一人目
少女は歩く。見る限り道にまだ終わりはない。
道の周りにも何もない。
少女はただ舗装された道を歩く。一歩も足を止めることなく。
ある日、少女は男の人を見つけた。
「こんにちは」と少女が言うと、
「こんにちは」と男も返す。
「一緒に歩いてもいいかい?」と聞かれると少女は
「いいよ。一緒に歩こう」と返した。
しばらく歩くと、男は少女に問いかけた。
「君はナゼ歩いているの」
「わからない。気づいたら歩いてたの」
「少しは止まりたいって思わないのかい?」
「思わないよ」少女は男の方をむいて強く答える。
「羨ましいよ」男は少し悲しそうな顔をする。それからゆっくり語りだす。
「僕には夢があるんだ。自分の足で世界を回り、たくさんに人と出会いたいんだ。でもそれができないんだ。僕は決められた枠の中でしか動くことを許されないんだ。だからまだ、君にしか会ったことがないんだ。だから…」
「だから?」
「だから君には僕の分まで歩いて欲しいんだ。そして、様々な人を見てきて欲しい」
そこまで話して、ふぅ…とため息をつくと、男は足を止めた。
「僕はここまでなんだ。ここから先に行くことは許されてない」
「誰に禁止されてるの?」
「誰にもされてないけど…」曖昧に男が言うと、
「じゃあ一緒に行こうよ!誰にもされてないなら行こう!」と元気よく少女が言うと、
「ダメなんだ」今度はきっぱりと返した。
「自分にもよくわからないけど心の中で行ってはいけないって誰かが言ってるんだ。この道には境界線が記されてないけど僕には分かる。だから、君とはここまでなんだ。……ごめんね」
少女は少し悲しそうな顔をすると、バイバイと言って男に手を振った。
それを見て男もバイバイと言い、手を振った。少女が見えなくなるまで手を振った。
少女は一人で歩き続ける。道の先にはまだ何も無い。




