三人目
少女は道を歩き続ける。休むことなく歩き続ける。
偶に自分はなんのために歩いているのかわからなくなる。だが、少女は歩き続ける。
少女はしばらく道を歩くと、青年を見つけた。
「こんにちは」と少女が言うと、
「こんにちは」と青年が返した。
「早速だけど」青年が話しかける。
「キミは自分がどんな人間か、って思うことってないかな?」青年は少女と一緒に歩き出した。
「……?」少女が首をかしげると、
「例えばおかしいな、って思うことない?『自分ってなんで女の子なんだろう』とか、『なんでこんな道があるんだろう』とか」
「たまにあるよ」
「不思議とは思わないかい?」
「えっ…?」もう一度少女は首をかしげた。
「だって自分では理解できない、説明できないことが自分に起こってるんだよ。実行しているんだよ」
「お兄さんのお話、難しいよ。わからない」
「僕にもわからないんだ」
「どういうこと?」
「さっきも言ったじゃないか。自分でわからないことを体験しているんだ。だからわからない、理解できない。
中でも一番わからないのは僕自身だよ。」
「自分のこと、わかるんじゃないの?」
そう少女に問われると、青年はゆっくり話し始める。
「わかるよ、どんな人間か、何をしてるのか」
「じゃあ…」だが、少女の言葉を遮り、青年は続けて言った。
「でも僕の存在理由が分からないんだ。なんでここにいるの?なんで僕は僕じゃないとダメなの?
なんで僕は僕っていうの?なんで僕は僕がわかるの?僕って誰なの?」
「あなたはあなただよ」少女が力強く青年に話しかけた。
「あなたはあなた、悩む必要はないの」
「………」青年は顔を伏せ、少女に向かって言い放った。
「キミとは分かり合えないかもしれない。その答えでは納得できない」
そう言われて少女は少し悲しくなった。
「ただ…」青年は歩いていた足を止める。
「…?」少女も足を止めた。
「僕が納得したくないのかもしれない。理解するのを怖がってるのかもしれない」
「そんなことないよ」とっさに少女は言った。
「ありがとう。でも、もう一回一人で考えてみるよ」
「そう…バイバイ」少女は再び歩き始めた。
「バイバイ。道中気を付けて」
「ありがとう。お兄さんも答えが見つかるといいね」
少女は歩き続ける。
偶になんで一人で歩き続けているのか疑問を持つ。
だが、少女は歩き続ける。疑問の答えを見つけるために少女は歩き続ける。




