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銀の槍のつらぬく道  作者: F1チェイサー
萃まる力と夢現
140/175

萃夢想:紅白の巫女、手がかりを探す


 紅魔館の朝。それは少々騒がしく始まった。


「うー……私が何をしたって言うのよ……」


 先程まで有無を言わさず攻撃を受けていたレミリアは、その理不尽さに涙眼になりながら攻撃を仕掛けてきた相手を睨む。

 一方、それを聞いてその相手たる紅白の巫女は不満げな表情を浮かべた。


「何よ、同居人の就労環境の改善を求めちゃ悪いの?」

「ただでさえ週休三日もあげてるのに、もっと増やせって言われても無理よ! 大体、その条件を提示してきたのは銀月本人なのよ!? 本人の希望に応えてあげてるんだから文句は無いはずでしょ!?」

「……むぅ」


 レミリアの言い分に、霊夢はぷくっと頬を膨らませた。どうやらもう交渉に切れるカードが無い様である。

 そんな二人の前に、メイド長が食事を並べながら話を始めた。


「それはさておき、本当に銀月はどこに行ったんでしょう? メイド妖精達も指揮官の行方不明を知って混乱してますし……」

「そういえば、メイド妖精の姿を見ないわね。どこに行ったのかしら?」

「今朝から総出で銀月を捜し回っていますよ」


 極端なまでに静かな周囲の様子に関するレミリアの質問に、咲夜がため息混じりに答えを返す。

 現在、紅魔館に残っているのはレミリアとフランドール、それに咲夜と図書館の留守を任されている小悪魔だけであった。

 それを知って、レミリアは頭を抱え込んだ。


「ねえ、私ってメイド妖精にとっては執事以下の価値なの?」

「銀月はメイド妖精達の胃袋を完全掌握していますからね……銀月のお菓子一つで、やる気が全然違いますし」


 普段、メイド妖精達はそこまで仕事熱心ではなく、自分の周りのことしかしないのである。

 そんな彼女達も、銀月が居ると彼の指示をしっかりと聞き、しっかりとメイドとして機能するのである。自分の欲求に忠実な妖精は、銀月の作る菓子を目当てに一生懸命になるのだ。

 よく働いたものにはそれ相応の賞与を与える、人身掌握術の基本を実践した結果であった。

 その事実を聞いて、レミリアは憂鬱なため息をついた。


「……つまり、うちのメイドはどこぞの巫女と同じようになってしまったと」

「真面目に働くようになった分マシですわ」

「……あんたら、私に喧嘩売ってる?」


 主従の会話に、霊夢がジト眼で二人を見ながら御幣を握る。

 それを見て、これ以上暴れられては面倒だと感じたレミリアは話題の転換を図ることにした。


「ところで、貴女達は昨日どこを捜してたのかしら?」

「昨日は捜し始めるのが遅かったですからね……人づてに捜そうと思って、人狼の里に行きました」

「結局、ギルバートもあの魔女も銀月の居場所を知らなかったわよ」


 咲夜と霊夢はレミリアに昨日の成果を簡単に報告した。

 それを聞いて、レミリアは首をかしげた。


「あんた達、銀の霊峰には行かなかったのかしら?」

「いえ、まだですね。そもそも、そこに行くというのならば事前に連絡があるはずですし、報告義務は一昨日に済ませているはずですよ?」

「そうとも限らないわよ。銀の霊峰にはあのピエロが居るわ。何かにかこつけて周りを驚かせようとするあいつが、銀月を隠して事態を引っ掻き回している可能性も十分あるわよ」


 咲夜の言い分にレミリアはそう言って反論する。

 実はそれほど大きな騒動にはなっていないが、銀の霊峰の道化師である愛梨は退屈になるとちょっとした悪戯を仕掛けることがあるのだ。

 ついこの間も、レミリアの部屋が一面プリンで埋め尽くされたばかりであった。

 それを聞いて、霊夢が小さく頷いた。


「銀の霊峰ね……今のところ、手がかりはそれしかないか」

「分かりました。では、行ってまいります」

「ええ。さっさと銀月を連れて帰ってらっしゃい」


 レミリアはそう言うと、目の前に並べられた食事に手を伸ばすのであった。





 新緑が広がる裾野と、まだ山頂付近に雪が残っている山頂部と、二つの対照的な顔を見せている銀の霊峰。

 その空に、札とナイフの弾幕が飛び交っている。それぞれの弾丸は向かってくる妖怪たちに次々と突き刺さり、相手を撃退していく。


「全く、ここの妖怪は血の気が多くて困るわ」

「歓迎は嬉しいけど、服が汚れないかどうか心配だわ」


 霊夢と咲夜は襲いかかって来る妖怪達を軽くあしらいながら、山頂にある社へと向かっていく。

 するとその中腹で、二つの影がぶつかり合っているのが見えてきた。


「せやっ!」

「ふっ!」


 一人は日本刀を手にした銀の髪の少女。もう一人は赤い漆塗りの柄の十字槍を持った黒い戦装束の少女であった。

 二人は霊夢達がやってきたのに気づくと、戦闘を中断してその方を見た。


「あれ、霊夢さんに咲夜さん? どうしてここに?」

「そういうあんたこそここで何してるのよ?」

「仕事が一段落して時間が空いたので、ここに来て涼さんに稽古をつけてもらってるんですよ」


 普段から、妖夢は時間が空いたら銀の霊峰まで足を運んでこうして稽古をつけてもらっている。

 その時は、将志や涼と地稽古をしたり、銀月が居合わせたりすると本気で勝負をしたりすることもあるのだった。

 今日は涼が妖夢の相手をしているようである。


「それで、お二方は何故ここに来たんでござるか? 正直、ここに来る用が思いつかないんでござるが……」

「銀月がどこに行ったか分からなくなったのよ」

「仕事だって言うのに紅魔館にも来ないし、連絡も無し。それで、ここにくれば何か分かるんじゃないかと思って」


 涼の質問に、霊夢と咲夜はそれぞれの事情を説明する。

 それを聞いて、涼と妖夢は顔を見合わせた。


「涼さん、銀月さんってここに来ましたか?」

「いや、来てないでござるよ。しかし、銀月殿が……あ~……何となく予想はついたでござる」

「本当?」

「うむ。恐らく、攫われたんでござろうなぁ……」


 涼は苦い表情を浮かべながら、二人にそう告げる。

 それを聞いた瞬間、霊夢の眼の色が変わった。


「攫われたですって!? いったい誰に!?」

「それは……むぐっ!?」

「おおっと♪ 喋っちゃダメだよ、涼ちゃん♪」


 掴みかからんばかりの勢いで問いかける霊夢に涼が答えようとすると、突然その口は手で塞がれた。

 その手は、オレンジ色のジャケットにトランプの柄が入った黄色いスカートをはいたピエロの少女のものであった。

 霊夢はその笑顔のピエロをにらみつける。


「ちょっと、邪魔しないでよ!」

「キャハハ☆ 焦っちゃダメだよ、霊夢ちゃん♪ まずは、うきゃあ」


 愛梨が霊夢に話しかけようとすると、霊夢は突然愛梨に向かって針を撃ち出した。

 その攻撃を、愛梨は素っ頓狂な驚きの声を上げて身を躱す。


「あんた、よく見たらこの前銀月にちょっかい掛けてくれたピエロじゃない……そう、あんたが犯人のピエロね。なら、さっさと退治して返してもらうわ!」


 霊夢は愛梨の顔に描かれた赤い涙と青い三日月を見て、レミリアの言っていたピエロであることを確信したようである。

 霊夢は自らの生活を脅かす敵に向かって、容赦なく全力で攻撃を放っていった。


「わわわ、待って待って待っ~て! だからちょっと落ち着いてってば♪」

「うるさい! 黙って退治されなさい!」


 事も無げに攻撃を躱していく愛梨を見て、霊夢はその攻撃を更に苛烈なものにしていく。

 愛梨の目の前には、どう避ければいいのか分からないほどの弾幕が展開されていた。

 しかし、突如として一筋の銀色の線が走り、霊夢の弾幕はばらばらに千切れてしまった。


「……っ」

「噂には聞いてましたけど、今代の巫女は随分と乱暴ですのね」


 目の前で起きた出来事に身構える霊夢の前に、赤い長襦袢と藤色の帯をつけた長く美しい銀色の髪の女性が現れた。

 その手には一本の包丁が握られており、どうやらそれで霊夢の弾幕を切り裂いたようである。

 現れた闖入者に、霊夢の怒りの矛先がそちらへと向かう。


「何よ、あんたも私の邪魔をする気? こいつを退治して銀月を返して貰うんだから、邪魔しないでよ!」

「抜け抜けとよくも……元はといえば、貴女が銀月を半ば強引に連れて行ったのではなくて? 返せというのは、むしろこっちの台詞ですわよ」


 霊夢の言葉に、六花は冷ややかな視線と共に返事をする。

 それを聞いた瞬間、霊夢の中で何かが音を立てて切れた。


「うるさい! まずはあんたから退治してやる!」


 激昂した霊夢は、六花に向かって攻撃を仕掛けようとする。


「やって御覧なさい。出来るものならですけど」


 それに対して、六花も戦闘態勢に入り霊夢を迎え撃とうとする。


『動くな!!』


 そこに涼の声が響き渡り、それと同時に涼以外の動きが止まる。

 霊夢と六花が動けなくなったのを確認すると、涼は大きなため息をついた。


「全く、売り言葉に買い言葉でござるな。六花殿、いくらなんでもその物言いは大人気ないでござるよ」

「……はぁ、確かにそうですわね。ごめんなさいね。でも、一度は言っておきたかったんですの」


 涼の物言いに、六花は渋々といった様子でそう言った。

 しかし、それは害意が無くなったと言うよりも興が冷めたと言う様な様子で、霊夢に敵意が無くなった訳ではなさそうである。

 それを見て、涼は全員を解放して霊夢達の方へと向かった。


「霊夢殿も、もう少し冷静に考えて欲しいでござる。そもそも、拙者達が銀月殿を攫ったところで全く意味がないんでござるよ。休ませるにしても、真面目なお師さんが仕事を強引に休ませるようなことを許すはずがないでござる。愛梨殿の享楽なら、なおさらのことでござるよ」

「確かに……将志さんが黙っているとは思えないわね……」


 涼の主張に、咲夜がそう言って考え込む。

 涼の言うとおり、銀の霊峰の妖怪が犯人であるならば将志が黙ってみているはずが無いのだ。何故ならば、銀月は紅魔館の吸血鬼であるフランドールと相互監視の状態にあり、それから外れてしまうことになるからである。

 それを聞いて、霊夢は少し苛立たしげに涼を見やった。


「それじゃあ、誰が犯人だって言うのよ?」

「それは内緒だよ♪ でもでも、一つだけヒントをあげるよ♪」

「ヒント?」

「そ♪ 犯人はね、幻想郷中に居るんだよ♪ これがヒントさ♪」


 愛梨はとても楽しそうに霊夢達にそう話した。その様子はまるでゲームを楽しんでいるような無邪気なもので、銀月を心配している様子は全く無い。

 その発言に対して、涼はうなずいた。


「確かにその通りでござるな。というか、時折まとわりつくような視線を感じるでござるよ……」

「まあ、涼はあの子のお気に入りですものね。仕方のないことですわ」


 少し冷や汗を流す涼の発言に、六花が苦笑いと共に頷いた。

 それを聞いて、妖夢が首をかしげた。


「あの、涼さん? 銀月さんを攫った犯人と面識があるんですか?」

「……嫌というほどにあるでござる。あの御仁には何度泣かされたことか……」

「ちょっと、それじゃあ全然分かんないわよ! もっと具体的に言ってよ! 名前とか!」


 涼は何を思い出しているのか、ほろりと涙をこぼしながら妖夢の質問に答えた。

 そんな涼に、業を煮やした霊夢が怒鳴り散らすように問い詰めようとする。

 すると、横から六花が呆れ顔で声をかけてきた。


「そこから先は自分で考えてくださいまし。異変の解決は巫女の仕事なのでしょう?」

「え、異変が関係してるの?」

「異変って……この周囲を漂ってる妖気のことかしら?」


 六花の発言に、霊夢と咲夜がそう問い返す。

 それを聞いて、六花は呆れ顔で大きなため息をついた。


「それ以外に何があるって言うんですの? けど、確かにそこまで被害を出すような異変じゃありませんし、貴女方が見逃していても不思議ではないですわね」

「何をのんきなこと言ってるんですか! 人攫いが発生してるのに、被害が出ていないわけが無いでしょう!」


 六花の物言いを聞いて、妖夢が身を乗り出す勢いで六花にそう言い放った。

 それに対して、涼は黙って首を横に振った。


「妖夢殿。拙者達、銀の霊峰は異変の際は全く動けない決まりでござる。よっぽど特別な事情がない限りは、拙者も動けぬでござるよ」

「だからって、銀月さんがどうなっても良いんですか!?」

「キャハハ☆ ずいぶん必死だね、妖夢ちゃん♪ どうしてかな?」

「あっと、それは……」


 やたらと食いついてくる妖夢に、楽しそうに笑いながら愛梨が問いかける。

 すると途端に妖夢の態度が小さくなり、何やらごにょごにょと口ごもり始めた。

 その様子を見て、咲夜は苦笑いを浮かべた。


「……ひょっとして、銀月のほっぺをむにむに出来ないから?」

「あう……だって、気持ちいいんですもの」


 咲夜の言葉を聞いて、妖夢は頬を赤く染めて少し言いづらそうにそう口にした。

 それに対して、咲夜は苦笑いを崩さずに頷いた。


「まあ、分かるわ。私もよく頭を撫でたくなるもの。それに、撫でられてるときの銀月ってすごく可愛いのよね」

「そうですよね! あの安心しきった表情とか、何というか、無性に庇護欲に駆られるというか……」

「あのトロンとした目つきとか、時々上げる気持ち良さそうな声とか、撫でるのを止めた時の切なそうな眼とかもぐっと来るのよね」

「可愛いですよね~。もし銀月さんが動物だったら、迷わず飼ってますよ」


 咲夜と妖夢は二人して撫でられているときの銀月について語り合う。

 特に妖夢などは、余程銀月のことが気に入っているのか、うっとりとした表情を浮かべていた。

 そんな二人の話を聞いて、涼が乾いた笑みを浮かべて頬をかきながら口を開いた。


「……六花殿。銀月殿はいつから愛玩動物になったのでござるか?」

「な、何で私に話を振るんですの?」

「六花殿なら、銀月殿をああいう風に調教していてもおかしくないでござるからなぁ。お師さんを天然誑しに仕立て上げた実績もあることでござるし、自分好みの性格になるようにあれやこれや……」

「いくらなんでも人を愛玩動物扱いする趣味はありませんわ! と言うか涼、貴女とは一度じっくり話し合う必要がある様ですわね?」


 にこやかに笑いながら語られる涼の言い分を聞いて、六花はがーぁっとまくし立てるように抗議をした。

 流石に、その手の趣味があるとは誤解されたくなかったようである。

 その二人のやり取りを聞いて、霊夢がふと思いついたように口を開いた。


「そういえば、銀月のお父さんはどこに行ったの?」

「お兄様なら、今日の仕事をしに人里に行きましたわよ? それがどうしたんですの?」

「お父さんなら、銀月を捜し回って色々知ってるんじゃないかと思ったのよ」


 霊夢のその意見を聞くと、咲夜と妖夢は納得して頷いた。


「ああ、将志さんなら確かに知ってそうね。銀月のことが掛かってるし、ここよりはヒントをもらえそうね」

「あ、それなら私も行きます。銀月さんが居ないと困る人も多いですし」

「と言うより、私達が困っている最中よ」

「とにかく、早く人里に行って銀月のお父さんを捜しましょ」


 こうして妖夢を加えた三人は、将志を捜しに人里へと向かうのであった。




「そっち、居た?」

「いいえ、見つからなかったわ」

「こっちにも居ませんでした……」


 人里に着いてから、三人はしばらく将志を探し回った。しかし目的の人物の姿は無く、結果は空振りのようであった。

 三人が途方にくれていると、一つの人影が三人に向かって近づいてきた。


「ん? アンタ銀月が居候してるとこの巫女じゃねえか。なあ、銀月知らねえか?」


 赤いサングラスを掛けて青い特攻服を着て腰に白鞘の刀を刺したその人物は、三人の内の霊夢に声を掛けてきた。

 どうやら飲み物を売っているらしいその姿を見て、霊夢は首をかしげた。


「……あんた、誰だっけ? 銀月の知り合い?」

「そういや、まともに挨拶すんのは初めてだな。俺は轟 雷禍だ」


 霊夢の反応に、雷禍は思い出したように自己紹介をした。

 その名前を聞いて、妖夢は心当たりがあったらしくぽんと手を叩いた。


「ああ、銀月さんのお弁当を売ってる売り子さんでしたね。どうかしたんですか?」

「どうしたもこうしたもねえだろ。銀月が行方不明になったせいで、弁当の入荷がねえんだ。必然的にそれを売ってる俺達の稼ぎも減っちまうんだよ」


 雷禍はそう言いながら、小さくため息をついた。

 彼が普段販売している弁当は、その全てが銀月の手によってその日の朝に作られているのだ。当然、行方不明になっている以上、その供給は完全にストップしてしまっている。

 それにより、それを売っている雷禍の仕事まで影響が出てしまっているのだ。

 それを聞いて、咲夜は苦笑いを浮かべた。


「ここにも銀月の影響が出てるのね……すごい影響力ですこと」

「ここにもっつーことは、アンタ等も銀月が居なくなって迷惑をこうむっている口か?」

「そうよ。銀月が居ないとうちでご飯が食べられないし」


 雷禍の発言に、霊夢は即座にそう言い返した。

 それを聞いて、雷禍は霊夢に微妙な目線を送った。


「……自炊する気ねえのな」

「少しの食材も無駄にしないという気持ちの表れよ」

「物は言い様ね」

「お黙り」


 横から茶々を入れてくる咲夜に、霊夢はどすの効いた声で言い返すのであった。

 そんな彼女達を差し置いて、妖夢は雷禍に質問をする。


「雷禍さん、将志様を見ませんでした? 銀の霊峰でここに居るって話を聞いたんですけど」

「将志の兄貴か? あいつなら香霖堂に行くって言ってたぜ。今日の仕事は終わりなんだとよ」

「香霖堂ねぇ……銀月を捜しに行ったのかしら?」

「そういう訳じゃなさそうだぜ。俺が銀月の居場所を訊いたら、何か知ってそうな雰囲気だったからな」


 雷禍は将志の様子を思い出しながら、妖夢の質問に答えていく。

 するとそこに、新たな人影が現れた。


「ああ、ここに居たのね、雷禍」

「ん?」


 雷禍がその声に振り向くと、桃色の髪の少女が立っていた。

 その姿を見て、雷禍は少し固まった後で返事を返した。


「……よお、幽々子。また会ったな。今日は何用で?」

「貴方とちょっとお話しようと思って、ここに来たのよ」

「俺一人のためにここまで来るたぁ、そりゃご苦労なこって。で、何の話をするんだ?」


 笑顔で話しかける幽々子と、若干呆れ顔の雷禍。

 そんな二人の様子を見て、妖夢が横から声を掛けた。


「あの、幽々子様? 雷禍さんとお知り合いなんですか?」

「あら、妖夢も居たの。ちょっと良いかしら?」

「え? はい、良いですけど」


 幽々子は妖夢が頷くのを確認すると、雷禍から少し離れた位置まで移動した。

 その行動に、妖夢は首をかしげた。


「どうかしたんですか、幽々子様?」

「……彼、どうも私に何か隠してると思うのよね」

「はい? 何でそう思うんです?」

「私と話すときだけ態度が違うのよ。他の人には遠慮なく話しかけるのに、私と話すときだけほんの少しだけど余所余所しいのよ」

「そうですか? 私は特にそんな風には感じませんけど……」


 幽々子の発言に、妖夢はどうにもピンと来ない。雷禍は周囲のものに比べると、トップクラスに友好的であるからであった。

 そんな妖夢に、幽々子は確認をするように質問をした。


「妖夢、貴女は雷禍に自分から話しかけたことはあるかしら?」

「いえ、滅多にありませんよ。雷禍さん、職業上自分から話しかける方が多いですし……雷禍さん、すごく眼が良いんですよね。こちらが気づく頃には、もうこっちに向かってきてますし」


 事実、雷禍は人混みで知り合いを見つけるのが非常に上手い。

 弁当を売りながら周囲をくまなく見渡し、知り合いの顔を見つけては声を掛けて、腹が減っているようであれば売り込みに行くのだ。

 それを聞いて、幽々子は頷いた。


「でしょう? ところが、私は一度も彼に話しかけられたことが無いのよ。ここ最近知り合ってから、一度もね」

「それ、単純に雷禍さんに会わなかっただけじゃないんですか?」

「いいえ、私から話しかけているのよ。それも、見つけたときはいつも私からだいぶ離れたところに立っているわ。どうにも避けられている気がしてならないのよ」


 幽々子の主張を受けて、妖夢は考え出した。

 幽々子の髪は桃色であり、着ている服や帽子などと合わさって、かなり目立つ服装である。おまけに弁当を売る立場の雷禍ならば、大飯喰らいの知り合いである幽々子は上客に当たるはずなのだ。

 そして雷禍の接客能力から行けば、周囲を見渡している間にほぼ間違いなく目に入り、一直線に売り込みに行ってもおかしくは無い。

 しかし、雷禍はそんな幽々子からいつも遠い位置に立っており、声を掛けることがないという。

 そこから出た妖夢の結論は、幽々子とほぼ同じであった。


「……流石にそれはおかしいですね。幽々子様は目立たない服装をしているわけでもないですし、知り合いなら話しかけて売りに来ますよね。雷禍さんなら、全く気づかないということはないでしょうし……でも幽々子様、何でそこまで彼に構うんです?」

「どうにも初めて会った気がしないのよ。初めて会ったとき、何でか知らないけどとても懐かしいと思ったのよ。それがどういうことだか、すごく気になるわ」


 幽々子はそう言いながら、霊夢たちと話している雷禍に向ける。


「そういえば、いつも貴方の相方の方が売り終わるのが早いわね。これはどうしてかしら?」

「そりゃあ、あいつは反則使ってるからな。自分の能力で相手の腹具合と台所事情を看破して確実に売りに行くとか、ひでぇチートだぜ。そうでなくても、あいつは腹の減っている人間の心理を突いて、よく売れそうな場所を選んでるからな。窓際族っつってたけど、セールスマンとしちゃ滅茶苦茶有能なんじゃねーの?」

「具体的にはどんな感じなの?」

「例えば、定食屋の前の通りを歩きゃ、腹が減ってる奴は多いだろ? そいつらを狙うんだよ」

「でも、定食屋に入ればすぐに食べられるじゃない」

「まあ、そうだわな。でもな、善治はそこで一言つけるんだよ」

「一言?」

「あいつはな、その日人里のどこで食えば一番気持ちよく弁当が食えるかを、完璧に下調べしてんだよ。いっぺん、奴が紹介した場所に行ってみたら、どいつもこいつも奴が売っていた弁当を持っていておでれーたぜ」


 雷禍は霊夢達に、善治について話をしている。

 その様子は、言われて見れば幽々子と話すときよりもリラックスできているように見えた。

 そんな彼を、幽々子は不思議そうに、そしてどこと無く寂しそうに眺めているのであった。


「成程……よくは分かりませんが、それで最近よく人里に行くようになったんですか。確かに幽々子様を避けているのは明白ですね。問い詰めてみますか?」

「ダメよ、妖夢。彼のことだから、きっと問い詰めたところでのらりくらりと躱されるわ。だから、これに関しては私がじっくりとボロを出すまで話をするわ」


 刀の鍔に親指が掛かった妖夢に、幽々子はそう言って首を横に振った。

 それを聞いて、妖夢は居住まいを正す。


「そうですか。では、私は引き続き銀月さんの捜索に行きますね」

「そう。頑張ってね」

「はい。それじゃあ、行ってきます」

「行ってらっしゃい」


 妖夢はそう言うと、どうやら話し終わって自分の事を待っているらしい二人の元へと向かった。

 それを見届けると、幽々子は雷禍の元へと向かった。


「雷禍、貴方は最近幻想郷に来たばかりだったわね。外の世界の話を聞いてみたいわ」

「……外の世界の話ねえ。そんなら、この仕事が終わるまで待ってな」

「あら、それなら相方に投げちゃえばいいじゃない。ちょっとそこの貴方」


 幽々子はそう言いながら、こちらに向かって来ていた黒縁眼鏡でワイシャツにスラックス姿の青年に声を掛ける。

 すると、彼は幽々子に気づいてその方を向いた。


「ん? ああ、あんたか。俺に何の用だ?」

「雷禍を借りていくから彼の分まで頑張ってちょうだい」


 幽々子はそう言いながら、雷禍の肩に掛かっていた籠を善治に押し付けた。

 突然のその行為に、善治の眼が点になる。


「な!?」

「悪ぃな、善治。後で飯奢ってやるから、勘弁してくれ」


 逃げられないように幽々子に服の裾を掴まれながら、雷禍は軽い口調でそう言い放つ。

 それを聞いて、善治はジト眼を雷禍に向けた。


「……嘘だったら、ただじゃ置かねえからな」

「わ~ってるって」

「……ちなみにこの間の約束破りは、お前の隠し本棚の本を六花さんに渡すことで蹴りをつけたからな」

「HEEEYYY! あァァァんまりだァァァァ!」

「きゃっ!?」


 善治の突然の告白を聞いて、雷禍はその場に泣き崩れた。

 周りの目を気にせずに大声で泣く雷禍に、幽々子も思わず驚いて雷禍から手を離す。

 その様子を見て、しばらくしてから善治は苦笑いを浮かべてため息をついた。


「冗談だ。アンタ約束破ってないし」

「おう、知ってる」


 善治の一言に、雷禍は一瞬で泣き止み、スッキリした表情で立ち上がる。どうやら今までのは嘘泣きのようであった。

 その様子を見て、再び幽々子は雷禍の服の裾を掴んだ。


「それじゃあ行くわよ、雷禍」

「あいあい」


 二人はそう言いあうと、人里の人混みの中へと消えていった。

 なお、雷禍はその後散々に引っ張りまわされ、飲食店での臨時バイトが三軒ほど増えたという。





 一方、霊夢達が向かっている香霖堂では、店主である霖之助が久々の客を相手していた。


「なあ、香霖。それは何だ?」


 その客である魔理沙は、霖之助が手帳に記録している筆記用具を見てそう声を掛ける。

 その筆記用具は透明な本体で、中には鉛筆の芯のようなものが刺さった白い台座がいくつも繋がって見えていた。


「これはロケットペンシルだ。物を書くときに使うんだ。鉛筆みたいなんだけど、先が丸くなってきたら前のを引き抜いて後ろから戻すんだ。すると、先の尖った芯が出てくるって寸法さ」

「へえ、それは便利だな」

「言っておくけど、これは非売品だぞ。これはその機能もさることながら、興味深いのはその材質さ。こんなに軽いのに、ガラスみたいに透明で、おまけに丈夫な素材なんて僕は知らない。なのに、外から来る物にはこの材質が沢山使われている。つまり、外の人間はこの素材をすぐに手に入れることが出来て……」

「あ~要するに、このよく分からない素材が外の世界じゃ珍しくもなんとも無いってことだな」


 霖之助の説明を、魔理沙は自己完結して出した結論をぶつけて強引に終わらせる。

 それを聞いて、霖之助は不満げに魔理沙を見やった。


「……まあ、そういうことだ」

「ねえ、魔理沙。これとかどうかしら?」


 霖之助と魔理沙が話をしていると、奥から金髪で青い服を着た人形遣いの少女がやってきた。

 その手の中には、何やら細長い箱の中に薄い板状の物が詰まっている品物があった。


「ん? 何だそりゃ?」

「ああ、それはパンチガムだね」

「パンチガム?」

「まあ、一枚取ってみてちょうだい」

「ああ」


 魔理沙は言われるがままに、アリスに差し出されたガムを取ろうとする。

 すると取ろうとした魔理沙の親指に、バネ仕掛けの板が勢いよく振り下ろされた。

 バチン、と言う指を挟む音と共に、魔理沙はその痛みに驚いて思わず後ろに飛びのいた。


「いったぁ!? おい、本当に何なんだよ、これは!?」

「だからパンチガムだって。悪戯用の道具さ。使い方はご覧のとおりだよ」

「て言うか、これは一体何の形だ? こんな怪しい物、手を出すもんか?」

「これを知ってれば、出すと思うよ。はい、これ」


 霖之助は魔理沙に説明をしながら、パンチガムによく似た物を差し出した。

 それが悪戯ではないと証明するように、霖之助は二人に一枚ずつ配っていく。

 すると、二人は怪訝な表情で首をかしげた。


「何だ、これは?」

「よく分からないけど、いい匂いがするわね」

「チューイングガムって言うんだ。嗜好品で、飲み込めないけど結構美味しかったよ」


 眺め回したり匂いを嗅いだりしている二人に、霖之助はチューイングガムについて説明をする。

 それを聞いて二人が包み紙を取って口に入れると、甘いブルーベリーの味と香りが口の中に広がった。


「お、確かに美味いな」

「へえ、こんな変わったお菓子もあるのね。成程ね、こういうのが広まってるんならさっきの玩具も効果はあるわね。この二つ、もらっていくわ」


 アリスはそう言いながら、チューイングガムとパンチガムの二つを手に取った。

 それを見て、霖之助は渋い表情を浮かべる。


「……参考までに訊くけど、誰を引っ掛けるつもりだい?」

「ギルだぜ」

「ギルバートよ」

「……彼には同情するよ」


 揃って帰ってきた二人の返答に、霖之助は大きなため息をついた。


「何やってるのよ、あんた達」


 そこに、霊夢達三人組がやってきた。

 それに気づくと、魔理沙は右手を上げて挨拶した。


「お、霊夢じゃないか。奇遇だな」

「私達も居るわよ」

「咲夜と妖夢も居るのか。てことは、銀月はまだ見つかってないんだな」


 霊夢がつれている面子を見て、魔理沙は銀月がまだ見つかっていないことを確信して頷いた。

 その一言を聞いて、アリスが魔理沙に問いかけた。


「ちょっと、魔理沙。それどういうこと?」

「実はな、今銀月は行方不明なんだ」

「行方不明?」

「昨日の朝から銀月の足取りが全然掴めないのよ。紅魔館にも行ってないみたいだし、お弁当屋さんにも品物が入っていないわ」

「もう色々なところに弊害が出てるんです。アリスさんは何か知りませんか?」


 アリスの疑問に、口々にその影響や今までの探索情報を話していく。

 しかし、それに対してアリスは首を横に振った。


「残念だけど、私は知らないわ。そもそも、銀月が行方不明だってこと自体初耳よ」

「そうですか……」

「ところで魔理沙。あんたは銀月を捜すの手伝ってくれないの? とても捜してるようには見えないんだけど」

「それがな、ギルは別に銀月なら無事なんじゃないかって言ってたぜ」


 霊夢の質問に、魔理沙は楽観的な表情でそう返事をした。

 それを聞いて、咲夜が大きなため息をついた。


「仕事に関して言えば全然無事じゃないのだけど……でも、どうして無事だと思うのかしら?」

「だってよ、本当に銀月が危ないなら銀月の親父さんが眼の色を変えて捜し回るはずだぜ? けど、ギルの親父さんは昨日銀月の親父さんと飲んでたって話だ。てことは、銀月の親父さんは銀月の居場所を知ってるんだと思うぜ。それも、銀月が無事だということも確信した上でね」


 魔理沙は銀月が無事だと思う理由を簡潔に説明した。

 すると、霊夢が思い出したように手をぽんと叩いた。


「そうよ、その銀月のお父さんがここに向かったって聞いたのよ。霖之助、銀月のお父さんはどこ?」

「ああ……将志なら、キノコ狩りの装備を持って魔法の森の中に入っていったよ」


 霊夢の質問に、霖之助は淡々と将志の居場所を告げた。

 それを聞いて、魔理沙とアリスが大きなため息と共に頭を抱えた。


「あちゃ~……こりゃ、明日捜索に行った方が良さそうだな」

「今度は何をかじって倒れてるのかしら……」

「……あの、将志様がどうかしたんですか?」


 苦い表情を浮かべる二人に、よく分かっていない妖夢が質問を投げかける。

 それに対して、魔理沙とアリス、そして霖之助が呆れ顔でその質問に答えた。


「それがね、銀月のお父さんは未知の食材を見つけると、欠片の躊躇もせずに食べる悪癖があるのよ」

「この間は、新種のマンドラゴラをかじって倒れてたな」

「……正直、彼の食への探究心は行き過ぎだ。食べたら美味しいかもしれない、と言うだけで明らかに毒を持っていそうなもの……と言うか、毒物だって分かってるものまで食べるからね」

「お陰でこの前は、銀の霊峰の炎妖精が血相を変えて私達に捜索を頼みに来たんだぜ……」

「きっとまた、明日辺り駆け込んでくるんでしょうね……」

「この店も、そろそろ防火設備が必要になるのかな……」


 三人はそう言うと、改めて盛大にため息をついた。

 将志の惨憺たる有様を聞いて、霊夢達捜索組は乾いた笑みを浮かべて顔を見合わせた。


「ねえ、ひょっとして銀月も同じ目に遭ってたりしないわよね?」

「流石に銀月はそんなことしない……と、思いたいわね」

「師匠といい、将志様といい、もっと格好良い方だと思っていたんですけど……」


 終いには、その場にいた六人揃ってため息をつく始末である。

 そしてしばらくして、気を取り直して霖之助が霊夢に声を掛けた。


「まあ、銀月を捜すにしても将志を捜すにしても、もう遅い時間だ。今日の将志の様子を見ても銀月は無事だと思うし、将志は例え倒れていたとしても食べられたり死んだりはしない。捜すのなら、また明日だね」

「はあ……今日も見つからなかったか……あ~! 銀月の淹れてくれたお茶が飲みたいわ!」


 霖之助の言葉を聞いて、霊夢は苛立たしげにそう叫んだ。

 それを聞いて、咲夜が霊夢に声を掛ける。


「あら、私が淹れたお茶じゃ不満なのかしら?」

「そうじゃないけど……銀月って、私の好みを完全に把握してるみたいなのよね。私の体調を見て、お茶の葉の量や温度とか、おかずの味付けとかを調節してるみたいなのよ」


 人は、体調次第で味覚が変わる生き物である。そうでなくとも、人それぞれに好みが分かれている。

 銀月は基準となる霊夢の好みを完全に掴んでおり、顔色や言動、仕草等をみてその日の味付けを決めているのであった。

 それを聞いて、魔理沙と妖夢が驚いたような、呆れたような表情を浮かべた。


「うわぁ……あの親にしてこの子あり、ですね……将志様も、人の顔を見ただけで最適な味付けを見出しますし……」

「て言うか霊夢。お前もう銀月なしじゃ生きられなくなってないか?」

「否定しきれないところが恐ろしいわ……」


 魔理沙の質問に、霊夢は少し言いづらそうにそう答えた。

 どうやら銀月無しの生活を考えたが、上手くいくような想像が出来なかった様である。

 それを聞いて、魔理沙は顔を手で覆った。


「ダメだこいつ、早く何とかしないと……」

「それじゃあ、一人暮らしに必要なことを教えましょうか?」

「要らないわ。現状間に合ってるもの」


 咲夜の申し出を、霊夢は笑みを浮かべながらノータイムで断った。これからも銀月に頼る気満々の様である。


「それで良いんですか、霊夢さん……」


 それを見て、妖夢は大きなため息をつくのであった。

 その横で、アリスが全体に声を掛ける。


「それはさておき、明日は何時にここに集まるのかしら?」

「あら、どういうことかしら?」

「銀月の親父さんに用があるんだろ? なら、捜索を手伝ってくれよ」

「まあ、仕方ないですね。将志さんの安否は個人的にも気になるところですし」

「もし協力してくれるんなら、朝八時くらいにここに来てもらえると助かるよ。アグナを宥める時間も要るからね」

「はあ……分かったわよ。明日の八時にここに来ればいいのね。それじゃあ咲夜、帰りましょ」


 霊夢はそう言うと、咲夜に声を掛けて帰ろうとする。

 それを聞いて、魔理沙が冷たい視線を霊夢に送る。


「おい霊夢、今度は紅魔館に寄生してるのか?」

「困ったときはお互い様でしょ?」


 責めるような魔理沙の言葉に、霊夢は悪びれることなくそう答えた。

 それを聞いて、咲夜はにこやかに微笑んだ。


「それじゃ、私達が困ったときは頼らせてもらうわね」

「考えておくわ」


 そう言い合う二人の間には、何やら黒いものが渦巻いている。

 咲夜は霊夢からの貸しをどう利用して霊夢を逃げられなくするか、霊夢は紅魔館に作ってしまった借りをどうやって水に流そうかを考えているのだった。

 二人は水面下でそれぞれの思惑をめぐらせながら、紅魔館へ向かって飛び立っていった。

 ただ普通に銀月を捜しても見つからないので、手がかりを捜しに行った霊夢達でした。

 どうやら、銀の霊峰の面々は犯人も銀月の居場所も検討がついている様子。

 でも、ゲーム感覚の愛梨や、霊夢にいい感情を持っていない六花の手によって、犯人は教えられませんでしたとさ。


 人里では、雷禍と幽々子の現在の関係を描いてみました。

 昔を思い出させないように微妙に距離を置く雷禍と、何故か感じる懐かしさと自分に対する雷禍の態度の違いが気になってしょうがない幽々子。

 ええ、完全に雷禍の行為は裏目に出ていますねw

 逆にどこぞの少女マンガみたいに、少し冷たくしたせいで逆に興味を持たれてます。

 そして、今日もバイトが増える。


 そして最後は香霖堂。

 もうちょっと魔理沙と霖之助を絡めて見たかったけど、話の本筋から大きくずれてしまうので、今回はこんな感じに。

 なお、アリスが絡むと結果的に悲惨なのはギルバートの模様。


 ……将志? ああ、まあ良い奴だったよ。



 では、ご意見ご感想お待ちしております。


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