ね。両親があっちに住んでるから。お休みの時、偶に遊びに行くのよ」


「お休み……って、この前の三連休?」


「ん。そうよ」


 “三連休”というのは、今から三週間前の事。


金曜日に祝日が被った為、本来なら土・日の二連休が、金・土・日の三連休となっていたのだ。


「じゃあ、帰ってきたのは日曜日? 随分急な旅だったんだね」


「まあね。……といっても、時差ボケとかの影響で、実際に学校に行き始めたのは、その翌々日の火曜日からなんだけど」


「ふーん……」


 優がそこまで言うと、啓輔がはっと何かに気付いた様な顔をする。


 小さく口角を上げた父を見やり、優はそっと目を細めた――。





 翌日。少女(・・)は、休日だというのに学校に来ていた。


 別段、部活動や委員会があるわけではない。


 昨夜“速水菜々の件について話がある”と、探偵を名乗る男から電話があったのだ。


 少女にとって、“速水菜々”は決して赤の他人ではない。


 一体何の話なのだろう――と思いながら、学校までの道を歩いていた。




 やがて少女は、学校の正門前に着く。


 そこには二つの人影があった。

 一人は、電話をした男であろう若い青年。


 もう一人は、その男の娘らしき幼い少女だった。


 男は、少女を見やると、小さく手を挙げる。


 そして、つかつかと少女の元へ歩み寄っていった。


「こんにちは。……いや、“初めまして”の方が正しいのかな? 塚本琴音さん、ですね?」


「はい、初めまして。……確か、沢内探偵、でしたよね?」


 少女――琴音は、小さく微笑んだ。

次回解決(?)編なので、今回は結構短めです(汗)


出来しだいうp予定なので、読んで頂けると幸いです!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ