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銀の槍のつらぬく道  作者: F1チェイサー
紅い霧と翠の眼
93/175

銀の槍、真相を語る

「……なかなかやるが、それでも俺のほうが上のようだな、レミリア?」


 事は紅い霧の異変の前日の宵の口。

 将志はスペルカードルールの説明をするため、紅魔館を訪れていた。

 そして、たった今その当主たる幼い外見の吸血鬼をスペルカードルールで破ったところであった。


「ぐっ……お前、手を抜いていたわね?」

「……手加減と言って欲しいものだがな……このスペルカードルールの弾幕ごっこに関してはお前は初心者であろう?」


 身体を起こして恨めしげにこちらを睨むレミリアに、将志は飄々とした口調で言葉を返す。

 それに対して、レミリアは苛立たしげに息を吐いた。


「それでも、手加減されるのは気に食わないわよ。第一、お前の能力はこのルールじゃ反則じゃない」


 将志の能力の一つ、『悪意を感じ取る程度の能力』はレミリアの言うとおり弾幕ごっこにおいては反則的な能力である。

 何故なら、この能力は相手がどのような攻撃をしてくるかがあらかじめ分かってしまうのだ。

 つまり、スペルと言うパターン化された攻撃を相手にしたとき、最初からどう避ければ良いのか分かってしまうのだった。

 そのレミリアの主張を聞いて、将志は額を押さえてため息をついた。


「……それに関しては俺は謝るしかないな。何しろ、分かってしまうのだからな。だが、スペルカードを使い切ってしまえば負けというルールもあることだ。俺に勝つことが不可能と言うわけでもあるまい?」

「……そうね。お前に勝てないわけじゃないわ。逆に言えば、私達が人間に負ける可能性すらあるのよね?」


 例えどんなに頑丈でも、どんなに避けるのが上手くても、スペルカードを使い切ってしまえば負けと言うルール。

 このルールは種族間の格差を減らし、どんなに弱い人間でも神や妖怪相手に勝つことが出来るようにするために考えられたルールである。

 つまり、極論を言ってしまえばただ避け続けるだけで相手に勝ててしまうのだ。

 将志はレミリアの言葉に頷いた。


「……その通りだ。相手を倒しきれなくとも、相手の攻撃を避け切ることさえ出来れば勝てるのだからな。この方が戦略を考えることが出来るし、何よりもスリルがあるだろう? 余興としては十分に面白いと思うが?」

「まあ、確かにそうね。これなら相手を殺すこともないし、気軽に暴れることが出来そうね。それに、このスペルカードを集めるって言うのも面白いわね」

「……そのスペルカードは本人にしか作れないからな。その相手のスペルを完璧な形で破った証になる」

「つまり、このスペルカードがあるって事は、私がお前のスペルを完全に破ったことになるのね?」


 そう話すレミリアの手の中には、夜空を翔る流星の絵が描かれたカードが握られていた。

 それは将志のスペルを完全に破った証であった。


「……ああ。まあ、お前ならその程度は避けきれるとは思っていたがな」

「当然よ。私を誰だと思っているのかしら?」


 将志の言葉にレミリアはそう言って笑う。

 それに対して、将志も満足そうに笑い返した。


「……というわけで、これがスペルカードルールによる決闘なのだが……感触としてはどうだ?」

「悪くは無いわね。何よりも、負けても確実に生き残れるというのが気に入ったわ。これなら私の従者が負けても失わずに済むわ」

「……ふむ、気に入ったのならば何よりだ。だが、問題はこれを広めなければならないのだ。お前個人が気に入ったとしても、幻想郷中に広めなければ意味が無いからな」

「そんなの、あんた達が行脚して広めれば良いじゃない。その方が確実じゃないの?」

「……それでは駄目なのだ。それをやってしまうと俺達が、銀の霊峰がルールを押し付けるような形になってしまうからな。飽くまで自主的にスペルカードルールを利用するようにならないと、妖怪達の間にフラストレーションが溜まってしまうのだ」


 首を傾げるレミリアに、将志はそう説明する。

 それを聞いて、レミリアは頷いた。


「成程、退屈しのぎでストレスが溜まるんじゃ誰もやりたいとは思わないわね。それで、何か策はあるのかしら?」

「……あることはある。それについて腰を据えて話をしたいのだが、構わないか?」

「あら、私にそれを話すの?」

「……ああ。俺の知り合いでは、頼めそうなのがお前ぐらいだからな。それで、良いか?」


 将志がそう言うと、レミリアは微笑んだ。

 将志の物言いがプライドの高い彼女のお気に召したようである。


「銀の霊峰に貸しを作れるのなら喜んでやるわ。それじゃあ立ち話もなんだし、座れる場所に行くわよ」

「……ああ」


 二人はそう言うと、レミリアの先導によって地下の図書館へとやってきた。

 その中央では一人の少女が本を読んでおり、近くの本棚では司書と見られる小悪魔が本の整理をしていた。


「パチェ、居るかしら?」


 レミリアは図書館に入るとすぐに中に居る人物に声を掛けた。

 すると本を読んでいた少女こと、パチュリーは顔を上げてレミリアのところへやってきた。


「あら、何か用かしら、レミィ?」

「将志と話をするから、机借りても良いかしら?」


 レミリアはパチュリーに用件を簡潔に述べる。

 すると、パチュリーはレミリアの隣に立っている銀髪の男を見やった。


「将志……ああ、銀の霊峰の首領ね。別にいいわよ。それで、私は出て行ったほうが良いかしら?」


 パチュリーが問いかけると、将志は首を横に振った。


「……いや、別に聞かれてもかまわない話だ。むしろ聞いてくれた方がレミリアも説明が楽になるだろう」

「そう。それなら、いっそのこと咲夜や美鈴も呼ぶ?」

「……その方が説明が早く済むというのならば、そうしてくれ。恐らく紅魔館に居る全員に関わる事だからな」

「分かったわ。こあ、居る?」


 パチュリーは図書館の中に向かってそう声を掛ける。

 すると本の整理をしていた小悪魔がパチュリーの元へとやってきた。


「何ですか、パチュリー様?」

「咲夜と美鈴にレミィが呼んでいると伝えてちょうだい。話があるわ」

「分かりました。それじゃあ伝えてきます」


 小悪魔はそう言うと図書館の外へと出て行った。

 しばらくすると、一人のメイドと中華風の服をきた女性が小悪魔に連れられてやってきた。


「お呼びでしょうか、お嬢様?」

「お話って何ですか?」


 二人が口々にレミリアに話しかけると、レミリアは首を横に振った。


「話があるのは私じゃないわ。それで、みんなを集めて何の話をするつもりかしら、将志?」

「……簡潔に話せば、スペルカードルールを広める手伝いをして欲しいのだ」

「スペルカードルール? 何ですか、それは?」

「……それはだな……」


 将志はその場の者にスペルカードルールの説明を始めた。

 しばらくして、全員一応の理解を得たことを確認して将志は説明を終えた。


「……つまり、新しい決闘方式ということですか」

「本気を出して戦ってやられてもこちらの損害はゼロ。要するに、暴れたい人がお手軽に暴れられるということね」

「……そういうことだ」


 内容を確認する二人に、将志は頷く。

 その横から、レミリアが声を掛ける。


「それで、私達は何をすれば良いのかしら?」

「……実はな……レミリア達、紅魔館に異変を起こしてもらいたいのだ」


 将志がそう言った瞬間、将志を除いた全員が首をかしげた。

 幻想郷の治安を維持する銀の霊峰の首領が、まさか異変を起こす依頼をするとは思っていなかったからである。


「異変を? それどういうことかしら?」

「……今まで起きていた異変は、その解決の際に大勢の怪我人が出てしまうものだった。レミリア、お前がやってきた時もそうだったのは覚えているな?」

「ええ……ピエロに撃ち落されて怪我をした者もいたし、将志にやっつけられた者もいたわ。別件では翠眼の悪魔にこっぴどくやられて死傷者が出たって話も聞いたわ」


 事実、レミリアが率いていた妖怪達は将志や愛梨によって壊滅的な被害を被っていた。

 叩き落された妖怪達は生傷だらけで、怪我が癒えるまでかなりの時間が掛かっていた。

 そうでなくても妖怪達の喧嘩で負傷、酷い場合には死者が出る時もあるのだった。

 レミリアの話を聞いて、将志は僅かに眉をひそめる。


「……翠眼の悪魔に関しては気になるところではあるが、その話は置いておこう。本来そういう事態にならないようにするための抑止力として、銀の霊峰は存在するのだ。しかし、力で抑え付けてしまうと必ず不具合が出てくる。現に力で抑えつけた結果、妖怪達が無気力になり、どんどん弱体化していくことになってしまった」

「成程ね。そうなると人間達が妖怪を駆逐し始めて、幻想が消え失せることになりかねないわね。それで、それとスペルカードルールがどう関係するのかしら?」

「……そもそも、銀の霊峰の役割というのは死者や負傷者を最小限に抑えるというものだ。だがスペルカードルールで戦えば、出動の前提となる死傷者が出て来ない。つまり、俺達が出動する理由が無くなると言う訳だ。これならば、妖怪達も俺達のことを恐れずに思う存分暴れられるだろう?」


 将志は銀の霊峰の、つまり自分の立場を告げると同時に、スペルカードルールの有用性を説明した。

 それを聞いて、パチュリーが頷いた。


「確かにそうね。で、それと私達が異変を起こすことに何の関係があるのかしら?」

「……主な目的は三つだ。一つ目は、スペルカードルールの存在を知ってもらうこと。二つ目はその性質を示すこと。三つ目は、スペルカードルールを用いた異変において、銀の霊峰は介入しないと言う事の証明の為だ」

「銀の霊峰が自分で異変を起こさないのは、三つ目の目的が理由って訳ね」


 将志の言葉に、パチュリーが横から口を挟む。

 それを聞いて、将志は頷いた。


「……そういうことだ。妖怪の賢者や銀の霊峰だから許される、等と取られてしまっては意味が無い。人狼の里も考えたが、そこでは組織の規模が大きすぎる。だからこう言ってしまうと言い方が悪いが、それなりの規模の組織の者に異変を頼もうと思ったわけだ。紅魔館には、力さえあれば誰でも気軽に異変を起こすことが出来る事を証明して欲しいのだ」

「あら、つまりそれは私達の力を認めてるって考えて良いわけ?」


 将志の言葉に、レミリアはそう問い返す。

 それに対して、将志は深く頷いた。


「……そういうことだ。と言うわけで、一つ派手な異変を起こして欲しい。幻想郷に紅魔館の力を示すような異変をな」


 将志がそう言うと、レミリアはその言葉をじっくりと吟味するように考えた。

 そしてしばらくすると、愉快そうに笑った。


「ふふっ、面白いじゃない。そういうことなら、幻想郷に私達の名を知らしめるような異変を起こしてあげるわ」

「……とは言うものの、やり過ぎては駄目だぞ? 幻想郷がひっくり返るような異変を起こしてしまうと、これも銀の霊峰が出動する事態になってしまうからな」

「分かってるわよ。そこまでのことはしないわよ」


 将志の言葉に、レミリアは自信たっぷりの表情で笑うのであった。



  *  *  *  *  *




「……と言うのが、俺が覚えている話だ」


 将志はそう言うと、話を止めた。

 将志の周りには紅い霧の異変に関わった者が並んでおり、将志の話を聞いていた。

 しばらくすると、白装束の少年が口を開いた。


「えっと、ここまでの父さんの話を要約すると、父さんはスペルカードルールを広めるためにレミリアさんに異変を依頼しに行ったって事?」

「……そういうことになる。こうするのが一番手っ取り早いと思ったからな。あとはこの異変の顛末を伝えることで、スペルカードルールの性質を周囲に広めていくと言うわけだ」


 銀月の質問に将志は淡々と答える。

 その回答を聞いて、隣に座っていた巫女が銀月のわき腹を肘で突く。


「ちょっと銀月。あんたのお父さんグルだったじゃない。あんた知ってたの?」

「知るわけないじゃないか。知ってたらもっと俺は落ち着いていたし、父さんの力を感じても動かなかったよ」


 霊夢の物言いに、銀月はそう言って肩をすくめる。

 それを聞いて、将志が首をかしげた。


「……一つ訊きたいのだが、俺の力を感じたとはどういうことだ、銀月? 俺はこの異変には全く介入しないつもりだったのだが?」

「紅い霧の中に、父さんの力を少しだけど感じたんだよ。それと訊きたい事といえば、何で父さんがあんなことになっていたのかも説明してもらいたいね、レミリアさん?」

「……あんなこととは?」


 将志は銀月に事の詳細を尋ねる。

 すると、銀月は微妙な表情を浮かべて将志から眼を逸らした。

 その横では、同じくその光景を見ていた霊夢が苦笑いを浮かべていた。


「……父さんは知らなくて良い事だよ。て言うか、知ろうとしないほうが良いと思うよ」

「……???」


 銀月の言葉に、将志はキョトンとした表情を浮かべた。

 鹿威しに頭を殴られ続けていたなどとは、銀月には情けなくて言えなかった。


「……まあ良い……さて、どうして銀月がここに来る事態になったのか、そして俺の身に何が起きたのか説明してもらおうか、レミリア?」

「うっ……分かったわよ……」




  *  *  *  *  *




「あっ!?」


 重ねられた大量の本を持って宙に浮かぶ小悪魔の手から、本が零れ落ちる。


「……がっ!?」


 その本は吸い込まれるように将志の頭を直撃した。

 将志は椅子から崩れ落ち、動かなくなった。


「……はい?」


 その様子を見て、咲夜が思わず間抜けな声を上げる。

 レミリアは倒れている将志に声を掛けることにした。


「ちょっと将志、馬鹿なことしてないでさっさと起きなさいよ」


 レミリアが声を掛けるが、将志は起きる様子が無い。

 疑問に思ったパチュリーが、将志に近寄って意識の確認を行った。

 よく見てみれば、将志の瞳孔が開いていた。


「……レミィ。彼、完全に気絶してるわよ?」

「え~……こんな薄い本が頭に当たっただけで……」


 パチュリーの言葉を聞いて、美鈴は唖然とした表情で本を拾い上げる。

 その本は僅か数ページ程しかない薄い本で、中身は漫画のようであった。

 気絶した将志を見て、レミリアはがっくりと肩を落とした。


「こ、こいつこんなに貧弱だったの? こんなのに負けてたなんて……」

「そんなことよりもお嬢様、彼をどうします?」

「そうね……そうだ。パチェ、こいつから力を抽出することって出来る?」


 レミリアは少し悪い笑みを浮かべてパチュリーにそう尋ねた。

 パチュリーはしばらく考えたあと、静かに頷いた。


「出来ないことはないわ。精霊から力を取り出すことの応用で行けるはずよ」

「試しにやってみてくれる?」

「ええ、良いわよ」


 パチュリーはそう言うと、将志に手をかざして呪文を唱えた。

 すると、パチュリーは手に電流が流れるような感覚を覚えて手を引っ込めた。


「……っ、物理耐性は貧弱なくせに、魔法に対する耐性は高いみたいね……」

「駄目かしら?」

「難しいわね。彼の身体に流れる力は守護の力。この力そのものに干渉するのは並大抵のことじゃないわ」

「血は抜けないのかしら?」


 何とかして将志の力を利用したいレミリアは、パチュリーにそう問いかける。

 しかしパチュリーは首を横に振った。


「分からないわ。生きている以上出来るかも知れないけれど、彼の力がどの程度含まれているかが分からないわ。もしかしたら力が強大すぎて暴走するかもしれないわ」

「何とかして利用できないかしら?」

「ちょっと待ってレミィ」


 パチュリーはそう言うと、再び将志に手をかざし、詠唱を始める。

 唱えているのは先程の力を受け取る呪文ではなく、無理矢理に奪い取る呪文。


「うっ……」


 詠唱が終わると、先程よりも強い痛みがパチュリーの手に走る。

 しばらくそれに耐えていると、将志の体から銀色の光の粒が靄の様にこぼれだしてきた。

 それはパチュリーが空けた穴から勢い良く吹き出しており、まるで口の開いた風船から吹き出す空気の様であった。

 それを見て、パチュリーは手を離す。

 額には玉の様な汗が浮かんでおり、かなりの負担が掛かっていたことが分かった。


「くっ……少しだけだけど、彼の力が流れだしてきたわ」

「……本当ね。でも、何かおかしくないかしら?」

「……そうね。何ていうか、本来外に出てくるものを無理やり中に閉じ込めているような感じがするわ」


 将志の身体から出てきた光は、パチュリーが手を離した瞬間からゆっくりとと元の場所へと吸い込まれるように移動していた。

 通常であれば、体内で生成されるこのような力は外に流れ出していくため、大変不可解な現象であった。

 レミリアはこぼれ出る銀色の光に軽く手を触れた。

 すると、レミリアは全身を電流が走るような感覚を覚えた後、体の中から燃え滾るような熱さを感じるようになった。


「っ!? 何、この濃縮された力!?」


 自分の身体の突然の変化にレミリアは眼を見開いて驚いた。

 ただ少し触れただけと言うのに、自身の力が大きく膨れ上がっていることに気がつく。

 突然の大きな力に身体の制御が追いついていないのか、レミリアの体からは紅い魔力の光が溢れだしていた。


「レミィの力が全盛期のものに戻ってる? おかしい、そんな濃密な力になるのは……とにかく、サンプリングはしておきましょう。彼なら……黒水晶ね」


 パチュリーはそう言いながら、黒水晶を銀色の光に晒す。

 すると銀色の光は黒水晶に吸い込まれていった。

 力を吸い取った黒水晶の中では、まるで銀河のように銀の光が渦を巻いていた。


「ふ、ふふふ……気分が良いわ。全盛期の私に戻ったのなら、思う存分暴れてやれるわ」

「むきゅ……閉じたわね……外側からの刺激で一時的に漏れただけなのかしら? いずれにしても、少し研究しないといけないわね。こんな濃縮された神の力なんて、滅多に手に入らないもの」


 回復した自分の力を確かめて笑うレミリアの隣で、将志の力を観察していたパチュリーはそう呟く。

 将志の身体を覆っていた銀色の光は全て吸い込まれていた。


「パチェ、こいつ何とかして捕まえておけない? この力は惜しいわ」

「精神干渉や、魔法による束縛は無理ね。縄で縛っても、恐らく抜けられるでしょうね……」

「じゃあどうするのよ?」

「物理的な衝撃に弱いのだから、それを与え続ける方法が良いと思うわ。えぇーと……楽して自動的に頭を殴り続ける方法は……」




  *  *  *  *  *




「それで、あの状態になったって事ね」

「父さんの力を感じたのは、レミリアさんが父さんの力に触れたからなのか」

「……そして、俺の力を利用しようとして手段を講じたわけか……」


 レミリアの白状した内容を聞いて、将志は深々とため息をついた。


「……銀月に感謝するのだな。見つけたのが六花やアグナであったら、紅魔館そのものが無くなっていた可能性があったぞ?」

「あ~……あの二人ならやりそうだな……特にアグナ姉さんとか、全部灰にしそうだ」


 将志の発言に、銀月がそう言って言葉を継ぐ。

 それを聞いて、レミリアの顔が若干蒼くなる。


「……ねえ、さっきから色々聞いてるけど銀の霊峰にはそんな物騒な奴しか居ないの?」

「……いや、そこまで物騒な連中ではないぞ?」

「そうそう、ちょっと加減が効かなくなる事があるだけだ」

「十分物騒じゃないか」

「シッ! 魔理沙、銀の霊峰の連中を一般の者と比べちゃいけません!」


 二人の弁明に口を挟んだ魔理沙を、ギルバートがそう言って注意する。

 それを聞いて、銀月はゆっくりと椅子から立ち上がった。


「……よし、表に出ようか、兄弟」

「……上等だ、行こうぜ兄弟」


 銀月に同調するようにギルバートも席を立つ。


「……そうか、ならば俺が全力で相手してやろう。二人とも、死ぬ覚悟は出来ているか?」


 するとそれに続いて将志が席を立って銀の槍を手にした。


「申し訳ございませんでしたぁ!!」

「申し訳ございませんでしたぁ!!」


 その瞬間、二人は即座に並んでローリング土下座をした。


「あはは……人狼のギルバートさんでも死ぬ目に遭うんですか……」

「……この様子を見るだに物騒ね」


 必死に平謝りする二人の様子を見て、美鈴は乾いて笑みを浮かべパチュリーは小さくため息をついた。


「それにしても、今回の異変は銀月のお父さんの力が使われてたのよね? それじゃあ、もうこんな異変は起こせないわけね?」

「勘違いしてもらっては困るわよ? 今回のレミィはあくまで将志の力に触れて全盛期の力を取り戻しただけ。つまり、やろうと思えばまた今回みたいな異変も起こせるわ」

「ついでに言えば、あれからずっと調子が良いのよ。まるで体の中から力が溢れてくるみたいよ」

「……その様子を見るに、今すぐにでももう一度異変を起こせそうだな」


 霊夢の質問にパチュリーが答えると、レミリアが紅い光をまとって力の一端を見せながら今の自分の状態を説明する。

 それを見て、将志は冷静にそう告げた。


「勘弁してよ……」

「俺としても、今回みたいな異変は遠慮して欲しいね」


 げんなりとした表情の霊夢に合わせるように、ギルバートが口を挟む。

 それを聞いて、魔理沙が首をかしげた。


「そういやギル、お前は何で異変を解決したかったんだ?」

「あの紅い霧のせいで農作物に日が当たらないんだよ。あんなのが何日も続いたら農業が壊滅する」


 レミリアが作り出した紅い霧は太陽を遮るためのものである。

 つまり、それによって幻想郷が覆われてしまえば作物が育たなくなってしまう。

 ギルバートは事態を重く見て、調査に乗り出したのだった。

 それを聞いて、将志が唸った。


「……それは拙いな。そんなことになったら、幻想郷の生活が滅茶苦茶になるところだったな」

「ギルバートさん。そんな大事なことを知っていて、それでも私にあんなことをしたんですか?」


 美鈴は大事な任務を帯びながら自分との勝負を優先したギルバートに質問をする。

 それに対して、ギルバートは頷いた。


「ああ。あの時も言ったが、別に解決するのが俺である必要は無かったからな。だから、あんたと戦うことに重きを置いた。それだけだ」

「それで誰も解決できなかったらどうするつもりだったんですか?」

「決まってるだろ。あんたを倒して、解決するまで何度でも挑む。それだけだ」


 ギルバートは美鈴の眼を見てはっきりとそう言った。

 それを聞いて、美鈴は少し困った表情を浮かべた。


「ギルバートさん……私としては嬉しかったですけど、生活が掛かってるんなら無理しなくても……」

「良いんだよ。今回の場合、魔理沙だって居ただろ? 仲間を信頼できなくてどうしろって言うんだよ?」


 申し訳なさそうな表情を浮かべる美鈴に、ギルバートは笑ってそう語る。


「そういうギルは、私の信頼とは裏腹に負けて寝てたけどな」

「うぐはっ!?」

「あ、死んだ」


 魔理沙の鋭くえぐる一言を受けて、ギルバートは崩れ落ちた。

 その様子を見て、銀月は苦笑いを浮かべた。


「……まあ、今回のような事態になった場合、俺の周りの連中も黙ってはいなかっただろう。結果としては当初の目的を達成出来たのだから言うことはない。あとは紅魔館の面々に少々ペナルティを与えないとな」

「ちょっと、そんなこと聞いてないわよ!?」


 突然のペナルティ宣告に、レミリアが勢いよく立ち上がった。


「……当たり前だ、今初めて口にしたからな。それに、被害は軽微とはいえ周囲に迷惑を掛けたのだ。こちらとしても、形だけでも何か罰則を与えなければならん」


 喰らいついてくるレミリアに対して、将志はしれっとした態度で言葉を返す。

 それを聞くと、レミリアは多少落ち着いたようで席に戻った。


「……形だけね……それで、罰ってどうするつもり?」

「……なに、精々が宴会場を提供するくらいで良いだろう。それくらい軽いものでないと異変を起こそうなどとは思わんだろうし、騒ぐ口実を与えることも出来る。要するに、娯楽は娯楽で済ませようと言うことだ」


 将志はあらかじめ考えていた罰をレミリアに告げる。

 それを聞いて、咲夜が頭を抱えてため息をついた。


「はぁ……片付けの後は宴会の準備か……仕事が終わらないわ」


 咲夜は疲れた表情で小さくそう呟く。

 そんな彼女に、霊夢が話しかけた。


「ねえ、貴女咲夜って言ったわよね?」

「ええ、そういう貴女は霊夢だったわね。どうかしたの?」

「宴会のときは銀月を貸してあげるから、好きに使って」

「ちょっ!? ちょっと待った霊夢、なにそんなこと勝手に決めてるのさ!?」


 突然の霊夢の言葉に、銀月は思わずそう叫んだ。

 しかし、二人がそれに反応することは無かった。


「良いの? そういうことなら遠慮なく使わせてもらうけど」

「お~い! 無視か~い! 俺はいつから霊夢の所有物になったのさ~!?」

「良いのよ、料理人が多いほうが料理も早く出来るでしょ? 銀月の料理は美味しいし、戦力になるわよ」

「俺の人権どこに行った!?」

「そうね。他所の執事長から免許皆伝を受けてるって話だし、期待は出来そうね。それじゃあ、遠慮なく借りていくわ」


 銀月の発言を悉く無視して話を進める二人。

 それに対して、銀月は諦めずに主張を続ける。


「俺の意見を聞いてくれ!!」


「却下よ」

「却下ね」


 しかし、銀月の主張はたった一言でばっさりと斬り捨てられた。


「……酷い虐めを見た」

「……まあ頑張れ、兄弟」


 がっくりとうなだれる銀月の肩を、ギルバートは優しく叩いた。

 その様子を、レミリアが面白そうに眺めていた。


「あれは尻に敷かれるタイプね。お前の息子、銀月って言ったわね? 見ていて飽きないわ」

「……はあ……見ていて涙が出そうだ、全く……」


 将志は自分の息子の扱いに額に手を当ててため息をつく。


「ところで良いのかしら? なにやら勝手に銀月がうちのメイドの手伝いをすることになってるみたいだけど?」

「……その程度のことで親が口出しすることはあるまい。もっとも、危害を加えるようであれば話は別だがな」


 将志はしょうがないと言わんばかりに、ため息混じりにそう言った。

 それを聞いてレミリアは嬉しそうに笑い掛けた。


「そう。なら、ありがたく借りておくわ」

「……必ず返せ」

「あら、どうしようかしら? 有能だったら思わず引き抜いてしまうかもしれないわよ?」


 将志の言葉に、レミリアは悪戯っぽい笑みを浮かべて答えを返す。


「……返せと言っている」


 すると、やたらと力の入った声で身を乗り出しながら将志はそう言ってきた。

 そんな将志に、レミリアは苦笑いを浮かべた。


「はあ……あんた、見かけによらず親馬鹿ね。分かってるわよ」

「……それならば良い」

「はいはい。それで、全員説明はこれで良いかしら? 後片付けと準備に取り掛かりたいのだけど」


 レミリアは全体にそう問いかける。

 誰一人異論は無い様で、全員が沈黙を持って答える。

 それを見て、レミリアは頷いた。


「よし、それじゃあ咲夜。早速作業に移ってちょうだい」

「かしこまりました。それじゃ、銀月。約束どおり手伝い頼むわよ」

「ん、分かった」


 咲夜の言葉を受けて銀月も行動を始めようとする。

 そんな銀月に後ろから声が掛かった。


「その前に銀月、ちょっとお夜食もらえる? お腹空いちゃった」


 霊夢の言葉を聞いて、銀月は頭を抱えた。


「霊夢……流石に人様の家の台所使って料理をするのは……」

「あら、それなら私ももらおうかしら?」


 銀月が霊夢に返事をしようとすると、再び後ろから声が掛かる。

 想定外の一言に、銀月は思わず振り返る。


「さ、咲夜さん?」

「お嬢様に不味いものを食べさせるわけには行かないもの。手伝いをするんだからどれくらいの腕前か見ておかないといけないじゃない」


 咲夜は銀月に理由を説明する。

 それを聞くと、銀月は頭を掻いた後で深々とため息をついた。


「……ったく、しょうがないな……咲夜さん、食材を見るからついてきてくれるかい?」

「ええ、分かったわ」


 そう言うと、銀月は咲夜と連れ立って厨房へと向かった。

 その一部始終を見て、魔理沙が霊夢に話しかけた。


「なあ、霊夢。幾らなんでも酷くないか?」

「え、そう? 私こういうときは大体作ってもらってたんだけど……」

「こういう時って?」

「異変を解決した時とか……仕事が終わって帰ってきたら、いつも銀月がご飯作って待っててくれるのよ」


 銀月は異変が起きたり、霊夢の仕事が長引きそうなときは博麗神社で留守番をし、料理を作って霊夢の帰りを待っていた。

 異変の後の料理には必ずと言って良いほど霊夢の好物が入っているため、霊夢は毎回それをささやかな楽しみにしていたのだった。

 それを聞いて、魔理沙とギルバートは顔を見合わせた。


「銀月……すっかり霊夢の通い夫になってるぜ……」

「だな……執事や夫というよりは、嫁って言った方がしっくり来るな。男だけど」

「そうだな……理想のお嫁さんって感じだぜ」


 二人はそう言い合うと、小さくため息をついた。

 そんな二人の会話を聞いて、霊夢が口を挟む。


「言っとくけど、渡さないわよ。あんな優秀な食事係、手放してたまるもんですか」

「……ほほう? いつの間に銀月はお前のものになったのだ?」

「え……」


 突如として横から掛かった声に、三人はそちらを向く。

 するとそこには、強烈な威圧感を放つ父親の姿があった。

 思わず冷や汗をかく霊夢を、将志はジロリと見やった。


「……そもそも、銀月が何故お前の食事を作っているのかが分からないのだが……聞かせてもらえるか?」

「あ、その……」


 あまりの威圧感に、霊夢は思わず言いよどむ。

 その煮え切らない霊夢の態度に、将志の威圧感はますます膨れ上がった。


「……どうした、言えない様な理由なのか?」

「……そんな威圧感出してたら答えにくいだろ、父さん」


 そんな将志の後ろから厨房から戻ってきた銀月が、呆れたような声を掛ける。

 将志は威圧感を引っ込め、銀月の方を向いた。


「……銀月、お前は何故博麗の巫女の食事を作っているのだ?」

「それは霊夢に料理の味見係を頼んでるからだよ。家族以外に味見をしてくれる人ってあんまり居ないから、俺の料理の修業に付き合ってもらってるんだよ」

「……では、夜食の件に関しては?」

「そりゃあ、働いて帰ってきたときに温かいご飯が待っていたら嬉しいだろ。だから、一仕事を終えた霊夢に対する労いの意を込めて作らせてもらってるよ。料理には気遣いが重要だって教えたのは父さんだろ?」


 銀月は将志に霊夢に食事を作っている理由を告げる。

 それを聞いて、将志は小さく頷いた。


「……成程、納得した。そういうことなら良いだろう。お前が良いと思う範囲で励むが良い」

「ああ、そうさせてもらうよ」


 将志の言葉に銀月は頷いて返す。

 そのやり取りを聞いて、霊夢は嬉しそうに笑った。


「よし、これでお父さんの公認になったわね♪」

「……ただし、お前にくれてやった訳ではないからな。そこのところを間違えるな」


 そんな霊夢に、将志は戒めるようにそう言った。

 それを聞いて、銀月がため息をつく。


「はあ……何言ってるのさ、父さん。それじゃあ霊夢が娘をくださいって言いに来た男みたいじゃないか」


「(そういう風に聞こえるけどな……)」

「(そういう風に聞こえるぜ……)」


 銀月の言葉に、ギルバートと魔理沙は心中でそう語った。


「で、お夜食作りに行ったんじゃなかったの?」

「そうだけど、ちょっと確認をね。今ある材料だと、すぐ出来るのがグラタンになるんだけど大丈夫かなって思ってね」

「ああ、それで良いわよ。それじゃ、宜しく頼むわね」

「了解。それじゃ、作ってくるよ」


 銀月は霊夢に確認を取ると、再び厨房に戻っていった。

 その後姿を見送りながら、魔理沙が口を開いた。


「意外だぜ……銀月って和食を作りそうなイメージだったんだけどな?」

「基本的に何でも作れるわよ、銀月は。修行の一環と称して洋食のフルコースが出てきたり、和風の会席料理を作ったりもしてたわ」

「ふ~ん……てことは、霊夢の食生活って随分と贅沢なんだな?」

「流石にそんなのは毎日食べたりしないわよ。でも、銀月のお陰で食生活が充実してるのは事実ね」


 霊夢は銀月が作る料理の味を思い出し、にこやかに笑いながらそう言った。

 それを見て、魔理沙は羨ましそうに霊夢を見てため息をついた。


「いいなあ、楽できて。そういや、ギルも料理できるんだよな? 何が作れるんだ?」

「俺も執事の修行をしてたからな、和洋中大体のものは作れるようにはなってるぜ。まあ、銀月みたいに毎日作ってるわけじゃねえからそこそこの味だけどな」

「へぇ~……私は基本的に和食しか作らないからな。洋食とかってあまり食べないんだよな」


 魔理沙はそう言いながらギルバートを見やる。

 それを見て、ギルバートは魔理沙にジト眼を向けた。


「……おい、その視線は暗に俺に洋食を作れって言ってるのか?」

「別に~? 私は何にも言ってないぜ」


 ギルバートの追及に、魔理沙はそう言って笑みを浮かべた。

 そうやってしばらく話していると、銀月が料理を持ってきた。


「お待たせ、霊夢。夜食できたぞ」


 銀月はそう言うと、霊夢の前にグラタンをおいた。

 グラタンは湯気を立てており、美味そうな匂いを辺りに振りまいている。


「ありがと。それじゃ、いただきます」


 霊夢はそれを受け取ると、食べ始めた。

 その一方で、銀月は咲夜の前にもグラタンを置いた。


「咲夜さんもどうぞ」

「ええ、それじゃあいただくわ」


 咲夜はそう言うとグラタンを食べ始めた。

 グラタンは熱く、猫舌の咲夜は顔をしかめる。


「はい、これどうぞ」


 そんな咲夜に、銀月は即座に水を手渡した。


「ありがとう」


 咲夜はそれを受け取ると、少し飲んで熱くなった口を冷やす。

 そうして一息つくと、咲夜は料理の感想を述べた。


「……想像していたよりも美味しいわね……」

「そりゃあ、トップレベルの料理人に教わってるもの。初対面の相手の想像は超えるような料理を出せないとね」


 咲夜の感想を聞いて、銀月は誇らしげにそう答えた。

 銀月にとって、将志と言う料理の神に料理を教わることは誇りになっているようであった。

 そんな銀月に、咲夜は頷いた。


「そう。これなら問題は無いわね。それに執事として修行を積んだのも嘘じゃなさそうだし、しばらく手伝ってもらうわよ」

「仰せのままに、メイド長」


 咲夜の言葉に、銀月は恭しく礼をした。


「銀月、お茶ちょうだい」

「そう言うと思って用意はしてあるよ。すぐに持ってくるから待って」


 銀月は笑みを浮かべてそう言うと、霊夢のお茶を淹れに厨房へ向かって行った。

 その様子をレミリアは感心した表情で見ていた。


「……よく訓練された執事ね」

「……少々訓練されすぎの様な気もするがな。では、そろそろ俺は帰るとしよう」

「そう。宴会の日程が決まったら連絡するわ」

「……了解した」


 将志はそう言うと席を立ち、図書館から出て行く。


「ギル、私達もそろそろ帰ろうぜ」

「そうだな。用も済んだことだし、もう帰るか」


 将志に続いて魔理沙とギルバートが席を立つ。

 すると、美鈴がギルバートに声を掛けた。


「また来てくださいね、ギルバートさん」

「ああ。十分に修行を積んでからまた挑戦しに来るよ」

「おい、ギル! 早く帰ろうぜ!」


 美鈴と話すギルバートに、魔理沙が図書館の入り口から急かすように大声で話しかける。


「分かってるからそう急かすな! じゃ、またな!」

「はい! ではまた!」


 軽く手を振って帰って行くギルバートに、美鈴は華やかな笑顔でそう言って手を振りかえした。





「……あ、本持ってかれた……」


 しばらくして、パチュリーが思い出したようにそう呟いた。

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