銀の月、対面する
「……ん……」
銀月が目を覚ますと、そこは紫色の宇宙だった。
その見覚えのない空間に身をゆだねている状態を感じ取り、彼は辺りを見回した。
「ここは……っ」
銀月が辺りを見回していると、何やら青白い霧のようなものが彼の周りに集まってきた。
それは頭の中に次々と吸い込まれていき、彼の中の忘れ去られた記憶を呼び覚ましていく。
そして全てが入り込むと、銀月は警戒するように辺りを見回し始めた。
「……そうだった。ここは奴らの……」
「奴らとは、随分な言い草ね、銀月」
後ろからの女性の声に、銀月は後ずさりながら振り返る。
その前には、金髪金眼にメイド服を身にまとった女性が立っていた。
彼女の眼は冷たく細められているが、その瞳の奥からは身を焦がすような愛しさが見え隠れしている。
その姿を見て、銀月は親の敵を見るような視線を彼女に送る。
「夢月……!」
「そんなに睨まないで欲しいわね。第一、睨まれる様な事をした覚えはないし」
「どの口でそんなことを! っ!?」
銀月が叫んだ瞬間、夢月は一瞬で距離を詰め、腕を押さえるようにして銀月を抱きしめた。
銀月は逃れようともがくが、自らの能力があだになって抜け出せない。
「くっ!」
「そんなに頭に血が上っていては私一人も抑えられないわ。んっ……」
「んぐっ!」
夢月はそう言うと、自らの口で銀月の口をふさいだ。
銀月は両腕と頭を抱きかかえられており、抜け出すことが出来ない。
「んっ……んっ……はぁ……」
夢月の口付けは慈愛に満ちていた。
唇は優しくふれあい、入れられた舌は相手を求めるように銀月の舌を撫でる。
苦しくなって息継ぎをするたびに彼女の気持ちは高まっていき、更なるつながりを夢月は求めていく。
彼女が吸い取ろうとしているのは、銀月の心なのだ。
「あ~っ! 夢月ちゃん、抜け駆けなんてずるい!」
そんな中で、別の女性の声が辺りに響き渡った。
その声を聞いて、夢月は抵抗できずに居る銀月を抱きしめたまま、彼の向こう側に立つ白い翼の生えた自分そっくりな姉に目を向けた。
「これくらい良いじゃない、姉さん。減るもんじゃないし」
「そういう問題じゃな~い!」
幻月は一直線に近づくと、飛びつくように背中から銀月に抱きついた。
その感触に、銀月は肩越しに彼女の顔を見やる。
「幻月……」
「はぁい、銀月。会いたかったわ」
睨んでくる銀月に、幻月は嬉しそうに笑顔で彼に応対する。
その表情は長い間離れ離れになっていた恋人に向けるようなものであり、抑えきれない喜びが溢れたものであった。
「今度は何の用だ」
「会いたかったから、呼んだのよ」
「ふざけるな! 今度は俺に何をするつもりだ!? とっとと人間に戻せ!」
幻月の回答を聞いて、銀月はそう怒鳴り散らした。
そんな彼に対して、幻月は不満げに頬を膨らませた。
「もう、せっかちね。私はもっと貴方とお話したいのに」
「このぉ……」
銀月は激しい憎悪を持って幻月を睨みつける。
自分を悪魔に変えようとしている相手が目の前に居るのに、何も出来ない。
そんな状況は、彼の怒りをいっそう燃え上がらせるのであった。
そんな彼を見て、幻月はうっとりとした表情で微笑んだ。
「ふふふ……いい眼をしているわ、銀月。まるで宝石みたい」
「……何?」
幻月の言葉に、銀月は怪訝な表情を浮かべる。
すると、今度は夢月が彼の顔を引き寄せ、その目を覗き込んだ。
「本当に、綺麗ね……キラキラ光って、透き通って……エメラルドグリーンの眼……」
「何だって……」
恍惚とした表情で銀月の頬を撫でる夢月に、銀月はその目を覗き込んだ。
するとそこには、金色の瞳の中にぼんやりと浮かび上がる、エメラルドのように輝く美しい双眸が映し出されていた。
それを見て、銀月は愕然とした表情で夢月を睨みつけた。
「俺に、俺に何をしたぁ!?」
「別に何もしてないわよ」
「嘘をつくな! お前達が何かしたから、俺の眼が……」
「本当に何もしてないわよ? 強いて言うなら、こうなるようにしたのは……貴方自身よ、銀月」
わめき散らす銀月に、幻月が彼の頬を優しく撫でながらそう口にする。
その言葉を聴いた瞬間、銀月の顔から表情が抜け落ちた。
「なにぃ……?」
「当然の結果よ。あれだけ月の狂気を受けて、あれだけ悪魔の力を使って大暴れすれば、悪魔に近づくのは当然の話でしょう?」
「今の貴方はすごく怒っているわ。そんな風に感情が高まったりすると、貴方の体の中の人間を超えた力があふれ出して、眼を翠色に染めるのよ」
「もう貴方が悪魔になるのは時間の問題よ」
「ふふふ、予定よりも早く一緒に暮らせそうね、銀月?」
楽しそうに笑いながら、夢月と幻月は銀月の身体の中で起こっていることを告げていく。
人間の身に余る力を思いっきり使って暴れた銀月。悪魔の力はその身体を通り抜けながら、人間の身体を着実に蝕んでいたのだ。
二人の悪魔は、待ち焦がれている相手が思ったよりも早く帰ってきそうであることに喜びを覚えているのだ。
「そんな……」
その一方で、銀月の口からは力のない声が零れる。
いくら自暴自棄になっていたとはいえ、自らのしたことで結果的に自分が最も避けたい事態の発生を早めることになってしまったのだ。
その事実は、銀月の心を深く傷つけるのであった。
「ああ、そんな顔しないで」
そんな銀月に、幻月は彼を身体ごと向き直らせてその頬を掴む。
「やめろ、触るなっ……」
銀月が抵抗しようとしたその瞬間、彼の唇は幻月に奪われた。
「ちゅっ、じゅる、はぁ……んっ、じゅっ、ん……」
幻月の口付けは激しかった。
彼の全てを吸い出そうとするかのように口を吸い、舌を噛み、自分色に染めようとするかのように自分の唾液を流し込む。
その一方的な蹂躙ともいえるような口付けは、彼女の持つ銀月への想いが爆発したものであった。
しばらくして、幻月は銀月から口を離して銀月を強く抱きしめた。
「私のもの……私のものよ……誰にだって渡すものですか」
「んんっ!」
幻月は自分の口の中を噛み切り、流れる血を銀月の口の中へ流し込む。
銀月は口を完全にふさがれており、その全てを飲んでしまう。
「独り占めは駄目よ、姉さん。私達は二人で……いえ、三人で一つでしょう?」
「んぐ!」
続いて夢月も同じように銀月に血を飲ませる。
口の中に落とされた血は喉を通って彼の体内に入り、身体の中を駆け巡っていく。
それと同時に、その眼の翠色の輝きが更に鮮やかなものとなって現れ始めた。
「一緒に……するなぁ!」
銀月がそう叫んだ瞬間、彼の身体から銀色の光が波動となって周囲に放たれた。
幻月達はそれを受けて、ふわりと受身を取って銀月から離れたところへ着地した。
「っと……まだ受け入れてくれないのね」
「あせることはないわ、夢月ちゃん。いずれは戻ってくるのだから、ね?」
「誰が戻るものか! 俺は人間だ、悪魔なんかじゃない!」
残念そうにする二人に、銀月はそう言って叫ぶ。
そんな彼に対して、夢月は不思議そうな表情で首をかしげた。
「どうして人間にこだわるの?」
「なに?」
「別に生きるために人間である必要はないでしょう? なのにどうして人間で居ようとするの?」
「俺は人間として生まれたんだ。そのままで居たいと思って何が悪い!」
「それは人間しか知らないからよ」
自分の思いの丈を叫ぶ銀月に、幻月は後ろから回り込みながらそう口にする。
それは銀月を諭すような言葉であり、母親が子供に呼びかけるような言葉であった。
しかし、その言葉は火に油を注ぐだけであった。
「黙れ! お前達に何が分かる!」
「ふふっ、分かるわよ。貴方のことなら何でも、ね?」
「ふざけ……」
「別にふざけてなんかいないわ。これは本当の話。全てが終わったとき、貴方は自分からここに来る。これは絶対に起こることよ」
怒りの収まらない銀月に、幻月は微笑みながらそう口にする。
それが逃れられない事実であると、その頃には彼が心変わりしているであろうことを確信しているのだ。
その言葉を聴いて、銀月は俯き深く肩を落とす。
「けど、今じゃないだろう?」
そうして紡がれた言葉は、先ほどまでと違った、余裕に満ちた言葉であった。
その声を聞いて、幻月の眼は大きく見開かれた。
「……誰?」
「銀月の別人格ってところさ。一応、月影って名乗らせてもらってるよ」
一転して険しい表情を浮かべる幻月に、月影は笑みさえ浮かべて応対する。
その彼の様子が気に食わないのか、幻月の表情はひときわ険しいものへと変わっていく。
「銀月をどこへやったの?」
「ちょっと眠ってもらってるだけさ。少しばかり、さっきのことはショックが大きかったみたいだしね」
「一体何の目的?」
幻月に続いて、夢月も警戒心を顕にしながら月影に問いかける。
やはり先ほどまでのどこか優しい表情ではなく、敵を見つめるような瞳であった。
そんな彼女達の様子に、月影は涼しげに苦笑いを浮かべた。
「随分邪険に扱うなあ。僕だって、銀月の一部なのに」
「黙りなさい。私が見守ってきた愛しい人は銀月なのよ。貴方なんかじゃない!」
幻月は月影に向かってそう叫ぶ。
その様子は子供を奪われた母親のようなもので、その目は激しい憎悪によって満たされていた。
「まあ、それもそうか。身体と精神が揃って初めて銀月という個になるわけだし。見た目が同じで中身が違うっていうのは、周りからすれば気持ちの悪いものだろうね」
そんな彼女の眼を見て、月影は笑みを崩さぬまま小さくため息をついた。
その言葉はまるで今の自分の存在を完全には認めておらず、いかにもこの身体が借り物であることを認めたような言葉であった。
その通常ではありえない精神構造をした少年の言葉に、夢月は怪訝な表情を浮かべた。
「貴方、何者? その精神、普通のものではないようだけど?」
「そうだね、確かに僕は普通じゃない。けど、当然だろう? 健全な身体には健全な魂が宿る。なら、そうでないものにはそうでないものが宿るはずさ」
「誰もそんなことは聞いていないわ。貴方は銀月の何!?」
はぐらかすような月影の物言いに、幻月は苛立ちを隠すことなくそう口にした。
それを受けてもなお、月影はその余裕の笑みを崩そうとしない。
「う~ん、そうだね……銀月の保護者その三、とでもしておこうかな?」
「保護者ですって……?」
「そう。あんまりあっさり銀月に壊れられても困るのさ。だから、少しばかり銀月の精神的なフォローでもしようかなってことでね」
「一体何をするつもり?」
またしてもはぐらかすような月影の言葉に、夢月はそう言いながら油断なく彼を見つめる。
感じられる力は銀月のものと変わらず、現状の自分達ならば対処しきれる。
しかし彼の底が見えないがために、うかつに動くことが出来ない。何故なら、彼の身体は恋人のように愛しい人のもの。攻撃を加えるということは、その身体に傷をつけてしまうことになってしまうのであるからであった。
それを知ってか知らずか、月影は一切表情を変えることなく話しをし続ける。
「ああ、別に銀月の悪魔化を食い止めようとかそんなんじゃないから。第一、それは僕にはどうにも出来ないことだし」
「茶化さないでくれる……? 目的は、何!?」
幻月は胸を強く押さえ、息を荒げながらそう口にする。
今まで抑えつけてきた怒りは爆発寸前であり、一刻も早く目の前の異物をどうにかしてやりたいという衝動にも似た欲求をこらえるのに必死であった。
それでもなお、月影の表情は変わらない。
「目的ねえ……強いて言うなら、時間稼ぎかな?」
「時間稼ぎ?」
「僕も銀月のことは気に入っていてね。人間の彼が、どこまで出来るのかを試したみたくもある。それに、銀月でないと出来ないことがあってね。僕としては、この機会を逃すわけには行かないのさ」
月影はそう言うと、身体から銀色の光の粒を振りまき始めた。
それは彼の周囲をまるで空を舞う粉雪のように音もなく漂い、彼を覆っていく。
「何をする気!?」
「ちょっと銀月に用があるんでね。それじゃあ……またね、二人とも」
月影がそういった瞬間、銀の光がはじけ、翠の水晶が彼を覆いつくす。
そして次の瞬間、その水晶は翠色の光を放ちながら音を立てて粉々に砕け散った。
「きゃっ!?」
「ううっ!?」
幻月と夢月は飛び散る破片に思わず眼を覆う。
そしてその手をどけたとき、彼の姿はそこから跡形もなく消え去っていた。
「くっ……逃げられた……?」
「夢月ちゃん、銀月の記憶は!?」
「大丈夫よ。何とかそれだけは抜き取ったわ」
焦りを含んだ幻月の声に、夢月は額に浮かんだ冷や汗を拭いながら自分の手のひらの上の物体を見せた。
そこには青白い霧のようなもので作られた玉が浮かんでいる。
それは紛れもなく銀月の記憶のかけらなのであった。それを見て、幻月は安堵のため息をつくのであった。
「姉さん、月影は一体何を考えているのかしら?」
「分からないわ、夢月ちゃん……でも、なんとなく分かることがあるの」
「何かしら?」
「彼、たぶん私達に対する敵意はないと思うわ」
幻月は自分が思うところを夢月に話す。
それを聞いて、夢月は怪訝な表情を浮かべて彼女のほうを向いた。
「どういうこと?」
「彼は保護者その三って言ったわ。一つはあの戦神とその仲間達。そしてもう一人は……たぶんだけど、私達のことを言っているような気がするのよ。それに、彼の言い方が何か引っかかるわ。それが何なのかは、よく分からないけど」
「それじゃあ、銀月じゃないと出来ないことは?」
「そこまでは分からないわ。けど、銀月を使って何か企んでるのは事実よ。少し、気をつけたほうが良いわね」
幻月はそう言うと、再び思考をめぐらせるのであった。
/
「う……うう……」
銀月が次に目を覚ましたとき、彼は銀色の大地に立っていた。
空には青みを帯びた銀色の満月が暗い夜空の半分を覆うほどの大きさとなって浮かんでおり、足元の白銀の草原の上にはところどころに翠色の水晶が輝いている。
その異様な光景を見て、銀月は混乱した様子で辺りを見回した。
「あ、あれ? ここはどこ?」
「やあ、お目覚めかい、銀月?」
横から声を掛けられて、銀月はそのほうを向く。
するとそこには、黒髪翠眼赤首輪白装束と、まるで鏡に映したかのように自分そっくりな少年が立っていた。
「君は……俺?」
「そういえば、こうして面と向かって話すのは初めてだね。僕は月影。君の内面に潜む人格の一人さ」
月影は旧来の友人のように銀月に挨拶をする。
その彼の名前を聞いて、銀月は思い当たる部分があってハッとした表情を浮かべた。
「月影……ひょっとして、この前の異変のときの?」
「ああ、そうさ。あれは僕さ」
銀月の質問に、月影は笑顔でそう答える。その笑顔には邪なものは無く、まるで弟を見守る兄のような表情であった。
そんな彼に対して、銀月は今一番気になっていることを聞くことにした。
「色々聞きたいことがあるんだけど、ここはどこ?」
「君の内面、眠っている君の身体の最深部、言ってみれば、ここは銀月という建物の中の会議室のようなもので、多重人格者である銀月がもう一人の自分と会うための場所さ。まあ、夢の中だと思ってくれればいいよ」
月影は銀月に向かって簡単にそう説明した。
自分の身体の中にそんなものがあると知って、銀月は興味深げに辺りを見回しながら口を開いた。
「夢の中……で、俺は何をすればいいのかな?」
「何かするのは僕のほうさ。これから、君に僕の技を教えて特訓しようと思ってね」
この空間に興味津々と言った様子の銀月に、月影は楽しそうに笑いながらそう口にする。
その言葉を聞いて、銀月は月影の話に再び耳を傾けた。
「特訓?」
「そう。たとえば、こんな奴」
月影がそう言って手を前にかざすと、その手からまるで全身がエメラルドで作られたような長剣が現れた。
そしてそれを振るうと、その刀身から翠色の衝撃波のようなものが生まれる。
それをみて、銀月は眼を見張った。
「それ、俺にも出来るの?」
「ああ。やろうと思えば今すぐにも出来る。だって、これは銀月の身体でやっていることだからね」
「でも、夢の中で特訓して、実際に使えるのかい?」
「使えるさ。だって、ここは君の肉体の最深部。つまり、僕が技を使えるってことは、君は身体のどこかでこの技を覚えてるってことさ」
エメラルドの剣を消しながら、月影は銀月にそう告げる。
その言葉は、間違いなく銀月にも同じことが出来るという確信に満ちていた。
「……ん~? でも、俺そんな技使った覚えないんだけどなぁ?」
しかしその言葉を聞いて、銀月は難しい表情を浮かべて頭を捻った。
身体が覚えていると言われても、その実感がまったく分からなかったのだ。
そんな銀月に、月影は苦笑いを浮かべて口を開いた。
「じゃあ、どうして僕が使えると思う?」
「えっと……君が使ってたから?」
月影の質問に、銀月は自信なさげにそう口にする。
その言葉に対して、月影は笑顔でうなずいた。
「そういうこと。実を言うとね、僕が出てきたのはあの時が初めてじゃない」
「……へ?」
「君が無我夢中で修行している間、ちょっと身体を借りてね。出来るかどうか試してたんだ。ほら、だから身体が覚えてて、一回実戦で使えただろう?」
銀月はその言葉を聞いて、心当たりを少し思い出してみる。
すると春雪異変で妖夢と一騎打ちをしたときに、自分の習得した覚えのない、相手の刀をすり抜ける技に思い至った。
「じゃあ、あのときの技は、君の技だったってこと?」
「そう。だから僕が使えるってことは、君も間違いなく使える。君はまだ、身体で覚えてる技を頭で知っていないだけさ」
月影はそう言いながら、収納札から鋼の槍を取り出した。
どうやら、銀月が一番得意としている武器での技から順番に教えていこうと考えているようであった。
そんな彼の様子に、銀月は自らが強くなれる機会に喜んでうなずいた。
「そっか……それじゃあ、よろしく頼むよ、師匠」
「よし、それじゃあ早速はじめようか」
月影のその言葉から、修行は始まった。
月影が技を見せ、その技を銀月が真似して的を打つという形の形式で行っていく。
「てやぁっ!」
目の前の藁人形に、銀月が槍を素早く突き出す。
棒で固定されているはずのそれは、突き出された槍によって大きく飛ばされる。
それは、まるで巨大な槌で殴り飛ばされたかのようであった。
しかし、それを見て月影は首を横に振った。
「違うよ。こうだ!」
月影はそう言うと、銀月が攻撃したものの隣の藁人形に技を放つ。
その槍は鋭く速く相手に向かって伸び、藁人形はボロボロと破片をこぼしながら吹き飛んでいく。その技は、明らかに銀月の技量を超えたものであった。
それを見て、銀月は腕を組んで考え込んだ。
「う~ん、おかしいなぁ……同じ身体でやっているはずなのに、何でこんなに違うのかな? 確かに、なんとなく使えることは分かるんだけど、君のものと比べると何かずれてるんだよなぁ?」
銀月は月影の動きを軽く真似しながら首を捻る。
月影の言うとおり、やってみればその技の再現は不思議と出来るのだ。しかし、それは月影の放つものと比べると明らかに劣っており、銀月にはその理由がよく分からないでいるのだ。
そんな彼に対して、月影は小さくため息をついた。
「それは君が理屈をちゃんと理解していないからさ。大体、君には動きに微妙な癖がある。自分の技がどういう理屈でそうなっていて、更に自分の癖がどういったものか理解できていないのなら、まともに出来るほうが不思議というものさ」
月影はそう言って首を横に振る。
どうやら、銀月の問題点はその意識に問題があると考えているようであった。
それを聞いて、銀月は不服そうな表情で月影を見やる。
「む……悪い癖はだいぶ潰してきたつもりなんだけどな?」
「君の場合、癖を潰してきたわけじゃない。あれは相手に合わせて戦い方を変えただけだ。それで癖を直したつもりになっているから、直るどころかまた別の癖がついてしまうんだ」
「それじゃあ、どうすれば良いのさ?」
「そういう時は、基本に立ち返るのさ」
「基本?」
「それぞれの武術の流派には、それぞれの思想があって、その思想に基づいた技術が編み出される。けど、どの流派にもここは大体同じっていう部分もある。それが、基本だ」
月影は銀月にそう説明する。
攻めを主体にした流派に守りを主体にした流派など、剣の道だけでもさまざまな流派が存在する。
それでも、各流派の間で見ても然程変わらない部分があり、それこそが基本だと月影は言うのだ。
それを聞いて、なおさら銀月は不服そうな表情を浮かべた。
「で、俺にはその基本が出来ていないって?」
「はっきり言えばそういう事さ。涼さんを思い出してみればいい。あの人は基本がしっかりしてるから、鬼の四天王にだって食いついていけるんだ。君、萃香さんには軽くあしらわれて終わりだろう?」
「基礎稽古はちゃんとやってるんだけどなぁ……」
実際、銀月は日々の基本稽古を欠かしていない。
毎日基本といわれる稽古をしっかりこなし、己を高めようと努力しているのだ。
しかし、その言葉にも月影は首を横に振った。
「それもちゃんとした要点が分かってないと意味がない。それどころか、妙な癖がついて逆効果になることだってある。その真髄を理解してこそ、初めて基本というのは成り立つのさ」
月影はそういうと、翠玉の剣を作り出して銀月に向ける。
それを見て、銀月は手にした鋼の槍を彼に向けて構える。
「論より証拠。基本に忠実な技が、どれくらいの威力があるか教えてあげるよ」
月影はそう言うと、静かに銀月に対して構えを見せた。
自分の喉元に合わせた、まっすぐな切っ先。
それを見るだけで、銀月は異様なほどの圧迫感を覚えた。
「……っ、攻め込めない?」
「来れないかい? それじゃあ、こっちから行くよ!」
月影はそう言うと、素早く踏み込んで銀月に切りかかった。
その剣は銀月の想像を超えた速度で、彼に向かって飛んできた。
「くっ!? 速い!」
銀月はそれに対して慌てて後ろに下がるしかなかった。
気を配っていたはずなのに、いつの間にか月影は自分の間合いの内側に入り込んでいたのだ。
「次はちょっと応用を利かせてみようか!」
月影は手にした剣を引っ込め、銀月の得意な武器である銀の札に持ち替えて接近戦を仕掛けてきた。
銀月もそれに素早く反応し、自分も銀の札を取り出してそれに対抗する。
「やっ!」
「それじゃあ当たらないさ!」
横になぎ払われる一撃を、月影はその場に立ち止まるだけで回避する。
銀月の札はその目の前を通過するだけにとどまり、彼には何のダメージも与えられなかった。
「てやっ!」
「まだ甘い!」
追撃してきた左手突きを、月影は若干後ろに下がりながら自分の左手を軽く前に出し、自分の外側へと受け流す。
「このっ!」
「そんなのが当たるかい?」
背面を取られる形となった銀月は、逆に勢いを利用して回転しつつ、下から掬い上げるようにして切り上げた。
対する月影は無理することなくそれを躱し、軽く引くことで銀月の間合いの外へと出る。
それからも、月影は銀月の攻撃のことごとくを躱し続けた。
どんなに攻撃を加えようとも、月影はそれをほんの少しの動作ですり抜けていく。
逆に銀月はふわふわとした相手の動きに微妙に軸をずらされ、その度に大きな動きをしなければいかなくなった。
しばらくして、銀月は大きく間合いを取って息をついた。
「はぁ、はぁ……くっ、同じ身体能力のはずなのに、何でこんなに当たらないんだ……?」
銀月はそう言って頭を捻る。
自分は今までずっと努力をしてきた。新しい技を覚えては実戦で使えるように練習し、身につけてきたのだ。
それでも勝てない相手は、確かに居た。しかし、自分と全く同じであるはずの相手に自分の技が少しも通用しないとなると、流石に訳が分からなくなるのであった。
そんな彼に、月影は鋼の槍を取り出して銀月に向けた。
「銀月。君は普段からすごく努力をして、色々な技を身に付けた。けど、君はそのそれぞれについて、一番大事な基本が少しおざなりになっているんだ。相手をかく乱しながらの攻撃、不意を突いた一撃。君の攻撃はこんなのばかりだ。その攻撃も中途半端。死角からの攻撃も、相手を仕留め切れないのなら意味がない」
「うっ……」
月影にそう言われて、銀月は思わず口ごもった。
自分の得意な攻撃は、確かに相手の意表をつくような技ばかり。おまけに、意表をついているはずなのにいつも仕留めきれていないのだ。
振り返ってみれば、自らが目標としてきた師である、真正面から確実に相手を仕留める父親からかなり遠ざかったところに立っていたのだ。
「まっすぐに相手を捉え、その上で仕掛けていく。この基本が出来てこそ、そういった戦い方が生きるんだ。君は少々強くなるのをあせりすぎだ」
月影はそう言いながら、静かに手にした槍を構えていく。
真っ直ぐに相手に向けただけの、基本に忠実な構え。
その構えは、銀月が嫉妬心を覚えるほど、彼が敬愛する戦神の構えと似通っていた。
「そらっ!」
「ぐっ!」
突き出された槍に、銀月も槍を取り出してはじき返す。
それから攻め込もうとするが、その前に月影は素早く手首を返して銀月の真正面にその穂先を向けた。
そしてただそれだけのことで、銀月は攻撃を諦めざるを得なくなった。
「相手の中心を制してしまえば、例え避けられても簡単に攻め込まれたりはしない。刀も槍も、体術だってその一点については同じだ。逆に中心から外れてしまうと、それは相手に隙を見せることになる」
「まだっ!」
月影の槍をはじき、素早くその懐に飛び込みながら札に持ち替え、攻め込んでいく。
「くっ……」
しかし、その攻撃は途中で止まってしまう。
自分の喉元にある札を見て、銀月は悔しげに月影を見つめる。
銀月の動きを見た月影は即座に槍を札に戻して、銀月の間合いの更に内側へと入り込んできたのだ。
月影の手は伸びきっておらず、自由が利く状態である。つまり、少しでも動けば即座に止めを刺される状態であったのだ。
「次に、間合いの取り方も甘い。槍の内側に飛び込んだら安全というわけでもないだろう? 自分の間合いはどこで、如何にしてそれを維持するか。読み合いは強いみたいだけど、読まれたときが脆すぎるね」
「……全部、基本だね」
銀月はそう言いながらうなだれる。
月影の行動はその口から出ていたことを徹底しただけの話である。
それに負けるということは、自分が十分だと思っていた基本の部分がまだまだ不十分だということになるからだ。
「そう。構え、型、基本稽古。その全ては、ちゃんとした理屈があるんだ。君は、そのあたりの認識が少し弱いんじゃないかい?」
「……そういえば、そんなことあまり考えたことなかった」
「でしょ? まあ、相手に合わせて器用に戦い方を変えられるんなら、理屈さえ覚えてしまえば直すことくらいは出来るさ。時間はかかるけどね」
月影はそう言いながら手にした札をしまう。どうやらこれで訓練を終わりにする様子であった。
そんな彼に、銀月は大きな疑問を彼にぶつけることにした。
「ねえ、月影。君は本当に何者なんだい?」
月影の肉体は銀月のものと共有である上に、表立って出てくることは少ない人格である。
その彼が自分よりも深い知識を持ちなおかつそれを実践できるというのは、銀月にとっては理解しがたい現象であった。
いぶかしげな表情を浮かべる銀月に、月影は意味ありげに笑った。
「反則使いの横着者ってところかな? 実際君に教えてることだって、その反則で出来ることだし」
「その反則がすごく気になるんだけど……」
「秘すれば花、秘さざるは花ならざるなり。そう言ったのは、君だったっけ?」
月影はそう言って楽しそうに笑う。
その言葉を聴いて、銀月は大きなため息をついた。
「……正確には、俺の言葉じゃなくて、世阿弥の言葉なんだけどね。いいよ、そういうことなら自分で考えるから」
銀月は投げやりにそう口にする。完全に手玉に取られて、少し拗ねてしまっているようであった。
そんな彼に、月影の笑顔が少し困った様子に変わる。
「こらこら、拗ねないの」
「拗ねてなんていませんよ~だ」
「一つヒントをあげるよ。僕はその反則があるから、君の真似だって出来るんだ。それっ」
月影はそう言うと、札からボールを三つ取り出してジャグリングを始める。
そしてそのうちの一つを空高く放り投げると、その場で宙返りをしながら残りの二つを上に放り投げ、最後に全てをキャッチした。
それを見て、銀月はますますふてくされた表情を浮かべた。
「はぁ……俺がそれ出来るようになるまで、どれだけ練習したと思ってるのさ」
「ふふふ……でも、身体は一緒なんだから出来ても不思議じゃないだろ?」
「そりゃそうだけど、何か納得いかないな」
銀月が月影にそういった瞬間、ガラスにひびが入るような音が空から聞こえてきた。
上を見上げると、紺碧に染まった空に白い光の筋が蜘蛛の巣のように張り巡らされ、段々と崩れ始めていた。
「な、何だ!?」
「う~ん、もう時間切れか。もっと色々話をしたかったけどな」
慌てる銀月の横で、非常に残念そうな表情を浮かべて月影はそう言った。
その言葉に、銀月は彼のほうを向く。
「時間切れ?」
「ここは夢の中。目が覚めればここには居られない。つまりもう目覚めの時間って訳さ」
銀月の言葉に、月影はそう言って笑う。
その様子は残念そうではありながらも、離れ離れになることへの悲壮感は全くなかった。
それを感じ取って、銀月も笑みを浮かべる。
「また来れるかい?」
「もちろん。君が望めばね」
「そう。じゃあ、また来るよ」
段々と崩れ落ちて白く染まっていく空を見上げながら、銀月はそう言った。
空からは崩れ落ちる夜のかけらが降り注ぎ、新しい朝が迫ってくる。
そんな中、月影は一つ伝えることを思い出して銀月に声を掛けた。
「あ、そうだ。僕のことはみんなには秘密にしておいてくれるかい? どうにも、僕は君の仲間にはよく思われていないみたいだし」
「分かったよ。それじゃあ、またね」
銀月がそういった瞬間、月影は夜の残骸に紛れて消え去るのであった。
「ん……うう……?」
目を覚ました銀月が最初に感じたのは、頭痛と暖かさであった。
昨夜死ぬほど酒を飲まされ、博麗神社に帰ってきてからそのまま布団の中に倒れこんだことを思い出す。
「あ、起きたわね」
そんな中、慣れ親しんだ声が頭の上から聞こえてきた。
その声に、銀月は違和感を持った。
何故なら、その声は非常に近いところから聞こえ、更にはその吐息すら肌で感じることが出来たからである。
「…………え? あれ?」
ぼんやりとした頭が覚醒してくるにつれて、銀月は自分が置かれている状況を認識し始める。
今、自分は何か柔らかくて暖かいものを抱きかかえている。それも、割としっかりと。
よく見てみると、目の前にあるのは赤い布であった。彼の使っている布団や枕の色は白であり、どう考えても日常の光景ではない。
銀月は小さく生唾を飲み込み、まるで錆びたロボットのようにゆっくりと声のした方を見上げた。
「馬鹿ねえ。こんなになるまで溜め込まなくてもよかったでしょうに」
するとそこには、まるで慈母のように暖かい表情を浮かべた霊夢の顔があった。
要するに、銀月は霊夢にしっかりと抱きついたまま眠っていたのであった。
それに気がつくと、銀月は大慌てで霊夢から手を離した。
「うわわわわわわ!?」
「逃がさんぞ」
銀月が布団から逃げ出そうとすると、突如として後ろから抱きしめられ、食い止められた。
後ろを見てみると、そこにはニヤニヤと笑う鬼の四天王の一人の姿があった。
どうやら、今日は三人で川の字になって寝ていたようであった。
なお、その後ろ側で顔が緑色になっている黒い戦装束の少女の姿が見えたような気もするが、銀月にはそれどころではなかった。
「え!? え!? 何やってんの、俺!?」
「何って、昨日あんた帰ってきてからも私のこと放そうとしなかったのよ? 眠ってからもずっとそのままだったし」
「あんた酔っ払うと本当に幼児退行するねぇ。いつもはあんなに大人なのにさ。行かないで……なんて目に涙を浮かべて抱きつくあんたなんて初めて見たよ」
「だから楽しいのよ。こいつの普段見せない部分が見れてね」
「へうあぁ……なんてこったい」
霊夢と萃香は銀月の頭越しにそう言って笑いあう。
どうやら昨日の自分は散々なまでに酔いつぶれて醜態を晒したようであった。
それを知って、銀月はずぶずぶと布団の中に沈みこんでいった。
「銀月……」
布団にもぐりこんだ銀月に、霊夢はにこやかに笑いながらその頭を撫でる。
それを受けて、銀月は何か嫌な予感を感じながらも、逃げようがないので素直に顔を上げた。
「な、なに?」
「『霊夢おねえちゃん』って言ってみなさい」
「な、何で……って、まさか!?」
そう言うと同時に、銀月の表情は凍りついた。
霊夢のその悪意にまみれた母性を感じる笑みから、自分が何をしでかしたのかを大体察したのだ。
それを聞いて、萃香は昨日の銀月を思い出してうなずいた。
「そういや言ってたねえ。霊夢のこと、お姉ちゃんみたいだって」
「かぁ~っ! 何口走ってんだ、俺は!?」
「昨日あんなに呼んでくれたじゃない? さあ、早く言ってみなさい?」
自分のやらかした失態に悶える銀月に、霊夢は彼の顔を左手で持ち上げて自分に向け、頬を撫でながらそう口にする。
その様子は完全に楽しんでいる様子であり、如何にも銀月の姉のような態度であった。
対する銀月は、逃げたくても霊夢と萃香の二人に押さえ込まれていて逃げられず、観念するしかなかった。
銀月は耳まで真っ赤になりながら、ゆっくりと口を開いた。
「れ、霊夢……お姉、ちゃん……」
銀月は銀月は蚊の鳴くような小さく震える声でそう言った。
あまりの恥ずかしさに視線を合わせることも出来ず、ただでさえ小さな声が段々と尻すぼみになっていた。
「にしし、よく言えました♪」
「真っ赤になっちゃってまあ。かっわい~♪」
羞恥に震える銀月を見て、霊夢と萃香は満足そうに笑って銀月の頭を撫で回した。
そんな二人の様子に、銀月はふてくされた様子で口を開いた。
「……そっか。確かに姉さんみたいだ。今の霊夢、ルーミア姉さんそっくりだ」
「……げ」
銀月のその言葉を聴いた瞬間、霊夢は凍りついた。
何故なら、霊夢からしてみればルーミアは幼馴染である銀月をあの手この手でえらい目にあわせる不逞の輩で、日ごろからこうはなるまいと思っていた相手であるからであった。
そんな彼女に、萃香は興味深げな視線を送った。
「ほほ~う。つまり今のままいくとそのうち霊夢は銀月にセクハラをし始めるわけだね」
「……そうなったら、俺は本当に貞操の危機だよ……」
銀月はそう言いながら、もぞもぞと布団から出ようとする。
今度は二人とも捕まえる気は無いようで、すんなり出ることが出来た。
それと同時に、霊夢は銀月に抗議すべく勢いよく起き上がった。
「そこまではしないわよ! まったく、あれと同列に扱われるのは勘弁してほしいわ!」
「そこまでしなくても、途中まではするんだね?」
「お黙り!」
おちょくってくる萃香に、霊夢はそう言って怒鳴り散らす。
「……ちょっと朝の修行してくる」
そんな二人を尻目に、銀月は神社の境内へと出るのであった。
昇り始めた朝日を浴びながら石畳の参道へと歩き、神社の拝殿に向かって礼をする。
神社に祭られている神の名は分からないが、それでも彼はこの名も知らぬ祭神に対して敬意を持っているのだ。
銀月は顔を上げると、収納札から姿見と鋼の槍を取り出し、姿見に映った自分に向けて静かに構える。
思い出すのは、自分と同じはずの、自分よりもずっと格上の相手。
その姿を思い出しながら、鏡の中の自分を銀月は見つめた。
「……月影、か。あの感覚、忘れないようにしなきゃ」
そう言うと、銀月はその朝の稽古を構えの矯正に費やしたのであった。
……彼は気づいていない。
鏡に映る茶色いはずの自らの眼が、漆黒に染まり始めていることに。
夢幻姉妹再び登場の巻。
ブチギレる銀月に対しても、安定の病みっぷりです。
そしてその口から放たれる、衝撃の事実……って訳でもないですね。
単純に、暴走の代償を払わされただけですし。
そして、今回の主役、月影さんのご登場。
銀月の救出と、その後の特訓の師匠をやることになりました。
銀月と同じ身体で、銀月をはるかに凌駕する知識と技量を持っています。
はてさて、月影の言う『反則』とは、一体なんでしょう?
そして最後に、銀月の失態。
以前より、ちょっとだけ肩肘張ることが少なくなりました。
……それにしても、少々幼くなりすぎな気がしますが。
そんな銀月に、悪乗りした霊夢と萃香は大はしゃぎです。
では、ご意見ご感想お待ちしております。